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更新日:2019年8月23日

ホッキョクグマの赤ちゃん誕生のお知らせ

画像:ララ。
母:ララ

画像:デナリ。
父:デナリ

 2008年12月9日(火曜日)、ララが待望の赤ちゃんを出産しました。
 現時点では、1~2頭の赤ちゃんの鳴き声と、「ブブブブブブ」という母乳を吸う音を確認しています。
 ホッキョクグマは、2006年に国際保護連合(IUCN)により絶滅危惧種に指定されました。
 今回の出産・生育が順調であれば、絶滅危惧種指定後、日本で初めての成功例となります。また、2000年以降にホッキョクグマの繁殖・生育に成功しているのは、日本においては円山動物園だけです。
 飼育下でのホッキョクグマの自然繁殖は難しいとされており、世界中の動物園でも年に数頭しか成功しないため、今回の出産は非常に貴重です。
・出生日時 平成20年(2008年)12月9日(火曜日)午後10時50分ごろ
・出産頭数・性別・体重について
 出産前後の母グマは非常にデリケートで、監視カメラの映像と音声のみで生育状況を確認しているため不明です。これまでの円山動物園の記録から、新生児の大きさは体長およそ30cm、体重およそ500g程度と思われます。
・円山動物園の飼育・繁殖状況
(1) 飼育個体
デナリ(オス・15歳)、ララ(メス・14歳)、さつき(メス・17歳)
(2) 繁殖実績
平成15年(2003年)12月11日 ララ出産 ツヨシ(メス)
平成17年(2005年) 1月22日 ツヨシ、釧路市動物園へ転出
平成17年(2005年)12月15日 ララ出産 ピリカ(メス)
平成19年(2007年) 2月 2日 ピリカ、おびひろ動物園へ転出
・ホッキョクグマの現状
 狩猟・北極圏の環境汚染・地球温暖化等の影響を受け、2006年に国際保護連合(IUCN)により絶滅危惧種に指定されました。現在は野生下での生息数は約22,000頭とされています。
 世界の動物園では、2005年現在で160施設360頭が飼育されており、飼育頭数の減少が加速しています。日本では、2007年現在24施設49頭が飼育されています。
・今後のスケジュール等
 「世界の熊館」は出産準備のため11月から閉鎖中で、母グマが光・騒音等のストレスにより育児放棄などに至らないようにするための措置として、現在も観覧はできません。何卒ご了承ください。
 ララが安心して子育てに専念できるよう、職員もしばらく世界の熊館には立ち入りません。
 飼育下のホッキョクグマは、誕生後も無事に生育しない例が数多くあります。今のところララの赤ちゃんは元気な声をあげていますが、無事公開となるまでの間、私たちは健全な生育を祈って見守るしかありません。
 今後は、赤ちゃんの成育を監視カメラで見守りながら、3月下旬には性別判定のためのDNA鑑定を行う予定ですが、最終的な確定には1年以上かかる場合があります。
 なお、赤ちゃんの一般公開も3月下旬を予定しています。

■出産時の映像・赤ちゃんの鳴き声
・2008年12月9日・ララ出産時の映像
一般回線用(32k/秒)
高速回線用(218k/秒)
※これは、札幌トヨペット株式会社様から寄贈されたサーモグラフィーカメラの映像で、ララが赤ちゃんを産み、くわえあげたときのものです。
・2008年12月16日・赤外線カメラの映像(母子の姿は映っていません。赤ちゃんの鳴き声をお聞きいただけます)
一般回線用(32k/秒)
高速回線用(218k/秒)

画像:ララ出産時のサーモグラフィの映像キャプチャ

出産直前の22時52分、折り良くララがサーモグラフィカメラに映る位置に顔を出してくれました

画像:ララ出産時のサーモグラフィの映像キャプチャ

22時54分32秒、身動きし、頭を奥に向けました

画像:ララ出産時のサーモグラフィの映像キャプチャ

膣口が開いているのがわかります

画像:ララ出産時のサーモグラフィの映像キャプチャ

22時54分36秒、子を産み落とすために身じろぎしており、カメラ側に背を向ける体勢になりました
膣口ががどんどん開いています
左側が壁になっており、一部は隠れて見えません

画像:ララ出産時のサーモグラフィの映像キャプチャ

22時54分38秒、とうとう赤ちゃんが生まれました
壁に隠れて体の半分しか見えませんが、確かに生れ落ちる瞬間をとらえました

画像:ララ出産時のサーモグラフィの映像キャプチャ

22時54分59秒、産み落とした赤ちゃんを見るため、ララがカメラ側に向き直ります
赤ちゃんの姿は壁に隠れて見えなくなってしまいました

画像:ララ出産時のサーモグラフィの映像キャプチャ

22時55分49秒、ララが赤ちゃんをくわえました

画像:ララ出産時のサーモグラフィの映像キャプチャ

この後、胸元に運んで体を舐めてあげたようです

■関連リンク

画像:ピリカ姉ちゃん?
参考:生後3ヶ月のピリカ

ツヨシの思い出(2003年12月11日生・メス)
ピリカの思い出(2005年12月15日生・メス)
 赤ちゃんが2頭の姉のように元気に育ち、その愛くるしい姿を見せてくれるまで、今はただ静かに待つことしかできません。
  ホッキョクグマはここ数年で、地球温暖化による犠牲者のシンボル的存在となってしまいました。
 希少な動物の赤ちゃんは、愛くるしいだけでなく、自然からの大使、メッセンジャーでもあります。
 この子を通して、野生下のホッキョクグマについて、彼らを取り巻く問題について、そして、生き物が多様であることの大切さについて、思いを馳せていただくことを願ってやみません。
 また、ララの出産にあたり、たくさんの方からご支援と温かい励ましを頂きました。ここに厚くお礼申し上げます。

(2008年12月17日・記)

<2019年8月23日リンク修正>


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電話番号:011-621-1426

ファクス番号:011-621-1428