第1章 計画の基本的考え方 1 計画策定の趣旨、計画の位置付け、計画期間 2ページ 2 計画の特徴 3ページ 3 目指すべき都市像 4ページ 4 札幌市を取り巻く状況  5ページ 5 アクションプラン2015の評価  12ページ 6 計画体系とSDGs 18ページ 7 基本方針と重点プロジェクト 24ページ 8 計画の推進に当たって 32ページ 1 計画策定の趣旨、計画の位置付け、計画期間 (1)計画策定の趣旨、計画の位置付け 札幌市は、まちづくりの計画体系において、幅広い分野にわたる総合計画として最上位に位置付けられる「札幌市まちづくり戦略ビジョン」(平成25年(2013年)10月策定。以下「戦略ビジョン」という。)のもと、その中期実施計画である「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015」(以下「アクションプラン2015」という。)を平成27年(2015年)12月に策定し、戦略ビジョンに沿った施策を進めてきました。アクションプラン2015の計画期間においては、特に、経済の活性化や雇用の創出、女性の活躍支援、子育て支援に重点的に取り組み、着実に成果を挙げてきました。 札幌市は、令和4年(2022年)に市制施行100周年という大きな節目を迎えますが、人口減少や少子高齢化という時代の転換点に直面し、今後は、経済規模の縮小や税収の減少が懸念されるほか、医療・介護を始めとした社会保障費の増加や、老朽化した都市基盤の更新需要の集中などにより、財政状況はより一層厳しくなることが予測されています。 このような状況にあっても、誰もが安心して暮らしていける街を実現するため、全ての市民がこの札幌でいつまでも元気に活躍できる環境づくりに取り組むとともに、札幌が魅力と活力を創造し続ける街であり続けるため、都市のリニューアルを着実に進めていくことにより、将来にわたって持続可能なまちづくりを進めていく必要があります。 今回策定する「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」(以下「アクションプラン2019」という。)は、アクションプラン2015に引き続き、戦略ビジョンを実現するための中期実施計画として、戦略ビジョンとともに総合計画に位置付けられ、札幌市の行財政運営や予算編成の指針となるものです。 なお、戦略ビジョンの基本的な方向に沿って策定する各分野の個別計画とも、考え方や方向性、施策などの整合性を図っていきます。 (2)計画期間 戦略ビジョンの計画期間を踏まえ、アクションプラン2019の計画期間は令和元年度から令和4年度まで(2019年度から2022年度まで)の4年間とするとともに、市政運営の指針を切れ目のないものとするため、令和5年度(2023年度)は継続的な実施を要する事業について、総事業費のみ参考掲載しています。 2 計画の特徴 (1)まちづくりの取組における全ての政策的事業を網羅  この計画では、戦略ビジョンに掲げる「8つの創造戦略とそれを支える都市空間創造戦略」に基づいて「9つの政策目標」を設定し、その政策目標の実現に向けて、札幌市が今後4年間の計画期間に実施する全ての政策的事業を計画の対象としました。 (2)実効性を担保する中期財政フレームを設定  計画の実効性を担保するため、この計画の対象となる政策経費のほか、計画期間における歳入や計画の対象外となっている一般経費の見通しを推計した「中期財政フレーム」を設定しました。 (3)公約の実現に向けた取組を具体化  市長が市民に対して任期中に実施する事柄を約束した、市長公約の実現に向けた具体的な取組を計画事業として盛り込みました。 (4)SDGs(持続可能な開発目標)の視点を導入 平成27年(2015年)の国連サミットにおいて採択された持続可能な開発目標であるSDGsは、中長期的な観点のもと、経済、社会、環境といった広範な課題に全ての主体が統合的に取り組むことで、持続可能で多様性のある社会の実現を目指すものです。 また、SDGsの達成に向けた優れた取組を提案する「SDGs未来都市」として、平成30年(2018年)に札幌市が選定されており、「札幌市SDGs未来都市計画」(平成30年8月策定)においては、総合的な実施計画の策定や各種の取組に際して、SDGsの視点や趣旨を反映させることとしています。 これらを踏まえ、この計画では、SDGsの理念や目標に沿って持続可能なまちづくりを進めていくため、重点プロジェクトや各施策についてSDGsとの関連を示すとともに、多様な主体と連携しながら事業を推進します。 3 目指すべき都市像 戦略ビジョンの中期実施計画として、戦略ビジョンで掲げる2つの「目指すべき都市像」の実現を目指していきます。 目指すべき都市像1「北海道の未来を創造し、世界が憧れるまち」 札幌・北海道の様々な魅力資源を、一人一人の創造性によって、より磨き上げながら、それを国内及び世界に発信することで、世界との結び付きを強め、投資や人材を呼び込むなど、世界が憧れ、活力と躍動感にあふれる、心ときめくまちを実現します。 目指すべき都市像2「互いに手を携え、心豊かにつながる共生のまち」 誰もが生きがいと誇りを持ちながら、互いにつながり、支え合うことで、生きる喜 びと幸せを感じられる、心豊かで笑顔になれるまちを実現します。 4 札幌市を取り巻く状況 (1)概況 札幌は、政令指定都市への移行、アジアで初となる冬季オリンピック札幌大会の開催を経て大きく飛躍し、市制施行時に12万人余りであった人口は、今や197万人を擁する大都市へと発展を遂げるとともに、道路・上下水道などの都市基盤の充実が図られてきました。 そのような中、札幌市の人口はここ数年のうちに減少局面に転じると見込まれており、高齢化率の更なる上昇も見込まれています。特に、少子化に加えて、20歳代の若年層について、就職などを契機とした、首都圏を中心とする道外への転出超過が続いていることもあり、15歳以上65歳未満の生産年齢人口については既に減少に転じている状況です。 こうした状況においては、市税を始めとする財源の大幅な伸びが期待できない一方で、社会保障費の増加が継続的に見込まれます。くわえて、昭和47年(1972年)の政令指定都市への移行期を中心に集中して整備されてきた都市基盤について、今後一斉に更新時期を迎えるなど、財政負担が増加する見通しです。 (2) 人口の動向 ア 全市の人口 札幌市は、明治2年(1869年)に北海道開拓の拠点として創建されて以来、第2次世界大戦の一時期などを除いてほぼ一貫して人口増加を続けてきました。令和元年(2019年)10月1日現在の人口は197万人となり、東京都(区部)、横浜市、大阪市、名古屋市に次いで、人口規模で全国5番目の都市となっています。 札幌市の5年間の人口増加数は、昭和45〜50年(1970〜1975年)には230,490人の増加で過去最高となりましたが、それ以降は増加規模の縮小が続いており、平成17〜22年(2005〜2010年)は32,682人の増加で戦後最小となりました。平成22〜27年(2010〜2015年)は38,811人の増加で前回よりも増加規模は拡大しましたが、戦後2番目に小さくなっています。 イ 区別の人口 区別の人口では、令和元年(2019年)10月1日現在、北区が28万8千人で最も多く、次いで東区が26万4千人、中央区が24万5千人、豊平区が22万3千人、西区が21万8千人、白石区が21万2千人と6区で20万人を超えており、以下、手稲区が14万2千人、南区が13万7千人、厚別区が12万6千人、清田区が11万4千人の順となっています。 平成30〜令和元年(2018〜2019年)の増加状況を見ると、中央区、西区及び豊平区など5区で人口増加となっており、特に、中央区では2千人を超える人口増加となっています。一方、その他の5区では人口減少となっています。 ウ 人口の将来見通し 平成27年(2015年)国勢調査をもとに独自に推計を行った結果、2015年の195万人から令和42年(2060年)には155万人と40万人の減少が見込まれます。 また、生産年齢人口は、2015年の124万人から2060年には76万人となり48万人の減少が見込まれる一方、老年人口は2015年の48万人から2060年には66万人となり18万人の増加が見込まれます。 エ 社会資本整備の状況 これまで、計画的なまちづくりを進めてきた結果、上下水道の普及率や道路の舗装率などは、他都市と比較しても極めて高い水準にあり、札幌市の都市基盤は、ほぼ充足している状況にあると言えます。 ア 社会資本整備の状況(平成30年4月1日現在) 道路延長 5,711キロメートル 養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム 111カ所 橋りょう 1,276橋 老人福祉センター 10カ所 駐輪場 289カ所 保育所・認定こども園 308カ所 配水管総延長 6,008キロメートル まちづくりセンター 87カ所 下水道管延長 8,274キロメートル 地区会館 56館 都市公園 2,740カ所 区民センター・地区センター・コミュニティセンター 36館 街路樹(高木) 232,185本 児童会館・ミニ児童会館 203館 市営住宅 27,062戸 市立図書館 10館 清掃工場 3カ所 市立体育館 12館 市立小学校 201校 市営プール 11館 市立中学校 97校 消防署・消防出張所 51カ所 [その他の主な施設] ・札幌市民ホール ・札幌市民交流プラザ ・教育文化会館 ・札幌コンサートホール(Kitara) ・札幌ドーム ・コミュニティドーム(つどーむ) ・札幌コンベンションセンター ・生涯学習総合センター(ちえりあ) ・青少年科学館 ・札幌駅前通地下歩行空間 (4) 財政の状況 札幌市の財政規模は、昭和47年(1972年)に政令指定都市になって以降、国の経済成長やまちの発展を背景として、歳入・歳出ともに毎年増え続けてきましたが、平成12年度(2000年度)にマイナスに転じ、その後平成19年度(2007年度)まで減少傾向が続きました。 その後は、扶助費の増加などに伴う増加傾向が続いているほか、近年は、教職員に係る北海道からの権限移譲に伴い、大きく増加しています。 ア 歳入の状況 基幹となる市税収入は、平成21年度(2009年度)に、リーマンショックの影響で大きく減少しましたが、その後は景気の回復や税源移譲に伴い、上昇しています。 また、国・道支出金については、社会保障の充実に伴う扶助費の増加により、近年増加傾向が継続しており、歳入に占める割合は年々増加しています。 イ 歳出の状況 歳出については、権限移譲に伴う教職員人件費の増加や、社会保障費の増加により近年大きく増加し、特に義務的経費については、歳出総額に占める割合が、10年前の平成20年度(2008年度)では約51%だったものが、平成30年度(2018年度)には約57%になるなど、財政の硬直化が進んでいます。 ウ 今後の財政の見通し 今後の財政を長期的に見通すと、歳入面では、少子高齢化、人口減少が急速に進む社会構造の変化の中で、市税を始めとする財源の大幅な伸びは期待できず、むしろ減少傾向に転じることも危惧されます。 一方、歳出面では、高齢化の進展などに伴い社会保障費の増加が継続的に見込まれることに加え、これまで整備してきた公共施設の老朽化が進んでおり、その更新費用や、それに伴う借入の返済(公債費)が増加する見込みです。 (ア) 財源の見通し a 人口減少と市税収入の見通し  経済活動を主に支える生産年齢人口の減少など、人口構造の大規模な変化により、長期的には、景気変動の影響にかかわらず、市税収入が落ち込んでいくことも危惧されます。 b 地方交付税等の見通し 平成30年(2018年)6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」では、令和3年度(2021年度)まで、地方の一般財源総額を平成30年度(2018年度)と実質的に同水準とする方針が示されていますが、令和4年度(2022年度)以降は、その方針も不透明な状況です。 また、少子齢化による人口構造の変化は全国的なものであり、その影響は当然に国の税収や財政運営にも影響を及ぼすと見込まれることから、財政力が弱く、歳入総額に占める地方交付税等の割合が高い札幌市は、大きな影響を受けることが懸念されます。 (イ) 歳出の見通し a 社会保障費の見通し 扶助費については、景気動向により生活保護費が横ばいで推移する一方、保育などの児童福祉や、障がい福祉などの分野は当面伸びが継続する見込みです。 また、高齢化の急速な進行による介護保険会計や後期高齢者医療会計への繰出金の増加など、今後も社会保障費の増加が見込まれます。 b 公共施設の更新と将来世代の負担 札幌市では、1970年代から1980年代前半に多くの公共施設を整備したため、築30年以上の施設が全体の6割を占めており、更新時期の平準化を図っていく必要があります。 また、今後人口の減少局面に差しかかることを踏まえると、これまでと同じ水準で公共施設を維持・更新していくことは困難であることから、集約化や複合化の手法を活用し、機能は維持しながら施設総量を抑制し、計画的に更新していくことが必要です。 また、これら市有建築物や道路・上下水道などの公共施設の更新に当たっては、施設整備に必要な費用負担を世代間で公平なものとするために市債を活用しますが、将来世代の負担が大きくなりすぎないよう、引き続き市債の適切な管理に努めていく必要があります。 5 アクションプラン2015の評価 (1) まちづくりの取組 ア 計画事業費の進捗状況  計画事業費総額1兆3,257億円(平成27〜令和元年度(2015〜2019年度))に対し、平成27〜30年度(2015〜2018年度)の決算額及び令和元年度(2019年度)予算額(骨格予算まで)の累計額は、1兆2,122億円(進捗率91.4%)であり、概ね計画どおりの進捗となっています。 政策分野1 暮らし・コミュニティ 計画事業費3,080億円 実績事業費3,044億円 進捗率98.8% @互いに支え合う地域福祉が息づく街 計画事業費664億円 実績事業費539億円 進捗率81.1% A誰もが生涯現役で活躍できる街 計画事業費1,470億円 実績事業費1,484億円 進捗率101% B地域の課題を地域の力で解決する街 計画事業費946億円 実績事業費1,021億円 進捗率107.9% 政策分野2 産業・活力 計画事業費4,697億円 実績事業費3,945億円 進捗率84.0% C北海道経済の成長をけん引する街 計画事業費184億円 実績事業費193億円 進捗率105.2% D国内外の活力を取り込む街 計画事業費4,357億円 実績事業費3,593億円 進捗率82.5% E産業分野の人材を育む街 計画事業費156億円 実績事業費159億円 進捗率101.8% 政策分野3 低炭素社会・エネルギー転換 計画事業費584億円 実績事業費500億円 進捗率85.6% F自然と共生する環境負荷の少ない街 計画事業費305億円 実績事業費276億円 進捗率90.5% Gエネルギー効率の高い持続可能な街 計画事業費279億円 実績事業費224億円 進捗率80.2% 政策分野4 都市空間 計画事業費4,896億円 実績事業費4,632億円 進捗率94.6% H世界都市として魅力と活力あふれる街 計画事業費4,896億円 実績事業費4,632億円 進捗率94.6% 合計 計画事業費13,257億円 実績事業費12,122億円 進捗率91.4% イ 成果指標の状況 成果指標は、「世界都市として魅力と活力あふれる街」を除く8つの政策目標ごとに合計53項目(重複を除き47項目)を設定しています。 戦略ビジョン策定時の現状値と比べて、上昇30項目(56.6%)、下降22項目(41.5%)であり、上昇項目のうち、戦略ビジョン目標値の達成は8項目、アクションプラン2015目標値の達成は3項目となっています。 令和4年度(2022年度)における戦略ビジョンの目標値達成に向け、引き続き施策を推進する必要があります。 政策分野1 暮らし・コミュニティ 上昇9項目 下降10項目 @互いに支え合う地域福祉が息づく街 上昇3項目 下降3項目 A誰もが生涯現役で活躍できる街 上昇4項目 下降3項目 B地域の課題を地域の力で解決する街 上昇2項目 下降4項目 政策分野2 産業・活力 上昇13項目 下降7項目 C北海道経済の成長をけん引する街 上昇5項目 下降3項目 D国内外の活力を取り込む街 上昇6項目 下降2項目 E産業分野の人材を育む街 上昇2項目 下降2項目 政策分野3 低炭素社会・エネルギー転換 上昇8項目 下降5項目 F自然と共生する環境負荷の少ない街 上昇4項目 下降2項目 Gエネルギー効率の高い持続可能な街 上昇4項目 下降3項目 合計 上昇30項目 下降22項目 ウ 主な活動指標 主要事業(378項目)のうち、198項目(52.4%)について平成30年度(2018年度)中に目標を達成しており、令和元年度(2019年度)末における達成見込の105項目(27.8%)と合わせると303項目(80.2%)が計画期間内の達成を見込んでいます。 なお、達成困難又は困難見込は75項目(19.8%)となっており、社会情勢の変化等やむを得ない事情によるものもありますが、達成に向け更なる取組が必要です。 政策分野1 暮らし・コミュニティ 平成30年度までに達成した活動指標 81項目 令和元年度までに達成見込みの活動指標 40項目 達成困難又は困難な見込みである活動指標 16項目 政策分野2 産業・活力 平成30年度までに達成した活動指標 63項目 令和元年度までに達成見込みの活動指標 29項目 達成困難又は困難な見込みである活動指標 31項目 政策分野3 低炭素社会・エネルギー転換 平成30年度までに達成した活動指標 21項目 令和元年度までに達成見込みの活動指標 13項目 達成困難又は困難な見込みである活動指標 10項目 政策分野4 都市空間 平成30年度までに達成した活動指標 33項目 令和元年度までに達成見込みの活動指標 23項目 達成困難又は困難な見込みである活動指標 18項目 合計 平成30年度までに達成した活動指標 198項目 令和元年度までに達成見込みの活動指標 105項目 達成困難又は困難な見込みである活動指標 75項目 (2) 行政運営の取組 ア 行政運営の方針 アクションプラン2015の策定時は、経済規模の縮小や税収の減少など、札幌市を取り巻く社会経済情勢が厳しさを増していくことが予想される中で、人口構造の変化に伴う市民ニーズの多様化に対応していくことが必要でした。 そのためには、行政内部の徹底的な効率化はもとより、市民、企業、行政の総力を結集し、オール札幌で課題解決に取り組んで行くことなどが求められていました。 このような中、アクションプラン2015では、次の3つの方針を掲げ、後述する各取組を進めてきました。   <行政運営の方針> ○市民感覚を大切にする行政運営 ○市民力を結集する行政運営 ○道内自治体と連携する行政運営 イ 取組結果と評価 上記の3つの行政運営の方針に基づき、次の4つの具体的な取組を進めました。    ○市民力の結集に向けた取組 市民力の結集に向け、SNSの活用や市公式ホームページの改良など、よりきめ細やかで効果的な情報提供・発信を進めました。また、地域まちづくりビジョンの策定やNPO活動の支援などにより、市民・企業などとの協働を推進しました。 ○しごとの改革(市民サービスの向上、業務の効率化など) 繁忙期における区役所窓口の土日開庁、住民票のコンビニ交付サービス(平成30年度(2018年度)末時点の市内取扱い店舗数 約1,000店)の開始、市税(3税目)のクレジットカード納付の開始などに取り組み、行政手続の利便性を向上させることができました。また、旅費事務(平成30年度(2018年度)の取扱い件数 約3,900件)や非常勤職員関連事務の委託化、入札契約事務の集約など、内部管理業務の効率化を進めました。 ○より良い市民サービスを提供するための組織力、職員力の向上 年次休暇の取得促進などの長時間労働是正に向けた対策の実施や、管理職向けのマネジメント研修の拡充、有為な人材確保のための採用広報活動の拡充、民間企業への派遣研修の拡大など、組織力、職員力の向上に取り組みました。 ○道内連携の推進 北海道や道内市町村との連携を深化させ、札幌市を含む近隣12市町村との「さっぽろ連携中枢都市圏」の形成や、水道事業における近隣3市との緊急時連絡管整備などに取り組みました。 以上のように、市民ニーズを踏まえたより良いサービスの提供と、行政内部の効率化や職員力の向上などに取り組みました。計画していた56の取組全てについて、実施又は着手することができ、一定の成果は見られる一方で、札幌市を取り巻く情勢は今後ますます厳しさを増していくことが予想され、更なる工夫と取組の推進が必要な状況です。 (3) 財政運営の取組 ア 財政運営の方針 アクションプラン2015では、人口減少・超高齢社会の到来という社会状況の重大な転換点を迎える中にあっても札幌市が将来にわたり必要な市民サービスを提供していくために、財政運営の在り方や経営資源の配分を抜本的に見直す必要がありました。 そのため、計画事業へ重点的に経営資源を配分し、行財政改革の取組などによる財源確保を図るとともに、それらを見込んだ中期的な財政運営の大枠である中期財政フレームを設定し、毎年度の収支の進捗管理を行うことで、施策の推進と健全な財政を両立する「バランス」を重視した財政運営を基本方針としました。 そのうえで、この基本方針に基づき、次の3つの財政運営の方針を定めました。 <財政運営の方針> ○メリハリの効いた財政運営 ○都市の魅力や活力の創造に向けた積極的な財政運営 ○将来世代に過度な負担を残さない健全な財政運営 イ 取組結果と評価 上記の3つの財政運営の方針に基づき、次の4つの具体的な取り組みを進めました。 ○予算運営手法の改革 計画期間中の財政運営の見通しである中期財政フレームに基づく予算編成を行い、計画事業を着実に実施したほか、各局の予算編成に関する権限の拡大など局マネジメント機能の強化により、市民ニーズに即応した事業構築を行いました。 ○歳入・歳出の改革 限られた財源の中で行政需要に対応するため、事務執行の見直しなどを行い、事業の「選択と集中」を進めたほか、効率的な職員配置による職員数の見直しや、使用料・手数料に係る受益者負担の見直しなどに取り組みました。 ○財政基盤の強化 自立的な行財政運営の実現に向けて、収納率の向上や公有財産の戦略的な活用を進めたほか、再開発への支援や産業育成といった税収の維持・拡大を図るための施策を積極的に進めたことなどにより、平成30年度(2018年度)決算では、平成26年度(2014年度)対比で111億円税収が増加したほか、就労者数の増にも寄与しました。 ○財政規律の堅持 計画策定時の想定に対し、市債の残高を453億円抑制したほか、基金の取崩し額を59億円削減したことにより、将来世代に過度な負担を残さず、また、貴重な財源を引き継ぐことができました。 このように、取組による一定の成果は見られる一方、本市の財政基盤はいまだ脆弱であり、また、社会保障費や公共施設の更新など財政需要の増加は今後も続いていく見通しであることから、持続可能な財政構造への転換と、長期的な財政運営の視点が必要です。 6 計画体系とSDGs (1) 計画体系 この計画では、アクションプラン2015に引き続き戦略ビジョン(戦略編)におけるまちづくりの指針である8つの「創造戦略」と、戦略を促進する都市整備の基本方針である「戦略を支える都市空間(都市空間創造戦略)」を「まちづくりの取組」と位置付け、各創造戦略に基づき9つの政策目標を設定します。 また、これらの取組を効果的に進め、新たな視点と価値観で都市経営を展開していくため、特に踏まえるべき点である「戦略の展開に当たって踏まえるべき行財政運営の視点」を「行財政運営の取組」として設定します。 (2) SDGsの視点の反映 ア アクションプラン2019とSDGs 2030年(令和12年)に向けた国際社会全体の行動計画である「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(平成27年(2015年)9月第70回国連総会採択)では、宣言に加え持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)として17のゴール(目標)と169のターゲット(取組・手段)が掲げられています。 これらのゴールとターゲットは相互に関連して設定されており、1つのゴール・ターゲットの達成に取り組むことで、他のゴール・ターゲットにも寄与しうるものです。SDGsは、このようなゴール・ターゲットの達成により、持続可能な開発の三側面である経済・社会・環境の全ての分野における課題の相互関連性・相乗効果を重視し、統合的解決の視点を持ちながら、全ての主体が連携して取り組むことが重要とされています。 札幌市の最上位計画である戦略ビジョンでは、「暮らし・コミュニティ」「産業・活力」「低炭素社会・エネルギー転換」の3つを戦略的に取り組むべきテーマとして掲げています。これらをSDGsにおける持続可能な開発の三側面の視点に沿ったものとして捉え、8つの創造戦略(政策目標)とSDGsのゴールとを、また、施策の目標である成果指標とSDGsのターゲットとをそれぞれ関連付けることにより、持続可能な都市経営の実現に向けた方針を示します。 さらに、これら三側面を支える「都市空間創造戦略」及び「行財政運営の取組」についても、SDGsの視点を踏まえながら取組を進めます。  イ 成果指標と関連するSDGs一覧 戦略ビジョンでは、目標とする成果指標やロードマップを設定するなど、実現性を確保するための目安を設け、明確な進行管理を行うこととしています。 これらの成果指標について、札幌市の状況に応じて関連するSDGsのゴールを選定し関連付けることで、SDGs推進の視点を踏まえて施策を実施します。 7 基本方針と重点プロジェクト (1) 基本方針 我が国は人口減少や超高齢化といった時代の転換点を迎えており、官民を問わず様々な分野において社会経済活動の原資や担い手の不足が生じ始めています。 札幌市を取り巻く状況も同様であり、今後は、社会保障費の増加や、老朽化した公共施設の更新費の増加などが見込まれています。また、札幌市の生産年齢人口は平成17年(2005年)以降減少を続けており、このままでは、市民サービスや行政活動に欠かせない人材の確保も、今後ますます難しくなっていくことが懸念されます。 このような状況を踏まえ、第1章3(P.4)で示した「目指すべき都市像」に加え、持続可能なまちづくりを進めるため、市長が令和元年(2019年)6月に表明した施政方針「私の市政への思い」(以下「施政方針」という。)に掲げる2つの「未来のさっぽろ」の姿である「誰もが安心して暮らし生涯現役として輝き続ける街」と「世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街」を目指し、次の方針に基づいて取組を進めていきます。 ア まちづくりの取組 ○社会経済情勢等の変化を踏まえ、戦略ビジョン達成に向けた施策の推進 戦略ビジョン策定以降の社会経済情勢の変化や、アクションプラン2015に掲げた成果指標の達成状況を踏まえ、既存の継続的事業を含めた全ての事業について、その必要性や有効性を検証し、事業効果に着目した再構築を図ります。 また、市民の多様な暮らしを支える取組に力点を置くとともに、街の魅力と活力を高める取組を積極的に推進します。 イ 行政運営の取組 ○市民サービスの高度化に向け不断の市役所改革に取り組む行政運営 多様化する市民ニーズを的確に捉えながら質の高いサービスを持続的に提供していくため、札幌市を取り巻く厳しい状況を変革の好機と捉え、前例に縛られず、挑戦を恐れず、より効率的で生産性の高い市役所に変わっていくことを目指し、危機感と一層のスピード感を持って不断の市役所改革を進めていきます。 ウ 財政運営の取組 ○将来を見据えたバランス重視の財政運営 歳入・歳出の改革や、財政基盤の強化などの取組により確保した財源を、まちづくりの取組として計画化された重点施策に積極的に配分するなど、「選択と集中」を更に進めます。 また、新たな事業評価手法の検討などを通じ、長期的な財政の持続可能性にも配慮し、今後15年間の財政収支を見据えたうえで、計画期間の財政運営の大枠(中期財政フレーム)を作成し進捗管理を行います。 これらの取組により、足腰の強い持続可能な財政構造への転換を図り、将来世代の負担にも配慮しながら、長期的にバランスの取れた財政運営を進めていきます。 (2) 重点プロジェクト 「未来のさっぽろ」を実現するため、施政方針を踏まえ、計画期間内に重点的に取り組む課題を重点プロジェクトとして設定します。 また、持続可能な開発目標であるSDGsにおける、経済・社会・環境といった広範な課題に統合的に取り組む視点を重点プロジェクトに関連付けて推進します。 ア 「未来のさっぽろ」の実現 「未来のさっぽろ」の姿 ●誰もが安心して暮らし生涯現役として輝き続ける街 これからの人口減少・超高齢社会を見据え、誰もが安心して暮らし、人とつながり、生涯現役として必要とされ、札幌の市民であることに誇りを持ちながら、生き生きと輝ける街を目指します。 ●世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街 時代の変化を的確に捉え、新しい試みに大胆かつ果敢に挑戦し、国内外から人、モノ、情報などを引き付け、世界都市としての魅力と活力を創造し続け、北海道をリードしていく街を目指します。 イ 施政方針に掲げる6つのまちづくりと重点プロジェクト 施政方針で掲げた「6つのまちづくり」を踏まえて、今後、特に力を入れて取り組む必要がある事柄について、5つの重点プロジェクトとして設定し、組織横断的に取り組んでいきます。また、持続可能な形でこれらのプロジェクトを推進していけるよう、行財政運営に係る取組についても進めていきます。 6つのまちづくり @安心して暮らせる強く優しい街  A人材を育み成長を続ける躍動の街 B女性がさらに輝き活躍する街 Cすべての子どもたちが健やかに育つ街 D魅力と活力にあふれる成熟した街 E行政サービスを高度化し不断の改革に挑戦する街 1 住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくり 超高齢社会を見据え、健康長寿の街を目指す取組を推進し、高齢者や障がいのある方も住み慣れた地域でいつまでも安心して暮らせるよう、医療・介護・福祉などが一体的に提供される地域包括ケア体制の強化と暮らしを支援する取組を推進するとともに、ライフステージや身体状況に応じた住まいの確保に取り組みます。 ○成年後見制度利用促進事業(P.39) 権利擁護が必要な市民の発見・支援等に資する地域連携ネットワークを構築するとともに、その中核となる機関を整備します。 ○基幹型地域包括支援センター設置事業(P.40) 地域住民の潜在的支援ニーズを把握し、必要な支援につなげる基幹型地域包括支援センターを全区に整備します。 ○在宅医療・介護連携推進事業(P.40) 医療と介護の両方が必要な状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、関係機関と連携した在宅医療・介護連携を推進します。 ○介護給付費(重度訪問介護)の拡充(P.41) 重度訪問介護の介護時間数について、障がいや生活状況等の事情を勘案し、個々の状況に応じて決定する「非定型 」による支給決定を導入します。 ○住宅確保要配慮者 居住支援事業(P.43) 高齢者や低所得者等の住宅確保要配慮者の居住の安定確保に向けて、入居から退去までをサポートする相談体制の構築及び補助を実施します。 ○健康推進事業(P.50) 健康づくりの取組強化、推進に向けて、市民・企業・関係機関等との協働による啓発等の取組や環境整備を行います。 ○働く世代への健康増進アプローチ研究事業(P.50) 健康課題の多い働く世代を対象に、健康行動につながるような支援を行うとともに、その結果の検証を踏まえた効果的な施策を検討します。 ○各区における健康寿命延伸関連事業(P.51・P.52) 健康寿命の延伸に向けて、地域性や区の特色を活かしたウォーキング・健康づくりイベントを全区で展開します。 2 全ての市民の活躍を応援するまちづくり 子育て世代が安心して子育てしながら働くことができるよう、保育定員の拡大や保育人材の確保とともに、ワーク・ライフ・バランスの推進や女性が働きやすい環境づくりに取り組みます。 また、全ての市民が、年齢や性別、障がいの有無などに関わらず、その希望に応じて活躍することができるよう、高齢者の社会参加や市民の多様な就業ニーズを叶えられるまちづくりを進めます。 ○さっぽろ女性活躍・働き方改革応援事業(P.94) 女性が働きやすい環境づくりに係る課題の解決に向け、官民が連携し、立場の異なる多様な市民が参加するフォーラム等を開催します。 ○私立保育所等整備の推進(P.57・P.58・P.61) 私立保育所や認定こども園の整備等を促進するための整備費を補助し、保育定員を拡大するとともに、老朽化した施設を更新して耐震性能を向上させ、安全な保育環境を確保します。 ○保育人材確保緊急対策事業(P.57) 就労継続の支援、潜在保育士の掘り起こし、次世代の育成といった観点で効果的かつ継続的に保育人材の確保支援を行います。 ○子ども医療費助成制度の拡充(P.54) 子育て支援環境の充実を図るため、子ども医療費助成制度に係る通院の助成対象を小学校6年生まで拡充します。 ○就業サポートセンター等事業(P.95) 就業サポートセンターを中核に据えた就労支援施設を全区に展開し、職業紹介やセミナー等の各種サービスを提供し、市民の多様な就業ニーズに応えます。 ○高齢者の社会参加支援推進事業(P.50) 主に50歳代以上の市民に対して定年退職後の就労、社会貢献、生きがいづくりなどの社会参加に関する啓発事業を実施し、生涯現役社会 の意識醸成に取り組みます。 ○障がい者相談支援の拡充(P.41) 障がいのある方やその家族の地域生活を支えるため、福祉サービスの紹介や利用支援、生活の困りごとに対する相談等を行う相談支援事業所の体制を強化します。 3 子どもを健やかに育てるまちづくり 子どもたちが持つ無限の可能性を引き出し、最大限に伸ばしていくため、全ての子どもたちが健やかに育ち、学ぶことができる環境づくりを進めます。 また、子どもが安心して暮らせる街を目指し、児童虐待に的確かつ迅速に対応するための取組を進めるとともに、貧困などの困難を抱える子どもの支援や、様々な事情により義務教育を終えられなかった市民への「学び直しの場」の提供に取り組みます。 ○医療的ケア児 等の支援体制の充実(P.41・P.42・P.52・P.55・P.56) 小・中学校や公立保育所、児童クラブへの看護師の配置や、障がい福祉サービス事業所に対する医療機器等の整備補助の拡充など、医療的ケア児等の支援体制を充実します。 ○子どものくらし支援コーディネート事業(P.55) 地域を巡回して、困りごとを抱えた子どもや家庭を早期に把握し、必要な支援につなげるコーディネーターを配置し、子どもに関わる関係者との連携体制を構築します。    ○(仮称)第二児童相談所整備、区における相談支援体制の強化等 (P.54・P.55・P.58) 専門的な相談支援拠点としての第二児童相談所整備への着手や、各区保健センターへの母子保健相談員の配置などにより、児童虐待への迅速かつ適切な対応や、妊娠期からの切れ目のない支援の充実など、相談支援体制を強化します。 ○公立夜間中学設置検討事業(P.59・P.95) 様々な事情により、学校に行かないまま中学を卒業した方や小・中学校での就学機会が得られなかった方などに対し、「学び直しの場」を提供するため、公立夜間中学の開設を目指します。 ○小中連携・一貫教育推進事業(P.92) 全ての市立小中学校において、小中一貫した系統的な教育を進めることにより、義務教育の終わりまでに育成を目指す資質・能力を育みます。また、特に高い効果が期待できる地域において小中一貫校の設置の検討を進めます。 ○少人数学級の拡大(P.93) 一層きめ細かな教育を実現するため、35人学級の小学校3・4年生への拡大など、少人数教育の充実を検討します。 4 人材を育み成長を続ける躍動のまちづくり 人口減少・超高齢社会にあっても、まちの活力を維持していくため、将来を担う若い世代が札幌の街に定着できる取組を進めるとともに、人手不足が深刻な分野を中心とした人材確保対策を進めます。 また、市内外から多くの観光客を引き付けてやまない札幌の魅力を更に高めていくため、民間投資を活用した再開発事業の推進等により都市のリニューアルを進めるとともに、札幌を支える基幹産業である観光業の振興に更に力強く取り組みます。 ○スタートアップ創出支援事業(P.82) 若年層の雇用を創出し、域内での定着に結び付け、更には域外からも若年層を呼び込むため、スタートアップ創出に向けた相談窓口の運営等を実施します。 ○バイオベンチャー創出・支援環境整備事業(P.78) バイオベンチャー起業の促進、事業拡大を目的に、官民連携の地域ファンドを組成し、地域のバイオベンチャーを資金面・経営面でサポートします。 ○人材確保・育成の取組(P.40・P.42・P.57・P.82・P.92・P.95) 人手不足が顕著となっている、介護や障がい福祉、保育、建設産業及びIT産業における人材確保対策とともに、若者が地元企業の魅力等を感じる取組を進めることで地元定着の向上を目指します。 ○奨学金返還支援事業(P.92) 奨学金の返済を支援することにより、学生が地元企業に目を向ける機会を作り、希望就職先として選択してもらうことで、若者の地元定着の向上を目指します。 ○スノーリゾート推進事業(P.73) 札幌を都市型スノーリゾートシティとしてブランド化し、インバウンドを始めとした観光客の増加を目指すため、民間事業者による共同事業の実施を支援します。 ○都心における冬のアクティビティ創出事業(P.69・P.74) 札幌市北3条広場へのスケートリンクの設置等により夜観光の魅力を高め、札幌ならではの新たな体験型コンテンツを創出し、来札観光客の増加と都心のにぎわいにつなげます。 ○北海道新幹線推進事業(P.88) 北海道新幹線の札幌開業の早期実現と新函館北斗開業の効果拡大に向け、円滑な事業施行に向けた協議・調整や市民等への情報提供等を行います。 ○札幌駅交流拠点まちづくり推進事業(P.84) 北海道新幹線の札幌開業を見据え、北5西1・西2地区の再開発及び周辺街区の開発支援を行います。 ○創成川通機能強化検討調査事業(P.85) 都心と高速道路を結ぶ創成川通(国道5号)の機能強化を円滑に進めるため、市民との情報共有とともに、国等の関係機関と連携して必要な検討を行います。 5 将来を見据えた魅力と活力にあふれるまちづくり 先人達が築き上げ、市制施行100周年を迎える札幌の街を、豊かな形で将来の世代に引き継いでいくとともに、持続可能な形で、都市の魅力と活力に一層磨きをかけるまちづくりを進めるため、子どもたちに夢と希望を与える冬季オリンピック・パラリンピックの2030年招致に取り組むなど、スポーツの力を活かした豊かなまちづくりを進めます。 また、官民連携による低炭素で持続可能なまちを目指す環境エネルギー施策に引き続き取り組むとともに、北海道胆振東部地震における全道の完全停電、いわゆるブラックアウトの教訓を踏まえ、札幌の顔である都心において、エネルギー施策と連動した先導的なまちづくりに取り組みます。 ○冬季オリンピック・パラリンピック招致事業(P.68・P.88) 2度目の冬季オリンピック、初の冬季パラリンピック招致を目指し、次世代に過度な負担を残すことのない、まちづくりと連動した大会の開催概要計画の策定を行うとともに、機運醸成の取組や招致活動を行います。 ○公共施設や旅客施設等のバリアフリー化の推進(P.62・P.75) 冬季オリンピック・パラリンピック招致を見据え、区役所や公園などの公共施設や、バスターミナルや地下鉄駅などの旅客施設、民間の公共的施設等のバリアフリー化を推進します。 ○札幌ドーム活用促進事業(P.114) 札幌ドームにおけるアマチュアスポーツ利用の支援や、多様な規模のコンサートなど新規イベントの開催に対応する機能拡充を進めます。 ○市有施設未利用地・屋根活用事業(P.101) 災害対策用の電源として活用できる太陽光発電の普及促進に向け、学校等の市有施設や未利用地へ民間事業者を活用した設備導入を行います。 ○住宅・建築物の光熱費等の見える化推進事業(P.104) 環境性能の見える化による環境性能の高い建築物への誘導と、積雪寒冷地に適した省エネオフィスビル「札幌版ZEB 」のモデル構築を進めます。 ○都心エネルギープラン推進事業(P.103・P.118) 低炭素で持続可能なまちづくりに向けて、エネルギーネットワークの構築や省エネビルへの建て替えの誘導等に関するプロジェクトを官民連携により実施します。 ○水素エネルギー利活用事業(P.101) 水素エネルギーの将来の普及に向けて、官民及び地域連携のもと、再生可能エネルギーを活用した水素サプライチェーン を構築し、水素市場の創出を図ります。 8 計画の推進に当たって (1) 施政方針における市政運営の視点に立脚 計画の推進に当たっては、施政方針に掲げる市政運営の視点を十分に踏まえていきます。 ア 中長期を展望したまちづくり これからも魅力と活力を創造し続ける街であるために、中長期的な将来を展望した視点を常に持ちながら、SDGsの趣旨を踏まえつつ、都市の発展を継続させます。 イ 市民とともに歩む、市民に寄り添った行政運営 市民、企業、NPO4などを含めたオールさっぽろで地域課題に対応します。 また、常に「市民感覚」を持ち、いつでも地域に出向き、市民の声に耳を傾け、わかりやすい言葉で伝えるなどコミュニケーション能力を高めていきます。 ウ 将来を見据えたバランス重視の財政運営 最少の経費で最大の効果を挙げる、メリハリの効いた財政運営を基本とし、社会経済情勢等を踏まえた不断の見直しを行います。また、都市の魅力向上や地域経済の活性化による税収増に向けた未来への投資を行うとともに、市債や基金の適切な管理などによって将来世代に過度な負担を残さない健全な財政運営を堅持します。 エ 道内市町村との連携 道内178市町村と相互に補完し合う関係を築くとともに、北海道との連携を強めながら、道都として北海道活性化を牽引します。 また、札幌市を含む12市町村からなる「さっぽろ連携中枢都市圏」において、各市町村の強みを活かした魅力あるまちづくりを進めます。 (2) 成果の重視と指標を用いた進行管理  戦略ビジョンの実施計画であるこの計画では、戦略ビジョンにおいて目標とする成果指標の達成に向けて、計画期間内におけるアウトカム指標や定量的な目標値などを示す事業目標を各事業に設定し、その進捗状況を経年で把握・検証していきます。  これら2つの指標により、計画全体の進行管理を行い、当初の想定どおり推移していない指標や、目標値を超えて更に伸ばしていくべき指標に関連する事業については、毎年度、事業内容の見直しを行い、単年度予算に反映させることで、着実な計画の推進を図っていきます。 (3) 計画の柔軟な推進  札幌市を取り巻く社会経済情勢は今後も刻々と変化し、複雑多様化する地域課題や市民ニーズに的確に対応していくことが求められます。そのため、常に事業の必要性を検証しつつ適正な執行に努めるとともに、計画事業の見直しや新たな事業の実施などにより、柔軟に計画を推進していきます。