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更新日:2016年6月14日

札幌市衛生研究所-調査研究(1978)

札幌市における新生児の先天性代謝異常マススクリーニングについて(PDF:504KB)

札幌市は、昭和52年(1977年)4月から新生児を対象に血液による先天性代謝異常症を開始した。当初の検査項目はガスリー法によるフェニルケトン尿症のみであったが、同年10月にはヒスチジン血症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症を加え、計5種類の検査となった。開始当初の受検率は3割程度だったが、12月には100%の新生児が検査を受けるようになった。(55-57ページ)

細菌性食中毒の問題点(PDF:94KB)

1974年から77年にかけて細菌性食中毒の検査につてまとめた。原因菌と推定された菌種はブドウ球菌が最も多く、腸炎ビブリオがこれに次いでいた。一方、原因不明とされた事例からの検出菌種はウェルシュ菌が最も多く、次いでブドウ球菌となっていた。しかし、ウェルシュ菌とブドウ球菌の両菌類は、健康時の糞便からも検出されることが多いため、検査材料が便のみの場合は、検出されてもその意義付けは非常に難しいと言える。(58-60ページ)

パラインフルエンザウイルスに対する抗体保有状況(PDF:761KB)

パラインフルエンザは特に小児の気道疾患に約10%の病因となる重要な感染症で、初感染臨床像として特徴づけられるのは、クループや気管支炎、毛細気管支炎、肺炎などの下気道炎である。札幌市では年間を通じて小学生以下の児童の6%前後の発生をみている。そこで、今回年齢層別にHI抗体価を測定し、パラインフルエンザウイルスの侵淫状況を調べた。3型に対する抗体保有率は、4才ですでに100%であり、30代でも高い状態が続いた。1型では4歳で焼く50%の保有率であったが、小学校高学年で96.4%に達した。2型は1型と同様だった。(61-65ページ)

1976年~1978年の札幌市におけるインフルエンザの流行

前半(PDF:818KB)後半(PDF:387KB)

1976年2月、米国NewJersey州で60年ぶりにヒトからA(Hsw1N1)型インフルエンザウイルスが検出された。このウイルスは1918年から1934年にかけて世界中で大流行し、わずか数ヶ月の間で2千万人以上の死者を出した「スペイン風邪」と同種のものであった。そこで、私たちはこの型に対する札幌市民の抗体保有状況を調べたところ、対象は全く抗体を持っていなかった。(66-73ページ)

1977年~1978年の札幌市におけるインフルエンザの流行-A(H1N1)型、学校で大流行-

前半(PDF:448KB)後半(PDF:578KB)

今秋からA(H1N1)型株がワクチンに入るようであるが、札幌においては全く抗体の無かった20歳以下で、すでに罹患率が約80%となり、ワクチンに期待するところは少ない。インフルエンザA型ウイルスにおいては、約10年間隔で不連続変異もしくは昔の流行ウイルスの再出現により世界的な大流行を起こし、その間免疫学的に選択された小変異を起こしては、比較的小さな流行を繰り返すと言うパターンをとっている。A(H1N1)型ウイルスも今後小変異を繰り返して流行し続ける可能性がある。また札幌ではB型ウイルスが、1969年、1973年、1977年と4年毎に比較的大きく流行しており、これらの動向を踏まえる必要がある。(74-85ページ)

札幌市における風疹の流行について(PDF:109KB)

風疹は軽症の小児伝染病で続に「三日はしか」と言われているが、妊婦が罹患した場合、3か月以内であれば顕性感染で約20%の先天性風疹候群児を生む危険があると言われる。1964年~1965年に沖縄において風疹が流行し、400名近い先天性風疹候群児が出生したと報告されている。1975年春より10年ぶりに全国的に風疹の流行があり、札幌市でも5月以降当所に検査依頼が殺到したので、その結果をまとめる。(86-88ページ)

RadioimmunoassayによるHepatitisBs抗原および抗体の検出(PDF:267KB)

Blambergらによって発見されたAustralia抗原(Hepatitis B surface antigen,HBs抗体)は肝炎ウイルス(HBウイルス)に感染した結果生じた血中タンパクとされ、B型肝炎の診断に取り入られているほか、肝硬変、肝癌との関係も重要視されている。HBs抗原および抗体測定法で最も感度が良いとされているラジオイムノアッセイにより職業、年齢別の陽性頻度を検討したところ、若年層ではHBs抗原陽性頻度が高い一方でHBs抗体陽性頻度が少ない傾向がわかった。今回の検討では職業間での有意差は認めなかった。(89-92ページ)

食品からのブドウ球菌エンテロトキシンAの検出法について(PDF:307KB)

ブドウ球菌食中毒はエンテロトキシンを含んだ食品をヒトが摂取すると2~5時間の短い潜伏期ののちに発症する。本菌食中毒の確実な診断と予防は公衆衛生上重要な課題となっている。今回私たちは特異抗エンテロトキシン血清を用いたRPHA法(逆受身赤血球凝集反応)による検出法を試みたところ、食品からの検出に関してはほぼ適用しうるとの結果を得た。(93-95ページ)

繊維製品中防炎加工剤(APO)について(PDF:260KB)

1977年10月、「有害物質を含有する家庭用品に関する法律」が改正され、防虫加工剤であるディルドリンと防炎加工剤であるAPOが新たに規制された。私たちは公定法ついて検討を加え、市販品について実態調査を行った。市販品からはAPOは検出されなかった。(96-97ページ)

鉄を含む飲料水中のイオン選択性電極法によるフッ素の測定の検討(PDF:111KB)

フッ素の定量法としては、スパンズ法、アリザリンコンプレキソン法、ジルコニウム-エリオクロムシアニンR法などがあるが、現在もっとも広く用いられている方法はランタンアリザリンコンプレキソン法である。しかしこの方法は、鉄、アルミニウム、鉛、カドミウム、ニッケル、コバルトなどが共存すると妨害がある。そこで私たちはイオン電極法について検討を行ったところ良好な結果を得た。(98-101ページ)

食品中のニトロソアミンの研究(第3報)-にしん漬中のジメチルニトロアミンの前駆物質の研究-(PDF:147KB)

私たちは食品中のジメチルニトロソアミンの実態調査を継続しているが今回は自家製ニシン漬についてジメチルニトロソアミンの前駆物質である亜硝酸根、二級アミンと合わせて調査を行った。亜硝酸根、ジメチルアミンとも漬込時に最高値を示し、以後は熟成にともなって減少した。このような環境ではジメチルニトロソアミンの生成は極めて難しいと推測された。(102-106ページ)

畜産食品中の合成抗菌剤の残留に関する研究(第1報)-滴定法によるカプリロヒドロキサム酸の定量法-(PDF:94KB)

飼料に添加される合成抗菌剤の一つであるカプリロヒドロキサム酸について、微生物由来のウレアーゼを阻害する事を利用した比色定量法に、ウレアーゼの活性値の測定法として滴定法を導入することを検討したところ、精度のよい結果が得られた。(107-109ページ)

畜産食品中の合成抗菌剤の残留に関する研究(第2報)-アンプロリウム測定妨害物質のクリーンアップ法の検討-(PDF:289KB)

畜産食品中に残留する合成抗菌剤の一つカプリロヒドロキサム酸は、アンプロリウム分析法を行う場合、とり肉より溶出してくる蛍光物質の妨害を受ける。そこで分析法に検討を加えたところ、蛍光物質はアンバーライトIRC-50により除去でき、その結果回収率77%で分析可能となった。(110-112ページ)

ソルビン酸の定量法の比較検討(PDF:117KB)

ソルビン酸は保存を目的として使用される食品添加物であるが、1976年(昭和51年)の厚生省添加物分析法では蒸留法により定量することとなっている。そこで、私たちの従来用いてきた透析法との比較検討を行ったところ、差のない結果が得られた。(113-116ページ)

札幌市における環境中の重金属について(PDF:586KB)

札幌市の大気汚染は他の工業都市とは異なり典型的な都市型を示しており、家庭暖房を始めビルや小規模工場から排出されるばい煙、自動車排ガス等が主な汚染源となっている。今回は重金属の汚染実態を把握するため、1977年の夏季、冬季の2階、市内の4地点において重金属分析を行った。(117-119ページ)

河川水中のテトラクロルイソフタロニトリルの分析法の検討(PDF:375KB)

テトラクロルイソフタロニトリル(TPN)近年ゴルフ場において殺菌剤として広く使用されており、人畜に対する毒性は弱いが水生動植物に対する毒性はかなり強いとされている。私たちは、河川水中のTPN分析法を検討し他の有機塩素系農薬、フタル酸エステル、ポリ塩化ビフェニル等との分離定量を行い、河川中TPNの経日変化と市内のゴルフ場の河川水の汚染調査を行った。また、TPNのn-ヘキサン及びアセトン中での安定性についても得られた知見を合わせて報告する。(120-125ページ)

札幌市における街路樹(ニセアカシア)の重金属と地点のクラスター分析(PDF:745KB)

札幌市内の7地点の街路樹(ニセアカシア)の樹葉及びその付近土壌中の重金属の含有量を調査し、それらの相関関係等について種々の統計学的考察を加えた。その結果、市の中央の一部と東及び南周辺を中程度汚染地域、市の中央北周辺部を高程度汚染地域と相対的に評価することができた。(126-141ページ)

札幌市内の河川水質の分布型と75%非超過確率(第1報)(PDF:359KB)

水質の評価には環境水質の75%非超過確率水質をもって水質の代表値とするということが環境庁の公害防止計画作成の指針として定められている。そこで、私たちは豊平川、創生川、新川の三水系について、BOD、COD、DO、SS大腸菌群数、ABSの各データ分布型を求め、それらについてχ2乗検定法により正規分布または対数正規分布のあてはめを行いそれらに適合した分布について、75%非超過確率を求めた。(142-149ページ)


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札幌市保健福祉局衛生研究所保健科学課

〒003-8505 札幌市白石区菊水9条1丁目5-22

電話番号:011-841-2341

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