ホーム > 健康・福祉・子育て > 健康(からだ・こころ) > 感染症・予防接種 > 感染症 > 医療従事者(医師・獣医師等)の皆様へ > 【医師・獣医師の皆様へ】カプノサイトファーガ感染症について
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イヌ・ネコの口腔内に常在している3種の細菌、カプノサイトファーガ・カニモルサス(C.canimorsus)、カプノサイトファーガ・カニス(C.canis)及びカプノサイトファーガ・サイノデグミ(C.cynodemi)を原因とする感染症です。イヌやネコに咬まれたり、ひっ掻かれたりすることで感染します。なお、動物による咬傷に対し、報告されている患者数は非常に少ないことから、診断に至らなかった患者がいるとしても、本病は感染しても稀にしか発症しないと考えられます。
詳しくは市民向け本市ホームページのほか、本ページ下部のリンク等を御確認ください。
潜伏期間は、1~14日とされています。(多くは1~5日)。発熱、倦怠感、腹痛、吐き気、頭痛などを前駆症状として、重症化した例が主に報告されています。
重症化した例では敗血症を示すことが最も多いですが、さらに播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症性ショックや多臓器不全に進行して死に至ることがあります。敗血症以外では、髄膜炎を起こすこともあります。なお、敗血症例の約26%、髄膜炎例の約5%が亡くなるとされています。C.canimorsus及びC.canis感染の方が、C.cynodemi感染よりも重篤な症状を示します。
軽症例については報告が少ないため、その実態はよくわかっていません。
血液や脳脊髄液、傷口の滲出液を培養して、菌を分離・同定します。内容サンプルからの遺伝子検出(PCR法)も可能です。また近年では、質量分析法による菌種同定が可能であり、国内でも普及しつつあります。ただし、C.canisは新しい菌種のため、まだ質量分析法の菌種同定用データベースに登録されておらず、菌種不明と判定されます。PCR法はイヌ・ネコが保有するカプノサイトファーガ3菌種全てに対応しています。
しかし、患者が医療機関を受診した時には、すでに敗血症の状態であることが多く、急激な転帰をたどること、また、生育が遅い菌で、分離・同定に一定程度の時間を要することから、患者の臨床症状等に応じて早期に適切な治療を開始する必要があります。
なお、血液培養が行える検査施設であれば、菌の分離及び属レベルまでの同定は可能です。
具体的には、重症例では、急激に悪化した敗血症で、イヌやネコとの接触歴がある場合、本感染症が疑われます。激しい腹痛を伴う場合もあります。創部には腫脹などといった明瞭な病変が認められないことが多く、通常、炎症のフォーカスは不明です。軽症例の場合は、発熱等の一般的な風邪様症状や創部の発赤等の局所症状であり、本感染症を積極的に疑う特徴的な所見はありません。
本感染症と同様にイヌやネコから感染症総合対策課する疾患として、パスツレラ症や猫ひっかき病等の細菌性感染症や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などが挙げられます。
血液培養が陽性になるのに数日を要することから、早期診断が可能な検査法はありません。ただ、培養陰性の段階でも、血液培養サンプルのグラム染色等による直接鏡検によって、細長いグラム陰性桿菌が認められることもあります。その他、血液をサンプルとした質量分析法による菌の検出も可能ですが、まだ例数が少なく、さらなる検討が必要です。ただし、菌が分離された後であれば、その菌種同定には簡易同定キットを用いた生化学的性状検査及び上述の遺伝子検査法、質量分析法が有用です。
カプノサイトファーガ感染症が疑われる場合には、患者の臨床所見等に応じて早期に抗菌薬等による治療を開始することが重要となります。咬傷に対する抗菌薬としては、ペニシリン系、テトラサイクリン系や第3世代セフェム系抗菌薬等が一般的に用いられています。ただ、C.canimorsusにはβラクタマーゼを産生する菌株もあるため、ペニシリン系の抗菌薬を用いる際にはβラクタマーゼ阻害剤との合剤が推奨されます。
カプノサイトファーガ感染症は、感染症法の届出対象疾病ではありませんので、保健所等への届出は不要です。
しかし、本感染症の調査研究の進展のためにも、国立感染症研究所獣医科学部第一室(03-5285-1111)への情報提供にご協力をお願いします。
【事務連絡】カプノサイトファーガ感染症に関するQ&Aについて(平成30年9月27日_厚生労働省健康局結核感染症課)(PDF:92KB)
(別添)カプノサイトファーガ感染症に関するQ&A(平成30年9月27日更新)(PDF:376KB)
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