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更新日:2016年2月25日

第三回フォーラム開催記録 - 詳細記録

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市電フォーラム 「みんなで考えよう路面電車のこれから」
 第3回「市電の存廃の方向性について」

第3回フォーラムの様子
《1 開催概要》
 ■ 日 時:平成17年3月29日(水曜日)18時30分~20時40分
 ■ 場 所:札幌すみれホテル 3階ヴィオレ(中央区北1条西2丁目)
 ■ 来場人数:一般参加者146名、説明・講演者等6名、事務局9名 その他21名 合計182名

《2 プログラム》
 1 開会挨拶  札幌市企画調整局長  下平尾 文子
 2 これまでのまとめと本日のフォーラムの目的と進め方 コーディネーター 石塚 雅明 氏
 3 路面電車存廃の検討結果について 札幌市企画調整局総合交通計画部交通企画課長 二木 一重
 4  RACDA(路面電車と都市の未来を考える会)の取り組みについて 
 RACDA(路面電車と都市の未来を考える会)副会長 齋藤 桂 氏 
 5 休憩(質問票回収)
 6 パネルディスカッション
 「路面電車とまちづくり」

 パネリスト 

北海道大学大学院教授 都市環境工学専攻

佐藤 馨一 氏

RACDA(路面電車と都市の未来を考える会)副会長

齋藤   桂 氏

札幌狸小路商店街振興組合理事長

竹内 宏二 氏

札幌市長

上田 文雄 

コーディネーター

石塚 雅明 氏

 7  閉会挨拶  札幌市企画調整局総合交通計画部長   高宮 則夫
《3 プロフィール》

 佐藤 馨一 氏
 北海道大学大学院工学研究科 教授
 1944年 青森県生まれ
 1967年 北海道大学工学部卒業
 北海道総合開発委員会委員
 札幌市総合交通対策調査審議会委員
 札幌市都市計画審議会委員 

 齋藤 桂 氏
 路面電車と都市の未来を考える会 副会長
 岡山・まちづくり推進機構 幹事
 1961年 坂出市生まれ
 父の転勤で幼少期を札幌市で過ごす
 1979年~1999年 百貨店勤務
 2005年 岡山市役所 臨時職員として勤務予定

 竹内 宏二 氏
 (株)竹内商店代表取締役社長
 札幌狸小路商店街振興組合理事長
 札幌TMO運営委員会副委員長
 社団法人全国商店街振興組合連合会副理事長
 1940年 札幌市生まれ

 コーディネーター
 石塚 雅明 氏
 (株)石塚計画デザイン事務所 代表取締役
 1952年 札幌市生まれ
 1981年 北海道大学工学部大学院修士課程修了
 1983年 柳田石塚建築計画事務所 設立

《4.フォーラムの概要》

■これまでのまとめと本日のフォーラムの目的と進め方(石塚)
 札幌市として市電の存続を決断されたわけですが、今日は、決断をされた経緯や存続の基本的考え方、そして今後検討が必要な課題について、ご報告いただきたいと思います。続いて、岡山で路面電車とまちづくりを考える市民運動をされている齋藤さんから、市民ぐるみで路面電車とまちづくりをどう元気づけていけるか、いろいろな取り組みや、今後市民の皆さんと取り組みを考える上での素材を提供していただきたいと思います。後半のパネルディスカッションでは市長にも入っていただき、直接市電にかける思いをお聞きし、今後の課題について各界の方々とご一緒に考えていきたいと思っています。
 本題に入る前に、1、2回のフォーラムを振り返りたいと思います。第1回のフォーラムでは、市電を残すべきか残さざるべきかということで、特に経営の赤字問題をどう考えていくのか、そして老朽化している車輌や車輌基地などの設備を更新する90億円というお金を投入するだけの価値があるかどうか、市民ぐるみで考えたいということで、このフォーラムがスタートしたわけです。広島電鉄の電車カンパニープレジデントの中尾さんには、民間企業でどこまでコストを削減して市民の足を守れるのかということを、詳しい事例を交えてご報告いただき、元気をいただきました。
 第2回目は公募でご参加いただいた4名の市民の方に、それぞれの立場から市電の問題をどう考えるか発表をいただき討議をしました。多くは存続を望まれるご意見でしたが、現在の山鼻・山鼻西線地区の足としての市電であれば経営的には厳しく、路線を延ばし、観光客にも活用できる魅力ある都心の足として考え直すことで、存続の可能性が開けるのではという議論がされました。市民運動をされているLRTの会の方から、具体的なご提言をいただきましたが、経費や設備投資の問題についての突っ込んだ議論は、される時間はありませんでした。そういう突っ込んだ議論は、今後1?2年の時間をかけ市民ぐるみで議論し、存廃の結論を出していきましょうというのが第2回の結論でしたが、第3回を迎える前に、札幌市から存続の決断がされたわけです。ただ、課題が解決されたわけではなく、課題を残しながらも一歩前向きに市電をまちづくりに活かすという道を選択されたということだと私は捉えております。

■「路面電車存廃の検討結果について」(二木)
 1・2回のフォーラムを通じて、皆さんに路面電車の抱えている色々な問題についてご理解いただき、ご意見をたくさんいただきました。3回目にして「存続します」という結論を出せて、非常にホッとしている心境です。ただ、課題や整理しなくてはいけないことがあり、それをこれから市民の皆さんと一緒に考えていかなければいけないと考えています。
 既に広報の3月号で概略の情報を市民の皆さんに提供していますが、端的にご説明いたします。
 市としては、平成15年度末までには存廃について一定の結論を出すということで取り組んできましたが、いろいろなアンケートや、効率化の面や路面電車の資金についての市議会等の意見を整理し、市役所内部の検討会で議論した結果、存廃の結論については一定の課題が浮かび上がってきました。この課題は5点ほどありました。それぞれについて検討が必要ということで、今年度もう一度議論をし、さらに民間事業者へのヒアリング調査、それによる費用対効果の検証、さらなる内部検討という形で、この1年間進んできたところです。
 まず1点目の経営形態の見直しによる効率化については、民間事業者にヒアリングした結果、民営でやればそれなりの効果が期待できるという可能性が見えてきましたが、設備投資も丸抱えでの独立採算は難しいというご意見がありました。それを検証するため、人件費、経費を中小事業者並みのコストに押さえ、低床車輌の更新や施設改良などの90億円の設備投資を一括で行うという条件の元でシミュレーションしました。その結果、年間約5?6億円程度の財政支援が必要ではあるが、このまま市の運営でやった場合と比較すると、2割から3割の経費削減効果が出てくるという試算がなされました。ただ、民間事業者からは、これまで路面電車に対しての構想や活用方策が示されておらず、民間としては参入しづらい、また4丁目とすすきので離れている形態では非効率であるというご意見もありました。そういうことで、一旦は活用方策について市として方向性を示す必要があり、その上で、経費削減策や、税投入が少なくて済む形を模索する必要があると考えています。
 2点目は設備投資の問題です。90億円をかけるとなると、まずは路面電車の将来の活用の仕方を議論した上で、低床車輌など相応しい車輌のあり方も議論し整理する必要があります。民間でやりくりする場合、事前投資をドンとやって、割賦で行政が負担する手法もあるということも見えてきました。そういう手法が確立されるまでの間については、ある程度車輌の改修でしのぐという形で整理しています。
 3点目の、料金の問題についてもシミュレーションしました。現行の170円の料金を200円にした場合、約1億程度の増収は見込めますが、設備投資も含めて全部まかなえるという結果にはなりませんでした。また現在の経済情勢から料金を値上げできる状況にないこともあり、市民議論を踏まえた検討が必要と考えています。そういう意味では、今後の活用方策が定められないと、料金を上げるべきか否かという部分も定かにはなりませんし、また、投資に見合うだけの利用者の負担というのも当然考えていかなければなりません。
 4点目の財政支援の問題ですが、あわせて経営形態の効率化の考え方も整理しなければなりません。民間活力を導入した場合のシミュレーションの結果は、先ほど言いましたように、事業期間を20年間とした場合には、年間5?6億円の支援は必要との結果が出ました。経営のあり方、料金のあり方、需要喚起・増収対策を総合的に勘案して、最終的に財政支援が必要な分については、最小限の税投入をしていく必要があると考えています。
 最後に5点目の需要喚起については、昨年来電車の色々なキャンペーンや、一日乗車券の発行の実験などを行いました。これらを今後もイベントなどと組み合わせながら、打っていく必要があると考えています。それと昨年の11月から南1条線における路面電車の優先信号が実稼動されました。注意して乗ってみますと、やはり1条線はスムーズに流れているという感じを持っています。
 こういう経過で、一応5つの課題について一定の整理ができたと思っています。一方、フォーラムや広報等を通じて様々な取り組みをしました。フォーラムでは、皆様のご意見から、路面電車は存続すべきということはもちろん、「ループ化や延伸など路面電車を積極的にまちづくりに活用するんだ」という意思が強く感じられました。15年度に取り組んだ内容と、フォーラムを通じた市民議論、広報さっぽろを通じての情報提供、それと民間事業者へのヒアリング結果も加えて、今回の最終的な存廃の結論を導いたということです。
 今後については、今の路線のままで存続するにはやはり無理があり、都心の中での活用方策の検討を通じで、路面電車の将来の活路が見えてくるのではないかと思います。この場合、民間のノウハウを積極的に活用しての運営になると考えています。
今後の検討の進め方ですが、こういったフォーラムを通じた議論も重ね、有識者による委員会等の立ち上げをしながら、さらに活用方策の具体的な内容を詰めていきます。市民の皆様に対しても、具体的な案を提示し、それを元に議論を深めていく必要があると考えています。その中で低床車輌の導入可否についても、議論をいただきたいと考えています。

■「RACDA(路面電車と都市の未来を考える会)の取り組みについて」(齋藤)
 こんばんは、皆さん。RACDAというのは、「Rail & Road Transit System, Amenity and Community Design Association」の略です。私どもは今年の秋で結成10周年を迎えます。その間、市民に示せたものは、低床路面電車MOMOの導入、それとバスマップ、岡山の交通を示したマップを作って、広く市民の方に知っていただいています。札幌に来る前に、市役所の方から今までのフォーラムやワークショップなどの色々な資料を見せていただき、またホームページも拝見し、市民の方の関心の高さは本当に感心しましたし、とにかく市民の方に情報を公開していこうという姿勢を大変力強く感じています。このような結論が出て、路面電車とまちづくりを応援する岡山の私どもにとっても、大変いい知らせだと考えております。
 これからはパワーポイントに沿ってご説明していきます。そもそも22年前に私たちの根っこになる岡山未来デザイン委員会というものがありまして、18年前から路面電車を活かしたまちづくりを考えていました。RACDAでは、LRT=路面電車+都市近郊鉄道+TDMと定義をしています。この都市近郊鉄道というのは、岡山でいいましたら吉備線とか津山線とか、瀬戸大橋線などのJRを指しています。TDMというのは、岡山の場合路面電車は4.7キロ走っていますが、それを行ったり来たりしているだけでは、路面電車は環境に優しいと言っても本当にいいとは言えないのです。やはり郊外から大量に、車に代わるもので都心にアプローチする、それがLRTシステムだということで発表しております。
 私どもの結成までの流れですが、昭和62年、交通シンポジウムで路面電車に注目しました。平成元年商工会議所のまちづくり委員会で、路面電車を環状化させてはどうかということを交渉し始めました。平成6年に、商工会議所でビジョンが完成しました。ここに未来デザイン委員会がございまして、商工会議所のほうからオファーがございまして、それで平成7年、RACDAができたわけなのです。そもそも未来デザイン委員会というものは、岡南飛行場を残す運動や、内田百問にちなんだイベントを行ったり、京橋朝市を活性化しようというまちづくりの団体が集まっていたところなのです。私たちは非常に時代と人に恵まれています。昭和62年当時の副知事は、商工会議所のまちづくりの委員長と幼稚園の頃からの同級生で、非常に話が通るのです。私どもの会長の岡将男は、底の知れないパワーの持ち主ですが、その岡と今LRT推進議員連盟の座長が幼稚園の頃からのお友達ということで、政官財でネットワークがあったことは市民団体でも非常に恵まれていたと思います。商工会議所と一緒にやったので、商工会議所が当面5年間はお財布をつくってやろうということで、「UPCO岡山まちづくり連絡協議会」をつくってくれまして、商工会議所に所属している会社にお願いして、初年度に700万円ほど集めてくれました。そのうちの半分弱をサミットやフォーラムに使わせていただきました。
 これは先ほど紹介いたしました岡山のバスマップです。岡山のバス路線はバス会社が8社乗り入れていて非常に分かりにくいです。1枚になったマップがなかったので、市役所に作るように随分進言しましたが、その当時岡山の市役所には、交通計画をするところがありませんでした。都市計画課の中の片隅にちょっとあったのですけれど、それで、私たちで作ることにしたのです。
 RACDAの概要と活動ですが、毎月第1日曜日に朝市で、かわら版というものを市民に配っています。路面電車の延伸がどうなったのですか?とか、吉備線のLRT化ってどんなこと?など、市に成り代わりまして、分かりやすく説明したものです。また、イベントとしまして、500円ワンコインで、国内外の交通専門家を招いて勉強会等をしております。また、岡山だけでやってもいけない、全国で仲間をつくらないといけないということで、全国ネットワークを形成したり、国へのロビー活動をしております。国へのロビー活動ですが、道路局、鉄道局と書いていますが、LRTというのはグローバルな問題ですので、環境省、警察庁、また総務省などへ伺いまして、国会議員連盟の勉強会の時などは、各省庁から課長クラスの方に来ていただいて、問題点を各省庁に持って帰っていただくようにしております。
 私たちの特徴は、商工会議所と一緒に設立したということと、政治力があるということです。政治力と市民活動とはあまり一致しない感じがしますが、やはり政治は基本で、LRTの問題というのは、政治マターだと思います。ですから大胆に行政ができないことをフォローしていくのが市民団体の役割だと思っています。国レベルのロビー活動が始まったきっかけは、1997年にストラスブールに行き、市民合意に全力を傾けた副市長と対談したことです。2点伺いましたが、一つ目は、LRTの優位さをどうやって市民に説得したのかということで、市長というのは、意志と意識を持って住民に説得するのが仕事であるとお答えになりました。二つ目は、ストラスブールがなぜこんなにうまくいったのかということですが、地方分権が進んで財源の確保ができたことが大きいとおっしゃいました。地方分権と財政の確保というと、やはり岡山の中でちまちまやっていてもだめなんですね。ですから全国で仲間を募り、国に行きました。その時やはり恵まれていたのは時代ということで、省庁再編の前で、国でも旧建設省と旧運輸省が路面電車やLRTについて研究をしていたちょうどその頃でした。国に行く市民団体というと、ネガティブなキャンペーンを張るグループが多かったのですが、社会資本整備の促進のために提案を持っていくというのを大変快く受け止めていただけて、情報交換を重ねるうちに、僕たちは制度をつくるから、RACDAには市民合意のモデルをつくってほしいと言われて、この関係は続いています。
 ここからは、私たちが行っているイベントです。この奥のほうが後楽園で、ここの後楽園口はいつもは車が通っていますが、歩行者モールにしたり、電停の横にバスを横付けする実験です。これは子どもたちに交通に興味を持ってもらうために、電車教室をやっています。これはビール電車ですね。6月10日の路面電車の日は、岡山駅前を借りてミニMOMOを走らせ、子どもたちに乗ってもらっています。
 岡山市の現状と交通実験についてですが、今走っているのが、柳川から清輝橋までと、城下から東山までです。私どもが提案したのは、岡山市役所から1km環状化させ、路面電車にはつながないと意味がないということで、大元駅までの延伸を提案したわけです。しかし岡山の場合は、民間の会社が運営しているので、赤字を出してまでできないということで、採算が見込まれる、駅前から市役所経由で岡山大学附属病院までの1.6キロならいけるんじゃないかという答申案が出ました。それによって行われたのが交通社会実験なのです。普通電車は真ん中を走ってますが、私どもは、東よりの歩道からすっと乗れるという提案をしましたが、県警の許可が得られませんでした。中寄りの1車線ずつを削っています。車道を規制しているだけに見えますが、岡山のこの社会実験というのは、車の増加と共に広げた道路を他の公共交通にシフトさせるという、日本では初めての本当の意味でのすごい実験だったのです。しかし岡山市もRACDAも、そのすごさを市民の方に知ってもらえなかった。知らせるだけの手法が足りなかったのは、今返す返す本当に残念に思っています。岡山の合意形成の問題ですが、岡山だけでなく日本でも合意形成に向けてのシステムがないのです。市長の公約に入れるだけでは出来ないですし、市職員の公共交通に対しての認識も少なく、市議会議員も無関心ということもあります。会議所もいざとなったら実弾も出しません。提言だけで、みんな学識経験者になってしまっています。延伸へ向けて、市長は三つ条件を出しました。運営費の赤字補填はしない、後追いのお金は出さないということですね。それと、交通渋滞が著しく増えないということ、明確な反対運動がないということです。
 それでも私たちの街にはMOMOが来ました。MOMOが来てどうなったかというと、来る前に車輌の購入補助制度ができた。導入と一緒に電停の改良制度ができたり、道路構造令が改正になりました。MOMOはJRに乗り入れができるように設計されています。軌道の幅が1,067ミリで、札幌と同じです。内装は木・ガラス・アルミで、リサイクルができます。デザインは、岡山出身でJRのツバメとか九州のデザインをされている水戸岡鋭治さんが無償でやってくださいました。季節ごとにデコレーションしています。これは1万円以上募金した方のリストを載せています。電停改良工事によってできた施設です。
 これはプラットフォームMOMOといって、私と友人が、市内の商店街の入口で空き店舗を借りてつくりました。一等地なので月家賃が60万円の所ですが、まちづくりでと口説いたら月5万円で貸してくださいました。スタッフは学生や主婦で、全国から来られた方の交流スペースの様になり、県がそれに着目してくださり、今県から予算が出て外郭団体までになりました。
 全国ネットワークとロビー活動で、このような活動をしていますが、全国で大小取りまぜて60都市で毎月まちづくりの動きがあります。バスマップサミットは、市民団体がどんどんこういうものを作る動きが出てきまして、毎年持ち回りで改良点など情報交換をしています。
 地方鉄道は各地で存続運動があります。岐阜市内線も明後日で廃止ですね。地方鉄道の存続のポイントは、やはり財源の問題です。道路を造るお金は、平成16年度で10兆5000億円もあります。道路は道路財源で造っているというけれども、半分くらいが道路財源で、あとは一般財源が入っていて、足らない分を財政投融資などで出しています。一方鉄道の場合は1千500億円です。1千500億円のうち半分の750億円が新幹線で、750億円残った720億円くらいが地下鉄と都市間輸送の財源に充てられています。残りの30億円で地方鉄道を維持せよと言っているのですから、これはちょっとおかしい問題で、不公平にも程があると思っています。
 さっき交通社会実験の絵をお見せしましたが、今は道路を使わなくても、パソコン上でデータを入れてシミュレーションできます。RACDAと東京大学で一緒に研究をしていますが、東京大学は、札幌市に行こうか岡山に来ようか随分迷って、MOMOが可愛いから岡山に来たと言われていますので、私どももできた研究成果は囲い込まずに、使えるツールは全国で使っていこうと思っています。それと事業者の経営の近代化、これは言うまでもないと思います。 
 私どもの最新の活動としては、子どもたちと課外授業をしたり、内閣府の都市再生事業などをやっております。
 これは私たちが掲げたマニフェストで「アクション5」といいます。最寄りのバス停まで5分以内で行ける、岡山市内を1時間で移動できる、ピーク時以外は座れる、朝から夜まで一日中30分に一本は走っている、岡山市内を500円で移動できる、というものです。日本一移動しやすい街にしたいという思いでつくっていて、お手本はチューリッヒの交通憲章です。
 これは子どもたちに、探偵手帳というものに気づいたことを書いてもらっています。発表会をしていますが、子どもたちは本当にまっすぐで、公共交通に乗ったら公衆道徳が分かる。乗せないから、変な子たちが増えるんじゃないかなと思っています。
 これはバスマップに付けた方向の番号です。方向別に番号が付いたら便利ではということで、バス会社に採用してもらうように今働きかけています。できたバスマップは小学校に寄贈しています。
 市民団体に何ができるかということを挙げると、RACDA高岡のように、RACDAキャラバンといって市民が市民のために傍聴会を行うとか、えちぜん鉄道ROBAの会が費用便益の計算をして差し上げたりなどがあります。市民らしく大胆にしなやかに全国的に情報交換し、そして最大の責任はやめずに続けることではないかと思っています。
 それと、パソコン上の交通シミュレーション。これは2時間に9万台の車の色々な性格を入れ、信号処理は岡山県警の信号のデータを全部もらっています。人も通っているのが分かると思います。次が路面電車が入ったことで交通の流れがどうなるかということですね。これはまだ未完成の状態ですが、背景を入れたり、路上駐車があったりも、こういう形でシミュレーションできるので、札幌の場合でも延伸や環状化をしたら、交通の流れがどうなるかを一緒に研究していくと面白いのではと考えています。

(石塚)市民運動、市民団体というのは、行政のできないことを大胆に、かつ、しなやかにやるということが大きな特色だということで、行政ではできない全国ネットワークづくりや国へのロビー活動という幅広いステージをつくるのと同時に、地元に対してはねばり強く、かわら版という地味ではあるけれども確実な情報伝達手段で市民の関心を喚起したり、いろいろな社会実験に参画したり、市民合意の形成に関わられているという事例をご紹介いただきました。
 最後の交通シミュレーションは良くできていて、私たち市民は数字でしか実態がよく分かりませんし、都心の商業者の皆さんも自動車交通が不便になるという危惧もお持ちかもしれませんが、ああいうシミュレーションをベースに具体に検討が進むということであれば、合意形成もスムーズに行くのかなと。そういう研究組織とのネットワークも独占しないとおっしゃっていたので、ぜひ分けていただいて、来年、再来年の検討の中で活用できればと思います。

■パネルディスカッション「路面電車とまちづくり」
(石塚)後半の口火を切っていただくのは、ぜひ上田市長に。会場からは最初から結論が出ていると何かしら安心して、いい議論ができないのではというご指摘も受けていますが、市長から、今回決断された真意や今後のまちづくりへの思いをお伺いしたいと思います。

(上田)まず路面電車に対する市民の思いが、非常に大きなものがあると。平成15年1月のアンケート調査でも、55%の方々が存続させてほしいということでした。私はその市民の意向が、どこまで覚悟ができて存続の意思表示をされているかを検証しなければならないと考え、平成15年度中に結論を出すことを見送りさせていただいた。その上で、今回のようなフォーラムや、いろいろな情報を市民の皆さんに提供し、覚悟ができているか、本当にやるのかという問いかけをしたかったのです。
 そして、このフォーラムが非常に大きな役割を果たしていただきました。1回目の広島電鉄のお話、2回目のLRTさっぽろの皆さん方のご意見も、詳細なデータと経験を踏まえた上で、やはり税金はかかるけれども、それ以上のものが必ずあるという思いと、税金を投入しなければならないレベルの問題も含めて、みんなで考える材料を提供していただいた。そういう2回のフォーラムを通して、私は決断をさせていただいということです。
 もちろん課題が山積していて、非常に厳しいハードルがたくさんあります。また、西4丁目からすすきのまでのままであれば、現状から飛躍的に改善したり利便性が高まることはなく、市民がしっかりと利用でき、まちづくりに貢献できる路面電車であるためには現状の形ではできない、ということを頭に入れた上で、議論を出発させなければならないと考えています。路面電車が街の発展にいい影響を与えるということが何よりも大事で、車中心の社会から車になるべく頼らないまちづくりの中核的な施設になることにより、街の価値がより高まる、人が集まる、そしてこの街を楽しみ豊かなものにしていくという気持ちを一つにできる、そうなるとありがたいと思っています。

(石塚)佐藤先生は、市電の存廃問題について、ご専門の立場から審議会等で議論の機会もおありになったと思いますが、札幌の都心は地下鉄も走っておりその経営状態も難しい中で、市電を都心のまちづくりの中で再度考え直していくという市長の決断に対し、どのようなご感想をお持ちでしょうか。

(佐藤)それを聞きまして、「事務方は大変だろうな」という思いがしました。市長の今のお言葉と、それを実際に運営していく委員には、きっと大きなギャップがあると思います。本当はさっさと逃げて、こんな場面には来たくなかったんですけど、それはきちんと整理しなきゃならない。それと、トップが決断したことを具体化するのは参謀の役目で、その具体化の知恵は、タブーをはずして考えていく必要がある。そういうことにおいて、「私なりの責任を果たさなきゃだめかな」という思いであります。

(石塚)市電を山鼻の足だけではなく、都心のまちづくりの足にしていくということになりますと、当然現在の自動車依存型の札幌の街に対して、一石を投じることになります。竹内さんには、都心の商業者の皆さんは、今回の市長の決断をどうご覧になっているのか、ご紹介いただきたいと思います。

(竹内)都心の商業者だけでなく、全線の商業者は非常に歓迎しています。それと今の8.5キロでは経営的に苦しい中、延伸の問題が出てきた。延伸がこれからの中心部のまちづくりの大きな起爆剤になるのではと私どもは考え、市長の決断に対して、敬意と安堵感と、激励されている感じがします。
 札幌のまちづくりの面では、創成川以東は距離的に中心に近い割に開発が非常に遅れています。都心居住という面からもやはり東側の開発が必要で、それがひいては札幌の中心部の活力になると考えています。また高齢化社会を迎え、地下鉄は全天候型で便利ですが、お年寄りにとっては非常にアップダウンが激しく、乗りやすい乗り物ではないとも思います。老朽化した電車をどういう設備に変えるか、乗ってくれる仕組みづくりをどうするかという問題はありますが、まず存続ありきから始まるんじゃないかと。そういう意味で私どもは、新たなまちづくりの切り口を提示していただいたと思っています。

(石塚)齋藤さんは、全国ネットワークの要となっていらっしゃるという点から、今回の決断をどのようにごご覧になられていますか。

(齋藤)やはり公の心で判断したら、判断は間違いないことじゃないかなと思います。それと「乗ってくれないといけない」と。なるべく公共交通に乗るようにしたら公共交通の良さや悪さが分かってきますから、一人でも週に一回でも乗るような癖を付けていただきたいと思います。広報誌を拝見して、その線に乗らない方でも、税金を使って存続させてもいいという声が目に付きました。私たちが十数年前市民合意を突きつけられた時のことを考えると、社会が成熟してきているのではという感じがしました。

(石塚)設備投資に90億円必要ということですが、仮に現行路線を延伸すれば、利用者は増えても、その分設備投資がプラスされるということで、どこまでが投資としての見極めなのか、交通事業の観点から見て、延伸の可能性をどう考えていけばいいのか佐藤先生にお伺いしたいのですが。

(佐藤)延伸やルートの検討はかつてやりましたが、結論としては、民営化しようが多少延伸しようが、そこに新たな需要は起きない。今乗っている人が便利になるのは確かですが、他の地区の方が乗るようになるかというと、当然目的地が違いますので、それはありません。そういう点で数字を見ますと、明らかに延伸、ループは無理だという結論が出ています。第1回目、第2回目のフォーラムの議事録等を見せていただきましたが、延伸やループに囚われすぎている感じがします。そもそも札幌で、10年後、20年後、住んでいる人は何をもって生活するかという議論が欠けている。お年寄りが増えてきますがそのお年寄りがもらう年金は破綻し、金融機関の支店はなくなります。道州制等で開発局と道が一緒になったら、行政官は半減します。20年後の札幌で、どういう人たちがどういう職業でどういう収入を得ているか、その時に電車はどのように機能するのかということが非常に大事なポイントで、そこからタブーを抜きにして考えていかなければならないと思っています。
 ここに「藻岩山観光魅力アップのために」という報告書があります。先日26日にフォーラムも開かれました。藻岩山という最大の観光資源を、私たち札幌市民は粗末にしていないでしょうか。この中にも市電との連携がいわれています。市長さんの決断を支え、さらに持続する施策としては、藻岩山と市電のリンケージ、この可能性をぜひ考えていこうと皆さん方に提案したいと思います。

(石塚)現在の路線の中でまだまだ新しい需要を掘り起こせる魅力ある資源があるのではないか、その掘り起こしも今後十二分に検討していく必要があるテーマではないかというお話だったと思います。そうなると延伸は置いてきぼりになって、商業者はなんだあれは夢だったのかということになりますが。

(竹内)どっちへ向かって延伸するかはこれから研究しなければいけませんが、延伸の視点としては、一つは観光があると思います。佐藤先生が言われたように、観光という側面を喚起することによって、中心部の活性化にもつながるわけです。それから、高齢化社会、行きすぎた車社会というのも現実で、この辺の中和点というか、規制でなく抑制できるのは、私は電車ではないかと考えています。

(石塚)先ほど齋藤さんのお話の中にも、LRTというのは、郊外鉄道とのネットワーク、そして交通需要抑制とリンクして初めてまちづくりの中で生きてくるというお話があったと思います。今後延伸を考えていくポイントがあれば、お示しいただけますでしょうか。

(齋藤): 1997年ドイツのカールスルーエに視察に行きまして、国鉄とトラム電車が乗り入れしてるのは、岡山でもできるのではと発表したら、大風呂敷だと言われました。でもJRも不採算路線をどうにかしないといけないということで、富山港線と吉備線を路面電車化し、LRT化してはということになり、中風呂敷くらいになったのですが。私は交通というのはネットワークがうまく活かされていないと、結局使いづらくて、費用対効果という面で効果が上がらないと思っています。よそから来た者の目で見ると、こういうきれいな街は、地下へは潜りたくない気はします。それとやはり駅につないだらもっと便利になるのではないかと。そうすると、小樽から藻岩にというようなコースもできます。需要の喚起はそう簡単に予測できませんが、やはり札幌駅とつないだら、観光客が動きやすいんじゃないかと思います。

(石塚)齋藤さんからは、札幌市を訪れる郊外の方や、札幌に観光で訪れる方々の足としてのJRと結びつけることによる需要喚起の可能性について、触れていただきました。佐藤先生、そういうところまで一歩延伸を拡大して考えた時に、可能性というのはどうでしょうか?

(佐藤)新たな人を導入する可能性は持っていると思います。ただ惜しむらくは、藻岩山のロープウェイの起点側で、ロープウェイの出発駅が遠すぎるのが問題であり、今の車庫の所に持ってくるのがいいと思います。藻岩山の雄大さや夜景を生かし切れていないのはやはり藻岩山のアクセスが悪いんですね。札幌新まちづくり計画の中で、藻岩山の観光魅力アップ構想推進事業を取り上げています。それを電車とリンクさせることは十分可能だと思います。

(竹内)これから苗穂の駅前が変わり、札幌ファクトリーや先生のおっしゃった藻岩山という観光資源がある、それらを有機的に結びつけるためには、多少無理矢理でも札幌駅まで行かなきゃいけないのかなと。それと、延伸しても需要は喚起されないというお話がありましたが、活気は出てくるんじゃないかと思います。

(石塚)第2回のフォーラムでもいろいろな議論があり、都心の商業地図は、JR駅を中心とした大規模開発で大きく様変わり、JRという足を活用して駅周辺の商業施設に購買意欲を持った市民が集中していると。一方、大通から南の商店街は、そういうきっかけがなく悪戦苦闘している状況の中で、市電のようなお年寄りも乗りやすく、短い距離でも乗り降りしやすいシステムが導入されることで、もう一度南北一帯の商業エリアとして再編できる可能性が開けるのではという議論もあったかと思いますが。

(竹内)前にも申し上げていますが、札幌駅地区と大通以南地区が、札幌の中心部の対立構造ではないというのが基本的な考えです。あの距離は歩ける距離で、札幌の人は歩かないから単に二極分化しているということだと思います。今回駅前通の歩道整備、地下歩道ができることで、距離感を近づけるのではないかとは思っています。札幌駅まで電車を伸ばしていく目的は、今先生のおっしゃった観光としての売りがあり、駅前とすすきの、狸小路がただ交通で結びつくということではない気がします。それから狸小路近辺、大通以南のポテンシャルが下がってきているというのは、アクセスの問題だけではなく、別の意味で我々がもう一度考え直さなければいけないことだと思っています。

(石塚)駅までの延伸というのは、非常に魅力的かつ重要な検討課題ということですが、その分また設備投資が増えるという重荷を背負うわけです。費用対効果をどのレベルで考えたらいいのか、単に設備投資に対して乗ってくれた人の運賃ということではなく、もう少しまちづくりという観点の中から費用対効果という発想をして市民合意を得ているという事例もありそうな気がするのですけれども。

(齋藤)私たちがフライブルクに行った時に、経済効果、費用対効果について訪ねたところ、「日本から来た人は、みんなそう聞く」と言うんですね。経済効果、目先の。フライブルクは移動しやすく世界から尊敬を集めている街ですが、30年くらい前から培ってきたまちづくりの結果がそうなってきているので、費用対効果をどんなスパンで考えるかということを、「街がトータル的に魅力的になったら、それでいいじゃない?」と言われたら、すごく納得したんです。一概に費用対効果と言われても、日本では残念ながら例がないんですね。
 もう一つ手本になった例では、テンプリー市とかいう所で、郊外から入るバスを無料にし、有料だった頃は街に出てくる人は4万人くらいだったのですが、3年後、51万人になったと。それで、かかる経費は3000万くらい。51万人の人がバスに乗って中心部にただで来て、お酒を飲んだりお茶を飲んだりショッピングをしたり、費用対効果というのは、外国の例と財源の問題は全然違いますが、トータル的に市民が動くやすくなったら、必然的に将来的にプラスに動くのではないかと思います。

(石塚)重要なご指摘だと思いますが、そういう波及効果のシミュレーションは、現代の計画論では実証するのは難しい部分があります。今齋藤さんがおっしゃったのは、単純にお金の出入りだけではなく、そういう都市に暮らす価値を、そこに住んでいる市民がきちっと認識していればいいのではないかと、そういう価値を、本当に市民が市電の延伸の中に見いだすことができるのかという議論が私は大切なのではないかという気がしていますが。
 こういう議論というのは、延々していてもなかなか埒が明かず、決断されたからには近い時期にある方向性を出される必要があるのではというご指摘も会場からあります。市長に、今後の重要な市民議論のステージ、あるいは結論に至るスケジュール上の目標について、ご披露いただければ。

(上田)私どもは今、2年後を目処に具体的に検討して進めようと考えています。経営形態、あるいはループ化、延伸も、どういうメリットがあり、どういう展望が開かれるのか、もっと具体的に議論しなければなりません。
 街の人たちが、日常的に利用する平面としての電車と考えますと、費用対効果という問題は難しい議論になってくると思います。ただ外から来られる方に、より都心に行ってみようという意欲を持っていただくことや、観光の問題、また環境、札幌におけるエネルギー消費の問題として考えた時に、これから基本的に集合住宅を進め、都心に人々がたくさん集まって来られる、住まわれるという状況にならないといけないと思っています。北国に住むものの宿命として、エネルギー効率のいい住まい方を追求しなければならないということもあります。集合住宅が建ちますと、それに伴って必要な商業施設も建ち、札幌市の重要な財源である固定資産税が上がってくるとも思います。投下した資本がどうやって街の財政に跳ね返ってくるかというと、環境のことを考えながら、より効率の高い土地利用の仕方ということになるでしょうし、その土地利用の形態から、税収が増えてくる可能性もあると考えています。決断をした理由の一端はそういうこともあります。

(石塚)先ほど佐藤先生が言われた、20年先を見越して市電の価値を見据えなければ、過つことになるということに関連するかもしれませんが、市長からは都心居住の必要性が説かれていたかと思います。札幌市の場合、郊外に住宅地が計画的に出来上がりましたが、それが今一斉に高齢化社会を迎えている。その方々が生活の利便を求めて都心に来るという需要は確実にあるが、その受け皿が今、十分にできていない部分があろうかと。都市間比較をすると、札幌は政令指定都市の中でも都心に住んでいる人口が圧倒的に少ないという状況があります。都心の中は碁盤の目に道路が走り、車には便利でも、生活利便施設の集積や、歩いて暮らせるという環境においてはまだまだお年寄りのハードルは高いという面はあるかもしれません。それに対して市電という交通手段が、都心居住のメリットの可能性を開く一つのツールになるのではというお話しをされたと思うのですが。
 竹内さんはTMOという都心を元気にする組織の取りまとめ役をされていますが、延伸をきっかけに都心商業者がいろいろな具体の取り組みを検討していく議論をつくっていく必要があるのではと思いますが、その辺の心づもりはいかがでしょうか。

(竹内)私も十分にそれは感じているから、TMOを行政と会議所と我々とで立ち上げているわけです。やはり何か我々もアクションを起こさないといけない。今までは立地に恵まれたとか、いろんな形で中心部の商業者というのは何とか食べてきましたが、経済情勢も含めて、地殻変動が起きています。都心部を本当の意味で活性化し、我々がまた元気にならないと、先ほどの市長さんの話じゃないですが、税収も上がってこないわけです。僕は、「まちづくり=まち使い」だと思うのですが、我々と住んでいる方とが一緒になって、まちをどううまく使っていくか、例えば電車という一つのツールがあったら、使い上手にならなければいけない、その努力はこれからも我々は続けていかなければならないと思います。

(石塚)商業者だけではなく、そういう問題は市民レベルでもきちっとした議論のステージをつくっていかなければなりませんが、佐藤先生から市民議論の場づくりにあたっての注文がございましたらお願いしたいのですが。

(佐藤)先ほど費用対効果の話で、それだけではない部分があると、それは事実です。ただ、やはり目を背けちゃだめだと思います。乗らないという事実があれば、収入はないのです。それを踏まえた上で、尚かつ残すにはどうしたらいいか、そこを曖昧にして、何となく街の象徴とか、歴史の資産だとかやってしまうと、全部がコケてしまいます。これだけの投資だとこれだけの見返りがあるというのは、計算できると思います。その上で、電車を残す、または延伸するという話ではないか。私は市電に関わる色々な試算をしたこともあり、行き詰まっていたのですが、藻岩山のロープウェイと電車の車庫が一体化したら、藻岩山に行く人たちだけで、その投資で電車の投資分が返ってくるという計算はできると思います。そして延伸の問題ですが、私は駅ではなく東豊線に結ぶべきだと。せっかく地下鉄の東豊線がありながら、今の路面電車と離れています。計算できるものはきちんと計算した上で、そこに立ち止まらないで、こんなにひどいのかというところから進めて行くべきだと思います。

(齋藤)私たちも同じ問題を抱えています。延伸や環状化の問題で、公聴会のようなものを開かないといけない、その橋渡しをするような権威のある団体をつくらないといけないと考えています。今日、会長の岡が来られなかったのは、岡山でLRT協議会というものをつくることで、商工会議所とか関係者、県とか市とかいろいろな関係省庁と協議を行っているからです。
 札幌でも引き続きこういうフォーラムは何度行ってもいいと思うのです。出前講座などもいくら行ってもいいと思うのです。アメリカなんて、しつこいくらいやっています。どんどん市民の声を聞こうとする姿勢があるので、存続が決まったこの機運をバネに、続けていっていただきたいと思っています。

(石塚)齋藤さんのほうからこれをバネに市民、事業者、それから行政、それから専門家を含めた大きなラウンドテーブルをつくって、全国に札幌は路面電車を活用したまちづくりをやっているというアピールをしながら、かつ市民合意を形成していくという道筋が大切ではないかというお話がありましたけれども。そういうことなどを踏まえて、市長にご感想をいただければと思います。

(上田)こういう大きな街になりますと、市民合意にどうこぎつけるか、どういう手続きでどう実施をしていくかが大事だと思いますので、やはりしつこいほど議論をしていくべきだと考えます。私もハイデルベルクの都市局に行き、路面電車の市民合意をどう取りつけたか経過を聞いてきましたが、やはり何回も同じテーマでしつこいほどやっています。諦めないで、繰り返していくことが大事だと思います。
 私は広報さっぽろを、問題提起型、情報提供型広報誌にしていくという方針を決めさせていただきました。少し面白くなったという話もお聞きします。いつも読む、あるいは必ず読むという方が、5ポイント以上増えたというデータがございまして、やはりそういうことを待っておられた市民の方がおられるのではないかと。そして、佐藤先生がおっしゃるように、嫌な情報も都合のいい情報も提供して、いろんな考え方ができて、それを自由に討議できるところで、市民合意をつくる努力を怠りたくないというつもりでおります。辛口の評価も含めて全部オープンにして、広報やwebサイトやこういう場を通じて、議論を盛り上げていただきたいと考えています。今日パネリストの皆さん方にお話を伺って、本当に参考にさせていただきたいと考えています。皆さん、本当に熱心に最後までお付き合いいただき、参加していただいて心から感謝したいと思います。

(石塚)皆様からたくさんご質問票、ご意見票をいただいておりまして、進行の中で少しずつ織りまぜながらご紹介させていただきましたが、辛口のご意見もどんどんという市長のお言葉に甘えて言うと、「地下歩行空間もつくりながら市電もやるというのは何事だ」とか、「きちっとした政策判断のバックになっているいろいろな考え方というのは、もっと積極的に開示すべきではないか」とか、「夢ばかり語らずに、足元を見ろ」などのご意見もいただいています。記録に残させていただき、また今後市民議論が継続すると思いますが、その際の貴重な材料として使わせていただきたいと思います。
 今日は岡山から齋藤さんに来ていただき、市民、商業者、いろいろな立場から今後市電をまちづくりの中でどう活かしていけばいいか、少しずつではありますが、考え方の端緒が見えてきたのではないかという気がいたします。ただ一方で、先生がご指摘された通り、冷静に考える素材を、専門家の皆様のほうから適切にご提供いただきながら、各界、各層が議論できるラウンドテーブルが次年度からきちっとできてくればと思います。そのラウンドテーブルでおそらく市長がおっしゃられたように、課題があればそれを乗り越えようという力が生まれ、単なる夢や希望、野放図な税金使いではなく、知恵を働かせて解決する道筋が見いだされる、そういう場が札幌にも誕生してくるのではないかと思います。

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