(仮称)札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例(素案) みなさんからのご意見を募集します! 〜パブリックコメントの実施について〜 募集期間:令和6年(2024年)10月31日(木)から令和6年(2024年)11月29日(金)まで【必着】 札幌市では、高齢者人口の増加やグローバル化の進展に伴う外国人人口の増加、価値観の多様化等の昨今の社会情勢を踏まえ、共生社会の実現に向けた取組を進めています。 現在、この取組の一環として、共生社会の実現に向けた基本理念を皆で作り上げ、市民・事業者・行政が一体となって取組を進めていくこと等を目的として、「(仮称)札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例」の制定に向けた検討を行っているところです。 この度、本条例の素案を取りまとめましたので、この素案に対する皆様からのご意見を募集します。今後、お寄せいただいたご意見を参考にした上で、札幌市議会に条例案を提出する予定です。 ※この冊子の内容や参考資料は札幌市公式ホームページでも見ることができます。 https://www.city.sapporo.jp/kikaku/universal/jourei/pub-comment.html ※頂いたご意見については、個別の回答はいたしませんが、ご意見の概要とご意見に対する市の考え方について、別途ホームページなどでご紹介します。 資料の配布場所 以下の場所で資料の配布を行っております。 ・市役所本庁舎5階 まちづくり政策局政策企画部ユニバーサル推進室 ・市役所本庁舎2階 市政刊行物コーナー ・各区役所 総務企画課(広聴係) ・各区まちづくりセンター 令和6年(2024年)10月 札幌市 意見募集要領 1 募集期間   令和6年(2024年)10月31日(木)から令和6年(2024年)11月29日(金)【必着】 2 提出方法 ●ホームページ https://www.city.sapporo.jp/kikaku/universal/jourei/pub-comment.html 上記URLまたは右記二次元バーコードから意見募集ページにアクセスし、送信フォームに必要事項を記入後、送信ボタンを押してください。 ●郵送、ファクス 「ご意見記入用紙」にご意見を記入の上、「3 ご意見の提出先・問合せ先」にご送付ください。なお、ご郵送の場合、切手は不要です。  ●電子メール 以下のEメールアドレスにご意見を送信してください。 ・Eメールアドレス : ki.universal@city.sapporo.jp ※条例名((仮称)札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例)がわかるよう、メールタイトルや本文に明記してください。 ※お名前、ご住所、年代も記載してください。 ●持参 「3 ご意見の提出先・問合せ先」まで直接お持ちください。 (受付は平日の午前8時45分から午後5時15分です。) ●その他注意点等 ※電話・口頭によるご意見は、受付いたしかねますのでご了承ください。 ※ご意見を提出する際には、氏名、住所、年代をご記入ください。 (ご意見等の概要を公表する際には、氏名、住所、年代は公表いたしません。) ※ご意見に対する個別の回答はいたしません。予めご了承ください。 3 ご意見の提出先・問合せ先 札幌市 まちづくり政策局 政策企画部 ユニバーサル推進室 住所:〒060-8611 札幌市中央区北1条西2丁目 札幌市役所 本庁舎 5階南側 電話:011-211-2361 ファクス:011-218-5109 Eメール:ki.universal@city.sapporo.jp 【概要版】(仮称)札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例(素案) 1 条例制定の背景 国の動き ・共生社会の実現に向けて、バリアフリー法、障害者差別解消法、アイヌ施策推進法のほか、認知症基本法やLGBT理解増進法など、個別の分野における立法例が続いている ・平成30年には、「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律(ユニバーサル社会実現推進法)」を制定し、国を挙げ て様々な視点から共生社会の実現に向けた取組を強化 札幌市の状況 ・札幌市では、これまで共生社会の実現に向けて様々な取組を進めてきたところだが、依然として 主に次のような課題を抱えている。これらの多様な課題はそれぞれが絡み合い、複雑化・複合化し ているところ  ・高齢者人口の増加への対応  ・障がいのある方への理解  ・地域意識の希薄化  ・子どもの権利への理解  ・支援を要する外国人市民の増加  ・男女の地位の平等感の偏り  ・アイヌ民族への理解  など 国の動きや札幌市の状況、昨今の価値観やライフスタイルの多様化等を踏まえ、 〇「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン(ビジョン編)」において、多様性と包摂性のある都市を目指すことを掲げた。 〇まちづくりを進めていく上での重要概念の一つとして「ユニバーサル(共生)」を定め、年齢、性別、国籍、民族、障がいの有無等を問わず、「誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなる社会」を実現していくことを明記。 2 条例の制定目的 ・札幌市が目指す多様性と包摂性のある都市とは、「差別や偏見がなく、誰もが互いにその個性を尊重され、能力を発揮できる、多様性と包摂性が強みとなる社会」(共生社会)の実現によりつくり出される都市であると考えており、共生社会の実現に当たっては、社会を構成する主体である市(行政)・市民・事業者の協働が不可欠 ・市(行政)・市民・事業者それぞれが異なる方向性の下で取組を進めていくことのないよう、共生社会の実現に向けた基本理念等を共有することが重要 制定目的 共生社会の実現に関し、基本理念を定めるほか、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、市の施策の基本事項を定めることにより、市・市民・事業者が一体となって共生社会の実現に向けた取組を進め、多様性と包摂性のある都市をつくること 多様性と包摂性のある、「誰もがつながり合う共生のまち」をつくり、これを次世代に引き継いでいく 3 条例素案の概要 基本的な考え方 ・多様性を尊重したまちづくり〜誰もが自分らしく暮らし、能力を発揮できるよう、多様性の尊重がこれまで以上に求められる ・包摂的なまちづくり〜社会的障壁を取り除き、誰もが社会から孤立することなく安心して生活できるよう、生きづらさを社会全体で解決していく ・市民・事業者との協働による共創〜それぞれが自らの責務や役割を相互に認識し、社会のあらゆる場面において、連携・協働の上で取組を進めていく ・未来につながる取組の推進〜多世代による取組を進め、特に次世代を担う子どもも参画しやすい取組を継続的かつ発展的に展開していく 条例素案の概要 前文〜条例制定の背景や条例制定に対する思いなどを規定 目的〜条例の制定目的を規定 定義〜共生社会(差別や偏見がなく、誰もが互いにその個性を尊重され能力を発揮できる、多様性と包摂性が強みとなる社会)等の定義を規定 他の条例等との関係性〜総合計画その他まちづくりに関する計画及びまちづくりに関する条例、規則等は、この条例に定める事項との整合を図らなければならない 基本理念〜共生社会の実現に向けた取組は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない  @誰もが、基本的人権を享有する個人としてその個性や能力を認められること  A誰もが、互いにその違い等を理解し、支え合い、及び助け合うことで、社会から孤立することなく安心して生活できること  B市、市民及び事業者が、それぞれの責務や役割を相互に認識し、連携・協働して取り組むこと 市の責務〜市は、基本理念にのっとり、共生社会の実現に向けた施策を総合的かつ計画的に推進しなければならない 市民及び事業者の役割〜市民・事業者は、基本理念にのっとり、共生社会の実現に向けた取組を行うよう努める。また、市が実施する共生社会の実現に向けた施策に協力するよう努める 基本的施策〜市は、共生社会を実現するため、次に掲げる施策を実施するものとする  @誰もが安全で安心な生活ができる多様性に配慮した施設等の整備  A市民又は事業者が行う多様性に配慮した施設等の整備への支援  B日常生活又は社会生活上配慮を要する者の状況に応じた必要な支援  C個別の事業及び各種制度に係る分かりやすい情報提供  D誰もが互いにその違い等を理解し、支え合い、及び助け合う意識の醸成その他共生社会の実現に向けた取組を推進するための啓発、広報活動等  Eその他共生社会の実現に向けて必要な施策 推進体制の整備・財政上の措置〜市は、施策の推進体制を整備するほか、施策の実施に必要な財政上の措置を講ずるよう努める 附属機関の設置〜附属機関として、「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり委員会」を設置 施行期日〜令和7年4月1日から施行予定 (仮称)札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例(素案)本書 見出し1 なぜ条例をつくろうとしているの? -条例制定の背景や制定目的- (1) 国の動き 国においては、共生社会(注釈1)の実現に関し高齢者、障がい者等の円滑な移動及び建築物等の施設の円滑な利用の確保に関する施策を総合的に推進するため、いわゆるバリアフリー法を平成18年に制定しています。 また、平成25年には、いわゆる障害者差別解消法を制定し、障がいを理由とする差別解消に取り組んでいるほか、平成31年には、いわゆるアイヌ施策推進法を制定し、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進などを進めてきました。 さらに、令和5年6月には、いわゆる認知症基本法やLGBT理解増進法を次々と制定するなど、共生社会の実現につながる法整備が着々と進められています。 こうした個別の分野における立法例だけでなく、平成30年には、「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律(ユニバーサル社会実現推進法)」を制定し、実現を目指すべきユニバーサル社会(注釈2)が掲げられるなど、国を挙げて様々な視点から取組が強化されています。 (2) 札幌市の状況 札幌市では、これまで共生社会の実現に向けて様々な取組を進めてきたところですが、依然として主に次のような課題を抱えています。また、これらの多様な課題はそれぞれが絡み合い、複雑化・複合化しています。 ・高齢者人口の増加への対応〜2040年代に高齢者人口がピークを迎え、全体の約4割を占めることが予想 ・障がいのある方への理解〜障がいのある人にとって地域で暮らしやすいまちであると思う人の割合は約3割 ・地域意識の希薄化〜多世代交流が重要と考える市民の割合が低いなど地域意識が希薄化 ・子どもの権利への理解〜子どもの権利が大切にされていると思う子どもの割合は、63.8%にとどまる ・支援を要する外国人市民の増加〜在留資格の見直しなどにより、市内で暮らす外国人が増加していく予想 ・男女の地位の平等感の偏り〜職場や家庭生活などの様々な場面における男女の平等意識が低い ・アイヌ民族への理解〜「アイヌ民族について知っている」と答えた市民の割合は、89%にとどまる など 注釈1〜【共生社会】ここでは、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会をいう。なお、札幌市が制定を目指す条例における共生社会の定義については、下記1?(4ページ)参照。 注釈2〜【ユニバーサル社会】ここでは、障がいの有無、年齢等にかかわらず、国民一人一人が、社会の対等な構成員として、その尊厳が重んぜられるとともに、社会のあらゆる分野における活動に参画する機会の確保を通じてその能力を十分に発揮し、もって国民一人一人が相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する社会をいう。 (参考)札幌市の人口の将来見通し(グラフ) (参考)外国人市民数・割合(グラフ) (3) 条例の検討  上記(2)のように札幌市における共生社会の実現に向けた課題が多様化かつ複雑化していることに加え、昨今の価値観やライフスタイルの多様化、国の動き等も踏まえ、札幌市では、最上位計画である「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン(ビジョン編)」において、多様性と包摂性のある都市を目指すことを掲げました。 また、まちづくりを進めていく上での重要概念の一つとして「ユニバーサル(共生)」を定め、年齢、性別、国籍、民族、障がいの有無等を問わず、「誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなる社会」を実現していくことを明記しました。 こうした状況を踏まえ、これらの実現に向けた取組の一環として、現在、条例制定に向けた検討を進めています。 (参考)条例の検討経過  令和5年11月8日 第1回札幌市ユニバーサル推進検討委員会における意見交換  12月18日 第2回札幌市ユニバーサル推進検討委員会における意見交換  12月27日 子ども議会における意見交換  令和6年3月12日 第3回札幌市ユニバーサル推進検討委員会における意見交換  5月20日 福祉のまちづくり推進会議(部会)における意見交換  6月13日 アイヌ施策推進委員会における意見交換  6月15日・6月23日 市民ワークショップの実施(2回)  6月27日 男女共同参画審議会における意見交換  8月 4日 オープンハウスの実施  8月30日 第4回札幌市ユニバーサル推進検討委員会における意見交換  10月1日 市議会総務委員会で、パブリックコメント案について報告・審議 (4) 条例の制定目的 札幌市が目指す多様性と包摂性のある都市とは、「差別や偏見がなく、誰もが互いにその個性を尊重され能力を発揮できる、多様性と包摂性が強みとなる社会」の実現によりつくり出される都市であると考えており、この社会の実現に当たっては、社会を構成する主体である市(行政)・市民・事業者の協働が不可欠です。 そのため、札幌市では、この「差別や偏見がなく、誰もが互いにその個性を尊重され、能力を発揮できる、多様性と包摂性が強みとなる社会」を「共生社会」と明確に定義付けた上で、市・市民・事業者それぞれが異なる方向性の下で取組を進めていくことのないよう、共生社会の実現に向けた基本理念等を共有することが重要であると考えています。 そこで、共生社会の実現に関し、基本理念を定めるほか、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、市の施策の基本事項を定めることにより、 市・市民・事業者が一体となって共生社会の実現に向けた取組を進め、多様性と包摂性のある都市をつくることを目的として、条例制定を目指しています。 なお、この条例においては、共生社会の実現により目指す都市(まち)の姿を「誰もがつながり合う共生のまち」と表し、条例素案の前文(7ページ)に記載のとおり、「多様性と包摂性のある、誰もがつながり合う共生のまちをつくり、これを次世代に引き継いでいく」という思いを込め、条例の題名の素案(仮称)を「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例」としています。 見出し2 どんな条例をつくろうとしているの? -条例制定に当たっての基本的な考え方- これまでに記載した制定目的から、本条例は、何らかの規制等を定めるいわゆる「規制条例」ではなく、基本理念等を定める「理念条例」とし、札幌市が「誰もがつながり合う共生のまち」を目指す上で、よりどころとなるような条例としたいと考えています。 札幌市が条例素案を作成するに当たっては、次の4つの基本的な考え方を踏まえて検討を進めてきました。 1 多様性を尊重したまちづくり 人は皆、年齢・性別・性的指向(注釈3)やジェンダーアイデンティティ(注釈4)・障がいや病気の有無・国籍・民族・言語・宗教・文化など、無数の多様な違いを抱えています。しかし、これらの違いに起因する個性や能力等に対する理解が十分ではないといった社会における様々な障壁により、時には差別や偏見を向けられる場合もあるなど、日々の暮らしに生きづらさを感じている方々が多くいる現状があります。 また、近年における少子高齢化やグローバル化(注釈5)、価値観や生活様式の多様化なども踏まえると、誰もが自分らしく暮らし、能力を発揮できるよう、こうした違いを尊重する「多様性の尊重」がこれまで以上に求められ、この視点を踏まえたまちづくりを進める必要があります。 なお、他者との違いを外面的なものだけでなく、価値観や考え方等の内面的なものも含めると、誰もが何らかの違いを有する当事者であると言え、その対象は一部の方に限られるものではありません。 そこで、本条例においては、当事者の限定化や固定化につながらないよう配慮し、「誰もが当事者である」ことを前提とした内容とすること、加えて、各人が対話を重ね、それぞれの違い等について理解を深め支え合う「共感(注釈6)に基づく心のバリアフリー(注釈7)の醸成」に寄与する内容とすることが求められます。 注釈1【性的指向】恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向 注釈2【ジェンダーアイデンティティ】自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識 注釈3【グローバル化】ヒト、モノ、カネ、情報の国境を越えた移動が地球規模で盛んになり、政治や経済など様々な分野での境界線がなくなることで、相互依存の関係が深まっていく現象 注釈4【共感】ここでは、相手と感情を共有したり、相手の心情に同調・同情すること(シンパシー)並びに相手の立場になり相手の意思や感情を共有すること及びその能力(エンパシー)をいう。 注釈5【心のバリアフリー】様々な心身の特性や考え方を持つ全ての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションを取り、支え合うこと。 2 包摂的なまちづくり 「障がいの社会モデル」は、「障がい=バリア」は個人の心身機能の障がいと社会的障壁(物理的、制度的、文化・情報面及び意識上)の相互作用によって創り出されているもので、社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという考え方であり、障がい分野に限らず、年齢・性別等の多様な違いに起因する様々な社会的障壁にも当てはまるものです。 上記@に記載した社会の現状や変化を踏まえると、こうした多様な社会的障壁を取り除き、誰もが社会から孤立することなく安心して生活し、能力を発揮できるよう、「障がいの社会モデル」の考えを他分野にも波及させていき、様々な取組を行うことによって、当事者の生きづらさを社会全体で解決していくという包摂的(注釈8)なまちづくりがこれまで以上に求められます。 3 市民・事業者との協働による共創 共生社会の実現に向けては、社会を構成する主体である市・市民・事業者の協働が不可欠であり、市・市民・事業者それぞれが異なる方向性の下で取組を進めることがないよう、自らの責務や役割を相互に認識し、創造性の向上などの多様性が有する効果も踏まえながら、社会のあらゆる場面において、連携・協働の上で取組を進めていくことが求められます 4 未来につながる取組の推進 札幌市の現在の姿は、長い時間をかけた先人たちの歩みの上に形作られたものであり、共生社会の実現に向けても、世代を跨ぐ長期的かつ継続的な取組が求められます。そこで、条例の検討過程のみならず、それ以降も、多世代による取組を進め、特に次世代を担う子どもも参画しやすい取組を継続的かつ発展的に展開していく必要があります。 注釈8【包摂的】ここでは、全ての人を排除せず、取り残さないさまをいう。 3 どんな条例になるの? -条例の素案-  上記2の@〜Cの考え方等を踏まえ、札幌市では、「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例」の素案を次のとおり作成しています。 札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例(素案) 1 前文 条例制定の背景や条例制定に対する思いなどを明らかにするため、前文を設けます。 【前文(案)】 〇私たちは、誰もがつながり合う共生のまちを目指します。 〇誰もが、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されながら、共に生きていくことは、私たちの共通の願いであります。 〇札幌は、ゆきとみどりに彩られた豊かな自然環境の下、様々な背景を有する先人たちが、それぞれの伝統と文化を紡ぎ、育みながら、先進の英知を取り入れていくことによって、飛躍的に成長してきました。 〇ところが、他者の個性や能力に対する理解が十分ではないことなどの社会における様々な障壁により、生きづらさを感じる方が多くいる現状にあり、また、近年における少子高齢化やグローバル化、価値観や生活様式の多様化などにより、これまで以上に多様性が尊重され、互いに支え合う包摂的なまちづくりが求められています。 〇こうした状況を踏まえ、対話による相互理解の下、誰もが自分らしく暮らし、活躍できるよう、私たちは、市、市民及び事業者が一体となって、社会のあらゆる場面において、共生社会の実現に向けて取り組んでいく必要があります。 〇そこで、私たちは、このような認識の下、共生社会を実現し、多様性と包摂性のある、誰もがつながり合う共生のまちをつくり、これを次世代に引き継いでいくことを決意し、ここにこの条例を制定します。 2 目的 この条例は、共生社会の実現に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、市、市民及び事業者が一体となって共生社会の実現に向けて取り組み、もって誰もがつながり合う共生のまちづくりに寄与することを目的とすることとします。 3 定義 この条例に使われる用語について、用語の意義を明確にし、解釈上の疑義をなくすため、次のとおり定めます。 共生社会〜差別や偏見がなく、誰もが互いにその個性を尊重され能力を発揮できる、多様性と包摂性が強みとなる社会 誰もがつながり合う共生のまち〜共生社会の実現によりつくり出されるまち 市民〜市内に住所を有する個人及び市内に通勤し、又は通学する個人その他の市内に滞在する個人 事業者〜市内において事業活動を行う者及びその他の活動を行う団体 4 他の条例等との関係性 市は、総合計画その他まちづくりに関する計画の策定及びまちづくりに関する条例、規則等の制定改廃等に当たっては、この条例に定める事項との整合を図らなければならないこととします。 ■他の条例等との関係のイメージ図 5 基本理念 条例の制定目的でも触れたとおり、共生社会の実現に向けては、社会を構成する主体である市・市民・事業者の協働が不可欠であり、それぞれが異なる方向性の下で取組を進めていくことのないよう、共生社会の実現に向けた「基本理念」を共有することが重要です。 札幌市としては、条例制定に当たっての基本的な考え方を踏まえ、共生社会の実現に向けた取組は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならないこととしたいと考えています。 (1)誰もが、基本的人権を享有する個人としてその個性や能力を認められること。 【設定理由】 基本的な考え方@「多様性を尊重したまちづくり」のとおり、誰もが自分らしく暮らし、能力を発揮できるよう、誰もが多様な違いにかかわらず、基本的人権を享有する個人として尊重され、また、その個性や能力が認められることが重要です。 (2)誰もが、互いにその違い等を理解し、支え合い、及び助け合うことで、社会から孤立することなく安心して生活できること。 【設定理由】 基本的な考え方A「包摂的なまちづくり」のとおり、多様な社会的障壁を取り除き、誰もが社会から孤立することなく安心して生活し、能力を発揮できるよう、当事者が抱える生きづらさを社会全体で解決していくことが求められます。 (3)市、市民及び事業者が、それぞれの責務や役割を相互に認識し、連携・協働して取り組むこと。 【設定理由】 基本的な考え方B「市民・事業者との協働による共創」のとおり、市、市民及び事業者が一体的に取組を進めていく必要があります。 6 市の責務 市は、基本理念にのっとり、共生社会の実現に向けた施策を総合的かつ計画的に推進しなければならないこととします。 7 市民及び事業者の役割 市民は、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる場面において、共生社会の実現に向けた取組を行うよう努めるものとします。 事業者は、その活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、共生社会の実現に向けた取組を行うよう努めるものとします。 また、市民及び事業者は、市が実施する共生社会の実現に向けた施策に協力するよう努めるものとします。 8 基本的施策 市は、「障がいの社会モデル」の考えを踏まえ、移動経路や建築物に係る「物理的な障壁」、各種の支援制度や情報発信に係る「制度的、文化・情報面における障壁」、そして、心のバリアフリーの浸透等に係る「意識上の障壁」といった様々な社会的障壁を取り除くため、次に掲げる施策を実施するものとします。 @誰もが安全で安心な生活ができる多様性に配慮した施設等の整備 【具体的な取組】 〇道路や公園のバリアフリー化 〇学校などの市有建築物のバリアフリー改修 〇区役所庁舎などへのユニバーサルデザイン(注釈9)の導入や表示  の多言語化 など A市民又は事業者が行う多様性に配慮した施設等の整備への支援 【具体的な取組】 〇飲食店、診療所、宿泊施設などにおけるバリアフリー改修等への支援 〇ノンステップバス(注釈10)やUDタクシー(注釈11)の導入支援 など B日常生活又は社会生活上配慮を要する者の状況に応じた必要な支援 【具体的な取組】 〇社会から孤立し、不安や悩みを抱える女性への支援 〇障がい特性に応じたコミュニケーション支援 〇性的マイノリティ(注釈12)への支援 〇認知症患者への支援 など C個別の事業及び各種制度に係る分かりやすい情報提供 【具体的な取組】 〇車いす等で移動できるバリアフリー経路の情報発信 〇ユニバーサルデザインを取り入れた情報発信 など D誰もが互いにその違い等を理解し、支え合い、及び助け合う意識の醸成その他共生社会の実現に向けた取組を推進するための啓発、広報活動等 【具体的な取組】 〇心のバリアフリーの推進等のための多様な立場の方が集う対話の機会の創出 〇本条例を活用した未来を担う子どもへの啓発 など E その他共生社会の実現に向けて必要な施策 注釈9【ユニバーサルデザイン】文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異や障がい・能力を問わずに利用できるよう配慮された設計(デザイン) 注釈10【ノンステップバス】高齢者や障がいのある方などが乗り降りしやすいバリアフリー対応のバス 注釈11【UDタクシー】健康な方はもちろんのこと、足腰の弱い高齢者、車いす使用者、ベビーカー利用の親子連れ、妊娠中の方など誰もが利用しやすいタクシー 注釈12【性的マイノリティ】典型的とされてきた性のあり方にとらわれない人々 9 推進体制の整備及び財政上の措置 市は、共生社会の実現に向けた施策を総合的かつ計画的に企画し、調整し、及び実施するための推進体制を整備するものとします。 また、市は、共生社会の実現に向けた施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとします。 【具体的な取組】 〇市長を本部長、副市長を副本部長、局長級を本部員とする庁内組織である「札幌市ユニバーサル推進本部」(令和5年9月設置)を当該推進体制として位置付ける予定です。 10 札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり委員会 共生社会の実現に向けた施策、当該施策の実施状況その他の共生社会の実現に向けて必要な事項について調査審議し、及び意見を述べるため、学識経験者や市民等で構成される「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり委員会」を置くものとします。 11 委任 この条例の施行に関し必要な事項については、市長が規則等で定めることとします。 12 施行期日 令和7年第1回定例市議会への条例案提出を予定しており、同議会において可決された場合には、令和7年4月1日から施行する予定です。