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この計画は国内で飼育されているユキヒョウたちの繁殖状況や遺伝的多様性などを考慮して策定されるもので、国内の飼育園が互いに協力し合いながら取り組んでいます。
飼育されている動物たちの遺伝的多様性を100年間維持するためには、最低でも50頭の個体が必要といわれていますが、2016年末時点で、ユキヒョウの飼育頭数は国内10園館で21頭のみであり、個体数の増加が望まれています。
また現在、日本のユキヒョウたちは、多摩動物公園で飼育していた「シンギズ」の系統個体が大半を占めており、現在、「シンギズ」と血縁がなく、かつ、繁殖が可能な個体は、オスで2頭、メスでは当園で飼育する「リーベ」と「シジム」を含めて4頭しかいないため、血統の偏りが著しい状況となっています。
また、ユキヒョウはCITES(ワシントン条約)に基づき国際取引が規制されており、海外からの新たな血統の導入も簡単には進められないのが現状です。
この状況を踏まえ、ユキヒョウ飼育園関係者で今後の繁殖について検討を行った結果、以下の理由により、当園の「リーベ」と東山動物園の「コハク」を浜松市動物園で繁殖する計画が立てられました。
1. 「リーベ」は海外から導入された個体であり、貴重な血統であること。
2. 「リーベ」の相手となる「コハク」は、母方の血統が今後維持できる可能性が低い個体であり、「リーベ」とのペアは、国内ユキヒョウ個体群にとって貴重な組み合わせになること。
3. 「リーベ」は円山動物園で飼育中の「アクバル」との間に3頭の子を残しているが、血統の偏りを考慮すると、これ以上の「アクバル」との繁殖は望ましくないこと。
4. 浜松市動物園は以前からユキヒョウ飼育の実績があり、2頭の繁殖に向けた飼育環境整備を進める予定であること。
「リーベ」は14歳と、ユキヒョウとしては高齢の部類に入りますが、健康上の問題は見られないこと、過去に繁殖経験のある経産個体であり、現在も良好な発情が見られていることなどから、繁殖の可能性があると判断し、本計画に協力させていただくことを決定いたしました。
また、移動先である浜松市動物園に対しても健康管理及び飼育環境についての配慮を依頼しました。その結果、浜松市動物園では、寝室での冷房管理を行うとともに、寝室と展示場を自由に出入りできるようにし、展示場内への日よけやベッドの設定など、立体的な展示を行い、飼育環境に配慮いただけるとの回答をいただいております。
当園としましても、今回の移動及び繁殖にあたっては、「リーベ」の健康状態が優先との考え方のもと、移動に併せて健康診断を実施するなど「リーベ」の体調に十分に配慮していきます。また、移動後の健康管理や繁殖方法等についても、浜松市動物園と協力してできる限りの対処を行い、事故や健康への影響が起きないように細心の注意をはらっていきたいと考えていますので、ご理解とご協力をお願いいたします。
※(公社)日本動物園水族館協会
国際的な視野に立って自然や貴重な動物を保護するためにできた動物園や水族館の団体。貴重な動物の繁殖など、単独の動物園や水族館ではできないことを協力して行っています。
浜松市動物園への転出にともない、ユキヒョウの「リーベ」は2月14日(水)以降はご覧いただくことはできません。今まで「リーベ」をあたたかく見守っていただきありがとうございました。これからも応援よろしくお願いいたします。
2月12(月)~13日(火)の展示場所は以下のとおりです。
2月12日(月)⇒屋内展示場 9:30~16:00
2月13日(火)⇒屋外放飼場(メイン) 9:30~16:00
※天候や動物の状態により変更となる場合があります
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