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ホーム > まちづくり・地域の活動 > きよたまちづくり区民会議 > まちづくりディスカッション旧国道36号線のあり方を考える~やすらぎ歩行空間プラン~

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更新日:2018年6月26日

まちづくりディスカッション旧国道36号線のあり方を考える~やすらぎ歩行空間プラン~

(平成20年11月4日、清田区民フォーラム)

コーディネーター 山重明((株)ノーザンクロス代表取締役)

パネリスト

中鉢令兒(札幌国際大学観光学部教授)
長谷朋之(新しい清田区の街づくりを考える住民の会幹事長)
白石邦彦(札幌市立清田小学校校長)
横江光良(NPO法人北海道未来ネット代表理事)
小林荘子路(NPO法人あしりべつ川の会理事)

山重明

山重明氏の写真私は里・美地区に住んでおり、私の子どもたちもこの地域で育ててもらいました。

私は、この10年間ほど北海道遺産運動に取り組んでいます。道内のいろいろな地域には、すてきな「宝物」がありますが、それが見過ごされたり、時間の経過とともに忘れ去られたりします。そこで、もう一度自分たちの地域の歴史、文化、自然など、さまざまな宝物を掘り起こし、見直そうというのが、この運動です。

これらの宝物を、学術的価値や歴史的価値、自然的価値、文化的価値など様々な視点から評価しますが、北海道遺産の評価基準では、一番重要なポイントに『思い入れ価値』をあげ、地域の人たちに、どれだけ思われているかを重要視しています。

清田のふるさと遺産である白旗山や平岡梅林、あしりべつ川などに加え、この旧36号線はふるさと遺産になると思います。町の発展に、重要な役割を果たしてきた旧36号線を、これからどのように育てていき、道がつくってきた歴史を次の世代にどう伝えていくのかが、今日のフォーラムの目的です。

パネラーに、それぞれの立場から旧36号線に対する思いや、取り組まれてきた活動などを、お話いただきたいと思います。

 

長谷

長谷朋之氏の写真私がまちづくりに関わるようになって、11年が経ちます。

清田区は平成9年に誕生し、平成11年「清田区まちづくりビジョン2020」が策定され、地下鉄やバスターミナル、文化・商業施設の集積、行政サービスの集積などの構想が地域中心核として盛り込まれました。

平成11年、清田区役所周辺地区まちづくり委員会が立ち上がり、区役所周辺のイメージをワークショップで意見交換し、構想を発表しました。区役所周辺ゾーン、水と緑のゾーン(あしりべつ川周辺)、旧道ゾーンの三つに分けて、清田のイメージを提言したものです。

旧道については、「歩いて楽しいまち」をテーマに、三つのキーワードをあげました。

1「日常に溶け込んだ町の文化」
清田の語源となった水田があり、子どもたちが体験できる、歴史や文化に接する場所。

2「町の歩行空間の確保」
安全性やバリアフリーを考え、夜でも安心して歩ける旧道。

3「交流の場」
四季を通じたイベントが開催され、日常的にも利用できる場。

これらの活動の成果として、平成14年から旧道の歩道整備が始まり、あしりべつ神社付近の第1次~2次工事が行われました。

二つめの成果として、平成17年5月、札幌清田ライオンズクラブの寄贈により、清田小学校に『夢田んぼ・あしりべつ』が完成しました。田植えから稲刈り等の体験学習ができます。

三つめの成果としては、NPO法人あしりべつ川の会が設立され、パークゴルフ場等の管理など市民運動が行われるようになりました。

この数年間で確実に成果がみられますが、課題もまだあります。旧道を一言で表せられるキーワードがまだないことや、車両の走行環境の改善です。道路が改善されると交通量も増え、私たちが考える「歩いて楽しいまち」とは逆行します。このジレンマも課題の一つと思います。

 

白石邦彦氏の写真清田小学校の子どもたちに、自分たちが旧道整備についてどういう形で関わることが出来るのかを、授業で考えてもらいました。

最初、子どもから、「おとなたちは、本気なんですか」と問いかけられました。子どもたちは、「いろいろ意見を言っても、どうせおとなは聞いてくれないのでは」という疑問を持ったのです。そこで、「道」の時間に、区役所やコンサルタントの方、札幌国際大学の先生と学生、地域の方に来ていただきました。すると、子どもたちから、「土木センターの人たちの顔は真剣でした」、「これで清田区も変わるのかと思うと、ワクワクしてきました」、「子どもだって提案をすれば、決まるのかもしれない」、「私たちが知らなくても、人のために陰で支えている人がいると感じました」、「みんなのことを考え、旧道を使いやすくしているのを学びました」、「いろいろな不便、便利さを知ることができてよかった」、「自分が身近なことをしっかりやっていけば、今より気持ちよく暮らせるということ」、「大きな変化をいきなり求めるのではなく、自分から進んで取り組むことが大切なのだと思いました」という感想が出てきました。

子どもにとって、旧道は、学校の目の前の道でしかありません。今日の会場の廊下に、子どもたちの旧道をテーマにした作品を展示しています。その中に、木を切って歩道を広くして欲しいというのがあります。登下校時、自転車とすれ違うので、子どもたちは大変な思いをしています。また、歩道橋を取るグループと取らないグループの作品展示もあります。また、現在の学校側の歩道は暗く、おとなも夕暮れ時には怖いと感じるような道なので、街灯をつけて欲しいという意見や、バス停を工夫して欲しい(足湯にしてはどうかとのアイデア)、修学旅行でみた函館のマンホールのイメージから、清田区でもそのようなマンホールや、歩道のタイルを明るくして欲しいなどの意見がありました。

清田区では、旧道は「点」でしかありません。清田区の財産には、あしりべつ川や緑地などがあります。それらを線で結ぶことで、清田区の「面」が見えてくるのではないかと思い、「自分たちの町=清田を知ること、清田を好きになろう」ということから始めています。

このような小学校時代を卒業すると、おとなになった時に、まちづくりに本当に参加していけるという思いを込めて、子どもたちを教育しています。

子どもは学校で「集い」ます。おとなになると一般社会でそれぞれ集います。その時に大切なのは、「つながる」ことだと思います。

「集う」には、ただ群れている状態と、目的を共有して集まっている状態があります。例えば夏のラジオ体操は、時間になると人々が集まっただけです。しかし、おとな同士や子ども同士でも何か関係を持って、目的を共有した仲間が集った時、一つの力が出てくるのではないかと思います。これがまちづくりになるのではないでしょうか。

今回の旧道づくりも、最初は検討委員会が何かも知らないもの同士の集りで、ただ「群れていた」だけなのかもしれません。その後、いろいろな意見を共有し、つながっていく中で、「いい道をつくりたい」と「集っている」と思います。

清田の方は、地域に強い思いを持っています。未来に向かって守るべきもの、逆に残さなくていいものを、地域の方々は決断しています。このような姿勢が、旧国道で整備された部分、これから整備していく部分にもあると思います。旧道がやすらげる場所で、子どもの思いを大切にしながらいい道になっていけばと思います。

 

小林荘子路小林荘子路氏の写真

清田の歴史を考えた場合、川と道路を切り離して考えることはできないと思います。区役所周辺のまちづくり構想においても、水と緑のゾーンがあります。清田緑地、清田公園、あしりべつ川の右岸左岸の河川敷やパークゴルフ場などを含めて、今後の道路計画を進めたらよいと思います。

清田の歴史は、百数十年にのぼります。清田小学校の前身は、現在のコカ・コーラの工場の北側にあった明治時代の教育所です。生徒は数える程の人数で、清田地区の学校の始まりでした。また、農家がリンゴ等を苦労して栽培していました。そのような文化・歴史・産業を踏まえて、現在、道路を整備するにあたって並木をつくってはどうでしょうか。更に、教育所があったという名札を立て、清田の歴史を子どもに教えたらよいと思います。

また、北野には昔、お地蔵さんがありましたが、今は行方不明になっています。現在この道路はなだらかな坂ですが、昔は急な坂道で、馬車や馬そりの事故で人間が亡くなることもあり、大正時代にお地蔵さんを建てたそうです。その後の道路工事で、お地蔵さんがいつのまにかなくなってしまったそうです。是非、このお地蔵さんを捜して、元の位置に戻せば、歴史的にも道路の価値があがるのではないでしょうか。

清田地区は、昔、あしりべつ川を中心にして栄えていて、道路が整備されていない時代では、あしりべつ川は木材の運搬などに利用されていました。我々あしりべつ川の会は、川の保存を考え、子どもたちに残していきたいと思って活動しています。あしりべつ川を里塚・美しが丘地区センターから上北野の金星自動車交通までの旧国道36号線一帯を、清田の歴史を表現するような道路にしていただけたらと思います。

 

横江光良横江光良氏の写真

清田区は、(千歳方面からくる場合)札幌の入り口といえます。国道36号線をウエルカムロードにする会が進める「36号線ようこそ札幌へ」の起点に里塚・美しが丘地区センターがあります。ウエルカムロードは札幌ドームまで続いて、そこに旧道があります。旧道は、ロケーションも良く、歴史的にも価値があります。札幌の中心から約12km、三里塚の位置です。

現在から未来に残す財産として、この道を考えねばなりません。

夢を持ち続け、支えあい、一緒につくる旧36号線に対して、仮称『きらめきの道』としてつくっていくのはどうでしょうか。講演にもありましたが、距離感の表示をし、思い出のベンチ、思い出の何々など「思い出」をキーワードにして整備したらどうでしょうか。札幌に古くから住んでいる方は、旧36号線を通ると「懐かしい」、「里塚のカーブが懐かしい。昔はそこをよく通っていた」といいます。幸いなことに、コカ・コーラの工場周辺は、アダプトプログラムによる美観運動を企業としても進めており、市民にむけての勉強会も行われています。

清田区には川もあります。例えば、旧道から川を通って白旗山へ行く登山マラソンはできないでしょうか。そのためには、川を整備しなければなりません。また、清田区には国際大学もあるので、産学官の協調をとりやすい環境にもあります。自分たちが住んでいる町に自信と誇りを持って、子どもたちに受け継いでいきたいと思います。

 

中鉢令兒中鉢令兒氏の写真

道は、町の文化を示します。例えば、金沢市の茶屋街には、すだれや格子があります。これは単なる飾りではなく、中からは外は見えますが、外から中は見えなという機能性を持った道の装置です。この道は、夜になると光によって、町の姿をきれいに見せています。文化を映し、文化を伝え、通る人々の記憶を思い出させることが、道の役割なのだと思います。

また、楽しい下町の道には、映画「男はつらいよ」の寅さんの舞台となった柴又があります。普通の町が映画のおかげで、どんどん広がり、市民にとっても、非常に楽しい町、快い町になっていった例です。道は、そこに住む人の生き方をつくることもできます。近くには矢切の渡しが今でも残っていて、往復200円の料金で、船で往復するだけですが、歌謡曲や寅さんで舞台になった場所であり、人々の思い出や思いの大切さを感じます。

道内の層雲峡の近くの町では、町角にたくさんの花を植えて、訪れる人たちが、周辺の観光地を見てすぐに帰ってしまわないように、いろいろ配慮をしました。きれいな花に目をとめ、写真をとる人も出てきています。

最近、恵庭市にあるチェルボという小さなレストランが話題になっています。隣には、アイスクリーム屋があり、休日には人々が楽しそうにアイスを食べています。そこは、住宅街にある一つの道なのですが、道というものは、本来その場所で見る人も、見られる人も、何か心地よい空間なのではないかと思います。

企業の発信の例として、びっくりドンキーがつくった恵庭市のえこりん村があります。トマトの木をはじめ、安心・安全、自然に優しいものを提供するための雰囲気など、企業のメッセージを伝えるのも道の役割の一つです。

また、共生・協働の面から道を考えた場合、京都の町が例にあげられるかと思います。小さな川のほとりには、ベンチなどいろいろな配慮があり、非常に過ごしやすい空間となっています。

また、有名なかばん屋の前には、買い物客の長蛇の列が続きますが、『いい町』では、長時間並んで待っている間の会話も和やかに弾む何かがあります。配慮された町や道は、人を優しくさせます。そういう道こそが、本来の道なのではないでしょうか。

京都府美山町は、かやぶき屋根を観光とする町で、観光客が普段着で訪れています。かやぶき屋根の建物以外、何もない町なのですが、訪れる人々は楽しく幸せそうです。あぜ道では、スケッチをする人もいます。働いている人も、リタイアした人も、みんなで集えるところが本当の道なのではないでしょうか。

道は文化をつなぎ、文化は人をつなぎます。昔の鎌倉には、町へ通じる7つの入り口があり、切通しといわれていました。現在残されている大仏切通は、800年前のままで人が3人やっと通れる幅の道です。道は、人と人をつなぎ、文化を流入するものでもあります。道には一つの形があります。800年前の鎌倉時代には、その時代の道の姿と文化の伝え方があり、21世紀には、21世紀らしい道が必要なのだと思います。

山重明

5人のパネラーの方々に、それぞれの立場から旧36号線に対する思いや歴史的な価値、提案事項などを挙げていただきました。

ここで現在の状況について説明をいただきたいと思います。

 

佐藤敏雄(北野里塚旧道線の整備計画に伴う検討会事務局)

佐藤敏雄氏の写真今日のテーマである『やすらぎ歩行空間プラン』はコカ・コーラ工場周辺をイメージしていますが、これからお話しするのは、それよりやや南の検討区間(真駒内御料線~厚別川右岸線)の約300mについてです。

この300mの区間には、開拓の碑、レンガ倉庫など、清田区の歴史を代表する文化的資源がたくさんあります。が、残念なことに、レンガ倉庫以外のものは、道路からすぐには気が付かない所にあります。

一方、交通量は多く、12時間自動車交通量は12,000台近くあります。特に朝夕は、非常に混雑し、バスが止まると追い越しもできません。歩道も幅が狭く1m40cm程しかなく、自転車が通ると、歩道橋から降りてくる子どもとぶつかりそうにもなり、非常に危険な状態です。

昨年11月に検討委員会が発足し、平成14年の清田区役所周辺地区まちづくり委員会の提案を元に、歩行者の道と車の状況を両立できるような方向付けをしました。それは、歩行者と自動車が共存し、心の通う「歩いて楽しい道路」がテーマです。

ハード面では、渋滞の解消策として、御料線交差点の改良、バス停の停車帯設置などがあります。

歩道の拡幅では、三つの案を考えました。

A案は、横断歩道橋を残し、小学校側の用地で歩道を広げるという案です。しかし、これでは、自転車と歩行者のすれ違い時の危険性は解消されません。景観にも若干の問題があります。

B案は、歩道橋をはずして整備するという案。

C案は、歩道橋をはずし、奥に隠れている歴史的な遺産を道路と一体化して整備し、親しめる空間にする案です。

検討会としては、このC案をベースに、区民会議へ提言していく予定です。横断歩道橋を撤去する場合は、登下校時の児童の安全確保が一番問題になると思います。また、学校用地を削ることになるので緑が残せるのかなど、学校と一体になって整備を進めなければならない課題があります。また、C案が実現化したら、今地域で行っている登下校時の安全見守り運動に、更なるご協力が必要になると思います。

清田小学校のみなさんには、総合学習の中で、いろいろな意見を聞かせてもらいました。

その意見も何とか現実化し、夢を実現するということもしていきたいと思います。

今後の予定としては、まず、ニュースレターで、検討の経緯をみなさんに知っていただき、経緯を知ったうえで、どうしたらよいのかという意見をいただきたいと思います。

今後、緑地整備や安全対策、維持管理等の検討を行って、整備案を区民会議に出す予定でいます。

白石邦彦

今の説明のA案について、小学校の玄関前の用地にはほとんど余裕がありません。ここは、正面玄関で子どもが集まる場所なので、小学校にとっては、課題が残ることを強調したいです。

また、遺産の一つに学校の樹木がありましたが、検査により古くて倒木の恐れがある木や、樹木同士が込み入っている部分もありました。それを含め、小学校側用地には検討が必要と思います。

山重明

今日は、整備事業についての話、道に対する地域の人の思い、次の世代をになう子どもたちが考えたり学んだりしていることなど、たくさんの話が出ました。それらにより、旧36号線がまちづくりの活動としていろいろな可能性を持っていることを、再度確認できたと思います。

みなさんも、いろいろな形で、地域の活動に参加されていることと思います。地域に対する思いや活動と、整備計画や整備事業が、どのように具体的な折り合いを見せていくのかが、実はとても大事なことです。折り合いがつかないまま、十分こなされないまま進む例が、ままあります。この道の財産としての意味を、もしかすると損ねてしまう結果となる場合もあるかもしれません。

今後の検討には、更に一歩踏み込んだ形が必要と思います。清田小学校前が大きなポイントとなるのであれば、子どもたちも含めてワークショップや、住民の人たちの話し合いを重ねていくことが重要だと思います。

今日のフォーラムが、まちづくりへのステップとなっていただけたらと思います。これからもこの道をみなさんで磨いていきましょう。

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