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更新日:2023年1月10日

34.屯田防風林とともに生きる人たち

エピソード・北区

第4章:川と並木

24.血と汗の囚人労働で25."いわれ"はあだ名から26.長い木の橋27.茨戸川の誕生28.旅人宿を営む人も29.郷愁をそそるながれ30.創成川の中に神社があった31.子どもたちの遊び場だった創成川32.北大ポプラ並木33.目的は牛馬よけだった34.屯田防風林とともに生きる人たち35.地域住民の長年の夢、ついにかなう

34.屯田防風林とともに生きる人たち

 

昭和50(1975)年に行われた屯田防風林の植樹作業

屯田地区と新琴似地区の境界に伸びる、約3キロメートルの通称「屯田防風林」。これは、強風から農作物を守ろうと、屯田兵がコの字型に自然林を残して作った防風林の一部といわれている。大正時代に入ると、ポプラやヤチダモの木が植えられていった防風林は、風害から農作物を守り、水田のための用水路も作られるなど、人々の生活に欠かせないものであった。
「秋になるとちょうど防風林を境に、屯田側の田は稲穂の金色が、新琴似側の畑は大根の葉っぱの緑色が一面に広がっているんです。それはきれいだった。私の防風林の原風景ですね」と話すのは、入植三代目にあたる粟生嗣(あおうつぐのり)さん。粟生さんによると、昭和30(1955)年代まではそのような風景が見られたという。

防風林を憩いの場に

しかし、屯田地区、新琴似地区が急速に宅地化していくとともに、林の中の自然体系は変わっていた。伸び放題になった下草や折れた枝などの乱雑な風景を嘆く人や、青少年の非行の温床になるのではないかと危惧(ぐ)する住民たちも出てきたという。
昭和49(1974)年、町内会や青少年育成委員会、PTAなどが中心となり、林内への遊歩道の造成や、木が欠落している場所へ補植を行って環境美化に努めてほしいと、防風林を管轄していた営林署や市に要望した。翌年には、新琴似・屯田防風林保存育成会を結成し、住民たちの緑のまちづくりに向けての取り組みが始まっていった。そして要望だけではなく、町内会や小中学校の父兄など地域の人たちが営林署とともに、サクラやシラカバの植樹を行っていった。
地域に住む子どもたちもその思いを引き継ぎ、新琴似北小学校では、昭和48(1973)年以来ずっと、6年生の児童たち手作りの巣箱を木々に掛け、環境づくりに取り組んでいる。また、地域の人たちの協力を得て、校内には、歴代の子どもたちが調べた植物の採集結果や防風林の歴史などを保管・展示している「防風林の部屋」が設置されている。
時が進むにつれ、防風林には遊歩道や広場が整備され、緑の憩いの場にしたいという人々の思いは形になっていった。また、両側の道路と合わせてポプラ通風致地区となり、野生生物との共存を目指した空間として整備が行われ、今では、朝早くから夕方まで地域住民たちが憩う、地域のシンボル的な場所となっている。

これからも共に生きる

さらに平成14(2002)年には、防風林を囲む住民たちの新しい動きがあった。防風林に隣接する町内会が中心となって「ポプラ通りを守る会」を結成。これは、自然環境を守るためにどうすればよいか、住民たちが自主的に考え、地域に提案していこうというものである。
「人とのかかわり合いの中で防風林は自然体系が変わってきた。自生のセリや水芭蕉、リスの姿も見えなくなった」と、約40年間新琴似に住み、自身も毎日、防風林を散策するというポプラ通りを守る会会長の武田良夫(たけだよしお)さんは話す。武田さんは、「今までは利用するだけだったが、この地域に残る貴重な自然を残していくために、自分たちで考え、自分たちの手で取り組まなくてはいけない」と言葉を続ける。また、防風林に植えられたライラックの木を自分たちの手で育てようという地域の人たちが「リラの木育て隊」を結成し、木の剪定(せんてい)や下草刈りなどを自主的に行っている。
前述の粟生さんも「防風林は以前の農作物を守るものから、人と自然との共存を考える場へと、その役目は変わったが、地域の共通財産としてこれからも残していかなければ」と話す。このように防風林とともに暮らし、見守る温かい目がある限り、防風林は地域に豊かな自然だけでなく、人と人とのつながりをも与えてくれることだろう。

(「新・北区エピソード史(平成15年3月発行)」掲載)

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