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更新日:2021年1月18日

提言書手交式の様子

市民動物園会議からの説明

市民動物園会議 吉中委員長

吉中委員長

昨年から、条例という形で動物園とはなんぞやということをしっかり決めようということで、市民動物園会議から専門部会を立ち上げて、環境分野の方、動物園分野の方、法律の専門の方にも参画いただいて、そこで1年かけてここまでまとめていただいたものになります。10月の市民動物園会議で最後にご議論いただいて、概ね皆さん了承いただいて、こうして提言書の形で提出することができることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

動物園条例検討部会 金子委員長

金子委員長

昨年ビジョン2050をまとめさせていただきましたが、その中で条例の必要性を検討することや、市長の公約にもしていただきまして、1年かけて検討してまいりました。その概要について簡単に説明させていただきます。
まずこの条例自体は、全国で初めての条例になるかと思います。
構成は前文と、1章から6章になります。第1章に目的として自然と人が共生できる持続可能な社会の実現を図ることを掲げており、これは盛んに言われています、SDGs、持続可能な開発目標と合致するものと考えております。これを受けまして4章には円山動物園が行う取組事項を書いていまして、3章には円山動物園だけではなく札幌市の動物園が生物多様性の保全や動物福祉の取組を目指す場合には、登録をしていただいて、その登録いただいた園館については市がサポートするという流れとなっています。市民との協働というものも盛り込んでいまして、5章に基金、6章に市民動物園会議の章を設けています。
条例の目標は生物多様性の保全というものと、過去の動物の死亡事故を受けて動物の福祉というものの2つを両立させるという柱立てをしています。
最後に付帯意見がございまして、動物福祉の取組としては動物園条例だけでは不十分という意見から、別途、動物福祉条例を検討すべきということ、定期的に見直しをしていくべきということ、市民にわかりやすく伝わる広報とか普及啓発活動を行ってほしいということを記載しています。
この条例ができることによって、札幌の市民の皆さんが全国で初めての条例に基づいて取組を行う動物園が札幌にあるということを広く知っていただくことや、動物園として市民へ色々なプログラムを提供していくと、そういうことが市民の誇りにるということを私どもとしても期待しているところです。

動物園条例検討部会 伊勢副委員長

伊勢副委員長

日本で初めての動物園に関する条例ができるということで、そこに携わらせていただきましたことに私自身といたしましても感謝申し上げます。札幌の条例が国内に広がり、また国法として動物園・水族館のために法令化されることになるのではないかと、期待しています。またそれが実践されることで、国内外含めて、動物の保全や保護に非常に強く寄与されることと思いますので、札幌市の条例に期待しているところです。

市長コメント

市長

今日はありがとうございます。1年という長い期間、様々な視点からご検討いただき、提言をまとめていただきましたことを改めて感謝申し上げたいと思います。
日本にはこういった関係法令、類似の条例がない中で検討いただいたということで、ご苦労されたのではと思いますが、定義含め野生動物の保全と動物福祉という両方を兼ね備えた形での条例への提言をまとめていただいたことに大変感謝申し上げます。動物園・水族館という定義そのものをしっかりしていただいて、そこに動物福祉の視点を取り入れていただいた条例は、わが国では初めてのことだろうと思います。この考え方が一つの法令につながっていく、あるいは他都市の条例化の動きにつながっていけばと思うところです。
以前、札幌市でも円山動物園で動物が残念ながら亡くなるという事故があって、動物福祉の観点で施設のあり方のみならず、体制についても様々な方々のお力を借りてここまでやってこれたと思いますし、改めて条例に向けて提言をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。先日、NPO法人の方からエンリッチメント大賞という大変ありがたい賞をいただいた状況がございまして、これまでの動物福祉に関する様々な活動がこういった賞につながったものかと思っています。
また今回、基金の設置、登録制度ということにも、幅広く提言いただいたことについて、これから市内部でご提案の趣旨を踏まえた条例化に向けての作業をしていきたいと思っているところです。
こういった(提言いただいた動物園等の)活動で、日本全体の動物園・水族館のネットワークができて、また世界の施設とつながっていくということが市民プライドにもつながっていくところかと思っています。
改めて、ご苦労いただきましたことを感謝いたします、ありがとうございました。

委員への質疑

報道機関の質問

今回提出された提言書の中で一番訴えかけたかった部分、そしてこれが世の中に影響があるだろうと思われる部分はどういった部分でしょうか。

委員の回答

市長もおっしゃったように、まずこれが日本初の市町村単位での条例、動物福祉と生物多様性の保全というのを大きな目標にあげたというのが、一番のポイントかと思います。
やはり訴えたいところは、動物園というのは、ややもすれば、ただ動物を見る、あるいは動物園に付属する遊園地的なところで楽しむという娯楽的な要素がかなり強かったと思いますし、市民の方々も一部そういった施設ではないかと思われている方も多いのではないかと思います。
しかしながら、実際に世界の流れを見てみますと、動物園で飼育している野生動物の多くが絶滅の危機にあって、動物園というのはその絶滅を救うために重要な役割をしているというのが、世界的な認識になりつつあります。
このことから、遊び場としての動物園というよりは、野生動物を保全する、生物の多様性を保全するということと、その動物がどういう立場に置かれているのかということをきちっと市民に伝えるという環境教育をメインにだすということです。
その前提には、先ほどお話しましたけれども、動物福祉、5年前に痛ましい事故がありましたので、そこを踏まえたうえで、生物の多様性の保全と環境教育に力を入れていくということが訴えたいことでもありますし、全国初ということで苦労したところでもあります。

報道機関の質問

今回、提言書ということで市にお渡しされましたけれども、今後市の対応にはどういったことを求めたいとか、そういった要望等はありますか。

委員の回答

今、市長から非常に心強いお言葉をいただいたので、安心しているというか、すごく期待しているんですけれども、(検討部会で)1年かけてしっかりともんでいただいて、さらに世界的な視野でも世界に誇れる条例の中身を提言申し上げたと思っていますので、それを最大限踏まえていただいて、具体的な条例という形で制定していただければありがたいと考えています。

報道機関の質問

先ほどおっしゃってた中身で、苦労したというのもあったと思うんですけれども、一番苦労したポイントがあれば教えていただいてよろしいでしょうか。

委員の回答

部会自体は9回行ったのですが、一つには日本で最初ということで前例がない、一方で生物多様性、種の絶滅問題等に関しては待ったなしの状況ということで、国際的なスタンダードにならなくてはいけないということです。
そのため、新しいけれども、オリジナルのものというよりは国際的にみて標準になっていなくてはいけないということ。
それから、条例というのが市の法律ですので、条例というと罰則といいますか、違反をすると罰金が科せられるとかですね、そういう検討も少ししたのですけれども、そうではなくて生物多様性の保全に取り組む活動をサポートしていこうということでポジティブな形の条例にしたいということで罰則規定は盛り込んでいないです。
そういったところの工夫をするというところが一番気を使ったところで、そういう中で登録制度を新しく入れたりしています。
その辺りが難しいところでもあり、新しいところでもあるということになります。

報道機関の質問

今回の提言書の中でも第4章で円山動物園のことにふれられてると思うのですが、この条例が実際に施行された場合に、円山動物園が大きく変わるとか、何か変化を市民が感じることは出てくるのでしょうか。

委員の回答

市民の方からみてみると、自分のところの動物園が世界標準なんだと、世界に誇れる動物園がやるべきことを目指している動物園なんだという意識をもし持っていただけると、それが一番大きな変化だと思っています。円山動物園自体については、ビジョン2050という動物園の職員の方と一緒に作り上げた2050年までのビジョンがありますから、それに沿って着実に今いいところはさらに良くする、ちょっと足りないところはなんとかプラスに転じるという方向になっていくと思いますので、一つは市民の方々にさらに円山動物園に愛着を持っていただいて、誇りに感じていただけるようになるのではないかと期待しています。

報道機関の質問

提言書26ページのところに、動物の展示及び教育活動の原則というのがありまして、直接または餌を介してやる体験とか、擬人的な表現、演芸をさせないという項目がありました。それというのはどういう意味があるのか、というのも今現実にふれあい動物園とか、水族館でいえばタッチプールやアシカショーなどが含まれていると思うのですが、これについて教えてください。

委員の回答

ここのところも非常に議論があったところではあります。最近の動物福祉を考えた場合は、餌をやるとか、擬人化、例えば服を着せたり自転車にのせたりといったサーカスみたいなことをさせるというのは、問題があるだろうということです。
それと、生物の多様性の保全というのは、本来野生で、人とは離れていた動物の保全をしなくてはいけないということで、動物との距離を考えなくてはいけないだろうということで、例えば子どもたちに餌をやらせるということは野生の中ではあり得ないことですので、動物福祉と同様に生物の多様性の保全上からも好ましくないだろうと。
ただ、どれがダメでどれがいいかというのは、ケースバイケースということで、今後この登録制度で登録していただく園館あるいは円山動物園の様々なプログラムも一つずつ検討していかなくてはいけない。
提言書の中に入れてはいますが、場合によっては、環境教育上必要と判断される場合は、それは行うようなプログラムもあろうかと思います。
ですから、一義的にこれは絶対ダメで、これはいいというような線引きのできるようなものではないということでご理解いただければと思います。
今後検討しながらケースバイケースで考えていければと考えています。

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