第3章 計画の基本的な考え方 1 障がいの概念 2011年(平成23年)の改正「障害者基本法」において、「障害者」の定義は、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」とされました。 これにより、難病1等に起因する障がいなど必ずしもそのまま身体障がい、知的障がい、精神障がいのいずれかの類型に当てはまらないものについても、「障がい」に含まれることが明確化されています。また、障がいのある方が日常生活及び社会生活において受ける制限は、障がいのみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるという考え方の下、障がいのある方の定義に「社会モデル」の視点が盛り込まれています。 したがって、本計画における「障がい」や「障がいのある方」についても、改正障害者基本法の定義を踏まえたものとします。 ※「障害」の表記について 札幌市では、障害の「害」の文字は、漢字の「害」という言葉に否定的な印象があるため、原則としてひらがなで表記しています。ただし、「障害者基本法」や「身体障害者手帳」といった、法律などで定められた用語については、漢字をそのまま使用しています。 ≪基本理念・基本目標・重要課題≫ 基本理念は、障がいのある方もない方も誰もが互いにその個性や能力を認め合い、共生する社会の実現です。 次に、本プランの基本目標については、3つあります。基本目標1は、あらゆる障壁をなくし、社会参加できる環境づくりです。基本目標2は、身近な地域で安心して暮らすことができる環境づくりです。基本目標3は、生きがいを持って自分らくしく暮らすことができる環境づくりです。 本プランの重要課題については、3つあります。重要課題1は、バリアフリー環境の整備と心のバリアフリーの普及啓発です。重要課題2は、感染症拡大や災害発生時なども見据えた孤独・孤立対策です。重要課題3は、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現で、SDGSの視点を含めます。 ≪施策体系≫ 基本目標ごとに、基本施策とそれに関する施策の柱があります。 基本目標1に係る基本施策は次の4つです。 @差別の解消・権利擁護の推進・虐待の防止 @に関する施策の柱は、障がいを理由とする差別解消や合理的配慮の提供などです。 Aバリアフリー環境の整備 Aに関する施策の柱は、建築物のバリアフリーや移動のバリアフリーなどです。 B情報アクセシビリティの向上・意思疎通支援の充実 Bに関する施策の柱は、障がい特性に応じたコミュニケーション支援や障がいに配慮した市政情報の提供などです。 C障がい等の理解促進 Cに関する施策の柱は、普及啓発、福祉教育の推進や社会貢献活動への支援などです。 基本目標2に係る基本施策は次の3つです。 @自立・相談の支援 @に関する施策の柱は、ニーズに対応した支援体制や障害福祉サービス提供基盤の整備などです。 A保健・医療の推進 Aに関する施策の柱は、障がいの原因となる疾病予防や難病に関する施策の推進などです。 B安全・安心の実現 Bに関する施策の柱は、災害時等の要配慮者対応や地域における見守り活動などです。 基本目標3に係る基本施策は次の3つです。 @療育・教育の充実 @に関する施策の柱は、療育の充実や学校教育の充実などです。 A雇用・就労の促進 Aに関する施策の柱は、雇用機会の拡充や一般就労の推進などです。 B文化芸術・スポーツの振興 Bに関する施策の柱は、文化芸術活動の推進や障がい者スポーツの振興などです。 2 基本理念と基本目標 札幌市では、「札幌市まちづくり戦略ビジョン」において、「互いに手を携え、心豊かにつながる共生のまち」を目指すべき都市像に掲げ、年齢や性別、国籍、民族、障がいの有無などにかかわらず、互いの個性や多様性を認め合い、誰もが生きがいと誇りを持ち、安心して暮らすことができる、格差のない共生社会の実現を目指して様々な取組を行ってきました。 2022年度(令和4年度)に新たにスタートした「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン」においては、新たに目指すべき都市像として「「ひと」「ゆき」「みどり」の織りなす輝きが、豊かな暮らしと新たな価値を創る、持続可能な世界都市・さっぽろ」を掲げ、国内外から活力を呼び込み、人口減少などの成熟社会における課題を一早く解決する拠点として、世界をリードし、持続可能で、多様性と包摂性のある世界都市を目指しています。 さらに、目指すべき都市像の実現に向けて、誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなっていること【ユニバーサル(共生)】、誰もが生涯健康で、学び、自分らしく活躍できていること【ウェルネス(健康)】、誰もが先端技術などにより快適に暮らし、新たな価値の創出に挑戦できること【スマート(快適・先端)】を「まちづくりの重要概念」として定め、まちづくりにおける諸課題について、分野横断的に統合的な課題解決が図られるよう進めることとしています。 さっぽろ障がい者プラン2024は、国の「第5次障害者基本計画」やプランの上位計画である「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン」を踏まえ、特に関係が深い「ユニバーサル(共生)」の視点から基本理念と基本目標を設定いたしました。 基本理念としては、「障がいのある方もない方も誰もが互いにその個性や能力を認め合い、共生する社会の実現」を掲げるとともに、多様性と包摂性があり、格差なく均等に機会が得られる社会の実現を目指して、移動環境や建物等のバリアフリー化や心のバリアフリーなどを進め、日常生活を始めとして様々な場面における障壁や困難を解消し、誰もが他者とつながり、交流できる環境を整えていくため、基本目標Tを「あらゆる障壁をなくし社会参加できる環境づくり」、基本目標Uを「身近な地域で安心して暮らすことができる環境づくり」、基本目標Vを「生きがいを持って自分らしく暮らすことができる環境づくり」としました。 これらの環境整備を通して、誰もが多様性を尊重し、互いに手を携え、心豊かにつながるとともに、支える人と支えられる人という一方向の関係性を超え、双方向に支え合う共生社会の実現を目指します。 3 重要課題と施策体系 国が定める「第5次障害者基本計画」は、2023年度(令和5年度)から2027年度(令和9年度)までの5年間を計画期間としています。第2次計画の期間では、2011年度(平成23年度)に改正「障害者基本法」、2012年度(平成24年度)に「障害者総合支援法」が成立しており、第3次計画の期間では、2013年度(平成25年度)に「障害者差別解消法」が成立したほか、「障害者権利条約」を批准するなど、障害のある人の権利利益が保障され、第4次計画においては、「障害者権利条約」を批准した後に初めて策定された計画であることから、条約の理念を随所に反映するなど整合性の確保が図られました。 第5次計画においては、2022年度(令和4年度)に成立した「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」を踏まえた社会的障壁の除去に向けた環境の整備など、これまでの取組や流れを踏まえ、国民誰もが相互に尊重し支え合う共生社会の実現に向けて、障がいのある方の自立と社会参加を支援する施策等の一層の推進が図られています。 本計画の基本理念である「障がいのある方もない方も誰もが互いにその個性や能力を認め合い、共生する社会の実現」に向けて、障がい当事者団体やユニバーサル推進に係る庁内関係部局、その他の様々な団体・機関等との協働により、本市の障がい者施策を総合的に進めていく必要があります。 国における近年の社会動向や本市の現状を踏まえ、本計画では、「バリアフリー環境の整備と心のバリアフリーの普及啓発」、「感染症拡大や災害発生時なども見据えた孤独・孤立対策」、そして「持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現」の3点を、重要課題として意識して本計画を推進します。 参考<第5次障害者基本計画> 【基本理念】 共生社会の実現に向け、障害者が、自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加し、その能力を最大限発揮して自己実現できるよう支援するとともに、障害者の社会参加を制約する社会的障壁を除去するため、施策の基本的な方向を定める。 【基本原則】 地域社会における共生等、差別の禁止、国際的協調 【各分野に共通する横断的視点】 ○ 条約の理念の尊重及び整合性の確保 ○ 共生社会の実現に資する取組の推進 ○ 当事者本位の総合的かつ分野横断的な支援 ○ 障害特性等に配慮したきめ細かい支援 ○ 障害のある女性、こども及び高齢者に配慮した取組の推進 ○ PDCAサイクル等を通じた実効性のある取組の推進 重要課題1 バリアフリー環境の整備と心のバリアフリーの普及啓発 国においては、共生社会の実現に向けた大きな二つの柱として、「心のバリアフリー」及び「ユニバーサルデザインのまちづくり」を「ユニバーサルデザイン2020 行動計画」(以下「行動計画」という。)として取りまとめ、行動計画の実行の加速化を図ってきました。 しかしながら、「心のバリアフリー」とは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うこと(行動計画から)と定義されますが、比較的、新しい言葉であることから、その意味も含めて社会における浸透が進んでいるとは言えません。 一方、札幌市では、2022年度(令和4年度)に新たにスタートした「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン」において、目指すべき都市像の実現に向けて、誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなる社会の実現【ユニバーサル(共生)】などを「まちづくりの重要概念」として定め、諸課題について、分野横断的に統合的な課題解決が図れるよう進めることとしています。 共生社会の実現に資する取組である「移動しやすい環境の整備」として、公共交通機関や多数の者が利用する建築物のバリアフリー化のほか、多くの市民が「心のバリアフリー」について理解できるような取組を進め、日常生活を始めとして様々な場面における障壁や困難を解消し、誰もが他者とつながり、交流できる環境を整えていくことが必要です。 参考<ユニバーサルデザイン2020行動計画> 【ユニバーサルデザイン2020行動計画の概要】 1 基本的な考え方 〇 障がいのある選手たちが圧倒的なパフォーマンスを見せる2020年東京パラリンピック競技大会は、共生社会の実現に向けて人々の心の在り方を変える絶好の機会である。 〇 障がいは個人の心身機能の障がいと社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障がいの社会モデル」をすべての人が理解し、それを自らの意識に反映していくことが重要。 〇 この機を逃さず、国民全体を巻き込んだ「心のバリアフリー」の取組を展開するとともに、世界に誇れるユニバーサルデザインのまちづくりを実現すべく取り組む。 〇 障がいのある人に関する施策の検討及び評価に当たっては、障がい当事者が委員等に参画し、障がいのある人の視点を施策に反映させることとする。 2 心のバリアフリーの推進のポイント 〇 障がいのある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障がいの社会モデル」を理解すること。 〇 障がいのある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。 〇 自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。 重要課題2 感染症拡大や災害発生時なども見据えた孤独・孤立対策 2020年(令和2年)1月以降の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は国民生活に様々な影響を及ぼしており、地震・台風等の災害発生時も含め、特に障がいのある方など配慮を要する人々が大きな影響を受けています。 さらに、感染症拡大防止のため身体的距離の確保やマスク着用等の「新しい生活様式」の実践が推奨された中、オンライン活用の拡大等がアクセシビリティ向上等に寄与する一方で、コミュニケーション方法の制約等が生じ情報取得等に困難を抱える障がいのある方もいます。 国においては、人口減少や少子高齢化といった社会環境の変化や地域社会における人と人とのつながりの希薄化、さらには新型コロナウイルス感染拡大の影響による地域の交流・見守りの場、相談支援を受ける機会の喪失等によって、孤独・孤立の問題が顕在化してきたことを踏まえ、2021年(令和3年)12月に「孤独・孤立対策の重点計画」を策定しました。 2023年(令和5年)5月には「孤独・孤立対策推進法」が成立し、孤独・孤立状態にある方への支援等に関する取組について、その基本理念、国等の責務、施策の基本となる事項等が定められ、札幌市においても、国が示す孤独・孤立対策の基本的考え方に基づき、感染症拡大や災害発生時なども見据えた取組を進めていく必要があります。 また、少子高齢化や核家族化の進展といった社会構造の変化により、「老々介護」や「ダブルケア」など、家族介護を取り巻く課題が多様化している中で、今後、家族介護者(ケアラー)にかかる負担は一層大きくなることが見込まれています。 北海道では、ケアラー支援に関する道民の理解を深め、介護に関する悩みや不安を抱える方を、それぞれの事情に合った支援につなぐことができるよう、「北海道ケアラー支援条例」を制定し、2022年(令和4年)4月に施行しました。この条例に基づき、2023年(令和5年)3月に策定された「北海道ケアラー支援推進計画」では、ケアラー支援に関する基本的な考え方や具体的な取組が示されるとともに、市町村においても、地域の実情に応じた相談支援体制を構築していくことが求められています。 札幌市においては、近年、ヤングケアラーが社会的課題となっていることを受け、2023年(令和5年)1月に「ヤングケアラー支援ガイドライン」を策定しました。ヤングケアラーとその家族が置かれている状況は様々であり、家庭内の課題が複合化している場合もあります。支援にあたっては、家族全体が支援を必要としているとの理解のもとに、関係機関が連携して、事例ごとに各分野の支援策を組み合わせながら対応していくことが必要であることから、支援の在り方・姿勢も意識しつつ、子どもに関わる分野、障がい福祉・高齢福祉などケア対象者に関わる分野における分野横断的な連携体制を構築の上、ヤングケアラーの発見や支援に取り組むこととしています。 これらを踏まえ、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」に関連した取組や障がいのある方が必要な情報に円滑にアクセスできるよう、障がいのある方に配慮したデジタル社会の実現に向けた取組、障がいのある方の家族などケアラー・ヤングケアラーの支援、災害対策基本法改正による個別避難計画の作成など本計画に掲げる多様な取組についても、非常時に障がいのある方が受ける影響やニーズの違いに留意しながら取組を進めることが必要です。 参考<北海道ケアラー支援推進計画> 【北海道ケアラー支援推進計画の基本理念】 1 個人の尊重と孤立の防止 ケアラーが個人として尊重され、ケアに関する悩みや負担を一人で抱え込まず、安心して暮らすことができるよう施策を推進する。 2 年齢や環境に応じた適切な支援 ケアラーの年齢や立場、家庭環境などに応じた適切な支援が行われるよう施策を推進する。 3 相互連携による地域全体での支援 道や市町村、関係機関、支援団体、民間事業者、地域住民が相互に連携を図りながら、地域社会全体でケアラーを支えるよう施策を推進する。 4 ケアラーとその家族への一体的な支援 ケアを行うケアラー、ケアを必要とする家族の双方について、一体的に支援が行われるよう施策を推進する。 5 子どもらしい成長や学びへの影響に対する配慮 ヤングケアラーへの支援は、本人の意向を踏まえつつ、子どもの権利擁護と教育の機会確保の観点から適切に行われるよう施策を推進する。 【北海道ケアラー支援推進計画の基本的施策】 1 普及啓発の促進 2 早期発見及び相談の場の確保 3 ケアラーを支援するための地域づくり 参考<孤独・孤立対策の重点計画(国)> 【孤独・孤立対策の基本理念】 1 孤独・孤立双方への社会全体での対応 〇 孤独・孤立は、人生のあらゆる場面において誰にでも起こり得るもの。当事者の自助努力に委ねられるべき問題ではなく、社会全体で対応しなければならない。 〇 一般に、「孤独」は主観的概念であり、ひとりぼっちと感じる精神的状態を指す。他方、「孤立」は客観的概念であり、社会とのつながりや助けのない又は少ない状態を指す。 ・ 当事者や家族等の状況は多岐にわたり、孤独・孤立の感じ方・捉え方も人によって様々であることに留意しつつ、当事者や家族等が「望まない孤独」及び「孤立」を対象に取り組む。 2 当事者や家族等の立場に立った施策の推進 〇 孤独・孤立の問題は、人生のどの場面で発生したかや当事者の属性・生活環境等によって多様。また、当事者のニーズや生活の基盤をおく地域の実情等も多様 〇 その時々の当事者の目線や立場に立って、切れ目がなく息の長い、きめ細かな施策を推進する。加えて、当事者の家族等も含めて支援する観点からの施策を推進する。 3 人と人との「つながり」を実感できるための施策の推進 〇 当事者や家族等が相談できる誰かや信頼できる誰かと対等につながっているという形で人と人との「つながり」を実感できることが重要 〇 社会のあらゆる分野に孤独・孤立対策の視点を入れ、広く多様な主体が関わりながら、人と人との「つながり」をそれぞれの選択の下で緩やかに築けるような社会環境づくりを目指す。 〇 行政機関において、既存の取組も活かして、分野横断的な対応が可能となる孤独・孤立対策の推進体制を整備した上で、住民組織やNPO等との連携・協働により、安定的・継続的に施策を展開する。 重要課題3 持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現 2015年(平成27年)9月、国連サミットにおいて全会一致で採択されたSDGsは、誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指す世界共通の目標であり、2030年(令和12年)を達成年限として、17のゴールと169のターゲットから構成されるものです。 「誰一人取り残さない」というSDGsの理念は、共生社会の実現に向け、札幌市が取り組む障がい者施策の推進と考えを一にするものであり、行政機関・事業者といった様々な関係者が共生社会の実現という共通の目標の実現に向け、協力して取組を推進することが求められています。 国においては、「障害者文化芸術推進法」の施行による、文化芸術活動を通じた障がいのある方の個性と能力の発揮及び社会参加のほか、「読書バリアフリー法」の施行により、障がいの有無にかかわらず、全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化を享受することができる社会の構築を進めています。 全ての国民が障がいの有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるとする「障害者基本法」の理念に則り、障がいのある方の権利擁護として、事業者に対して合理的配慮の提供を義務付けた改正「障害者差別解消法」の理解促進や障がいのある方への虐待防止の取組、障がいのある子どもの支援を進めるとともに、誰もが多様な選択肢を持ち得る社会を構築するため、障がいのある方の文化芸術活動促進や読書バリアフリーの推進に関する取組を進めることが必要です。 参考<障害者文化芸術推進法> 【障害者文化芸術推進法の背景・目的と基本理念】 1 背景・目的 〇 文化芸術は、これを創造・享受する者の障がいの有無にかかわらず、心の豊かさや相互理解をもたらす。 〇 障がいのある方による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進 →障がいのある方の個性と能力の発揮及び社会参加を促進 2 基本理念 〇 障がいの有無にかかわらず、文化芸術を鑑賞・参加・創造することができるよう、障がいのある方による文化芸術活動を幅広く促進 ○ 専門的な教育に基づかずに人々が本来有する創造性が発揮された作品が高い評価を受け、その中心が障がいのある方の作品であること等を踏まえ、障がいのある方による芸術上価値が高い作品等の創造への支援を強化 ○ 障がいのある方による文化芸術活動に係る地域での作品等の発表、交流等を促進し、心豊かで住みよい地域社会の実現に寄与 ○ 障がいのある方による文化芸術活動の推進に関する施策については、次のことが行われなければならない ・障害者による文化芸術活動に特化した措置を実施 ・文化芸術の振興に関する一般的な措置の実施における特別の配慮 参考<読書バリアフリー法> 【読書バリアフリー法の背景・目的と基本理念】 1 背景・目的 〇 視覚障がい者等(=視覚障がい、発達障がい、肢体不自由等の障がいにより、書籍について、視覚による表現の認識が困難な者)の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進 →障がいの有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与 2 基本理念 〇 アクセシブルな電子書籍等(デイジー図書・音声読上げ対応の電子書籍・オーディオブック等)が視覚障がい者等の利便性の向上に著しく資することに鑑み、その普及が図られるとともに、視覚障がい者等の需要を踏まえ、引き続き、アクセシブルな書籍(点字図書・拡大図書等)が提供されること 〇 アクセシブルな書籍・電子書籍等の量的拡充・質の向上が図られること 〇 視覚障がい者等の障害の種類・程度に応じた配慮がなされること