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更新日:2023年1月25日

札幌市衛生研究所-学会発表(2014)

白菜浅漬けによる腸管出血性大腸菌O157食中毒事例

第34回 衛生微生物技術協議会

2013年7月 名古屋市

坂本裕美子、廣地 敬、大西麻実、伊藤はるみ、高橋広夫、宮田 淳

平成24年8月、白菜浅漬を原因とする腸管出血性大腸菌O157(Stx1&Stx2、以下O157)食中毒が発生した。当該食品は高齢者施設をはじめとし、ホテル、飲食店、食品スーパーなども流通していたため、札幌市を中心とした広い地域で患者が発生した。食中毒患者として認定された169名中検便検査にてO157を分離した73名(73株)と白菜浅漬保存品から分離した3株についてIS-printing systemを実施した結果76株すべてが同一の遺伝子パターンを示した。また。パルスフィールド・ゲル電気泳動の結果は感染研Type No.94と同一パターンが73株、1バンド違いが2株、3バンド違いが1株という結果であった。


白菜きりづけによる腸管出血性大腸菌O157食中毒事例について

第65回 北海道公衆衛生学会

2013年11月 札幌市

坂本裕美子、大西麻実、伊藤はるみ、高橋広夫、宮田 淳

平成24年8月7日、札幌市内の医療機関から「高齢者関連施設の入居者で下痢、血便などの症状を呈している者がいる」との連絡が保健所にあった。その後の調査で札幌市内5箇所、北海道立保健所管内5箇所の高齢者関連施設で同様の食中毒症状を有する入居者がいることが判明した。疫学調査の結果、これらの施設では給食として札幌市内の漬物工場が製造した白菜浅漬けが共通して提供されていることがわかった。その後の調査で当該浅漬けは札幌市内及び市外の食品スーパー、ホテル、飲食店などにも広く流通していることが判明し、これらの流通手段により喫食した人の中にも症状を有する者がいることが明らかになった。これら有症者便、白菜浅漬け保存品などの食中毒細菌検査を実施した結果、腸管出血性大腸菌O157を検出した。最終的に患者169名、死者8名という大規模な食中毒事例となった。この事例について、疫学情報と分子疫学的情報(パルスフィールド電気泳動法、IS-printing System)に基づいた解析結果を報告する。


札幌市における30年間の先天性副腎皮質過形成症スクリーニング

第116回 日本小児科学会学術集会

2013年04月 広島県

1石津 桂*1、中村明枝*1、藤倉かおり、福士 勝*2、母坪智行*3、佐々木泰子、田島敏広*1

札幌市で1982年に先天性副腎皮質過形成症スクリーニングを開始して以来31年が経過した。これまでの結果を報告し、本スクリーニングの今後について展望する。

*1北海道大学大学院医学研究科小児科学分野、*2札幌IDL、*3NTT東日本札幌病院小児科


小児遺伝代謝センターでの遺伝子検査を用いた迅速診断システム

札幌市新生児タンデムマススクリーニングにおける脂肪酸代謝異常症例への応用

第40回 日本マス・スクリーニング学会

2013年08月 大阪府

田中藤樹*1、森井麻祐子*1、長尾雅悦*1、窪田満*2、吉永美和、太田 優、野町祥介、花井潤師、高橋広夫、宮田 淳

札幌市ではタンデムマススクリーニングでの要精査例については当院に受診してもらっている。そこで、生化学検査による代謝プロファイルを詳細に検索し、遺伝子検査により確定診断としている。この方法は侵襲性が低くまた迅速に診断が可能であることが利点である。現在までにスクリーニングした症例はすべて遺伝子変異を同定することができ、治療方針に役立てている。

*1国立病院機構北海道医療センター小児科・小児遺伝代謝センター、臨床研究部遺伝子解析研究室  *2埼玉県立小児医療センター総合診療科


便色カードの改訂に伴う胆道閉鎖症スクリーニング回答数の変化

第40回 日本マス・スクリーニング学会

2013年08月 大阪府

手塚美智子、吉永美和、花井潤師、高橋広夫、宮田淳、岡田忠雄*1、顧艶紅*2、松井陽*3

札幌市では2001年5月から、共同研究者の松井陽らが考案した便色カード(旧カード)を用いて胆道閉鎖症スクリーニングを開始した。2012年4月からは、全国の母子手帳に厚生労働省省令様式の便色カード(新カード)が導入され、札幌市でも新カードに切り替えて胆道閉鎖症スクリーニングを継続することとなった。この新カードの導入に伴い、新旧カードの有用性を比較・検証するため、新旧便色カードの回答数の変化について調査した。

*1北海道大学大学院医学研究科消化器外科Ⅰ、*2帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座、*3国立成育医療研究センター


 

LC-MS/MSを用いた先天性副腎過形成症スクリーニングのカットオフ値の検討

第40回 日本マス・スクリーニング学会

2013年08月 大阪府

山岸卓弥、藤倉かおり、田上泰子、花井潤師、宮田 淳、田島敏広*1、母坪智行*2

札幌市では2011年度より二次検査としてLC-MS/MSによる17-OHP、Cortisol、11-DOF、21-DOF、4-ADの同時分析法(LC/MS/MS法)を導入した(藤倉かおり他: 日本マス・スクリーニング学会誌 23(1)、2013、掲載).本法について、カットオフ値を検討、設定した。

*1北海道大学医学部、*2NTT東日本札幌病院


札幌市における30年間の先天性副腎皮質過形成症スクリーニング

第47回 日本小児内分泌学会学術集会

2013年10月東京都

田島敏広*1、石津 桂*1、森川俊太郎*1、藤倉かおり、福士 勝*2、中村明枝*1、母坪智行*3、宮田 淳

札幌市で1982年に先天性副腎皮質過形成症スクリーニングを開始して以来31年が経過した。これまでの結果を報告し、本スクリーニングの今後について展望する。

*1北海道大学医学部、*2札幌イムノダイアグノスティックラボ、*3NTT東日本札幌病院


札幌市における水痘の流行状況

第65回 北海道公衆衛生学会

2013年11月札幌市

扇谷陽子、花井潤師、宮田 淳

札幌市における水痘の流行状況を把握することを目的として、感染症発生動向調査で得られたデータを用いて、流行状況の解析を実施した。この結果、札幌市においては、流行する季節、患者報告数及び患者年齢について毎年同様な傾向が継続していること、定点あたり患者報告数年平均値が全国平均より高い傾向にあること、重症化リスクの高い年齢について毎年罹患している状況にあることが確認された。


札幌市における咽頭結膜熱の流行状況について

第27回 公衆衛生情報研究協議会研究会

2014年1月和光市

扇谷陽子、大西麻実、古舘大樹、伊藤はるみ、高橋広夫、花井潤師、宮田 淳

札幌市における咽頭結膜熱の流行状況を把握することを目的として、感染症発生動向調査で得られたデータを用いて、流行状況の解析を実施した。この結果、札幌市においては、全国的に患者報告数が増加する傾向の夏季のみでなく冬季に顕著に患者報告数が増加する年があること、ほぼ隔年で定点あたり患者報告数の年平均値が増減していること、1~5歳の報告割合が高いことが確認された。


1,1-ジクロロエチレンの分析法について

2013年1月 東京都

立野英嗣、武口 裕、宮本啓二、宮田 淳

1,1ジクロロエチレンは合成原料「家庭用ラップ、包装用フイルム、その他加工品(人工芝、漁網等)」として用いられており、化学物質審査規制法の第2種監視化学物質に、また、化学物質排出把握管理促進法の第1種指定化学物質に指定されている。このことから、大気中の濃度を調査するための分析法の確立が急がれており、環境省の化学物質環境実態調査分析法開発調査の一環として分析法を開発した。大気試料の採取はあらかじめ洗浄したステンレス製捕集容器(キャニスター)に毎分3mLの速度で24時間採取することとした。採取を終えたキャニスターは、超高純度窒素を用いて加圧操作を行い、自動試料濃縮装置(ENTECH7100A)付ガスクロマトグラフ質量分析装置で分析を行った。分析カラムとしてはHP-1(0.32mm×60m×1.0µm)を用いた。本分析法では大気中の1,1-ジクロロエチレンを定量下限0.049µg/m3で定量することが可能である。本分析法を用いて札幌市内の大気中濃度を測定したところ、検出下限0.028µg/m3以下であった。また、本分析法ではクロロメタン、ブロモメタン、クロロエタン、1,2-ジクロロプロパン、cis-1,3-ジクロロプロペン、trans-1,3-ジクロロプロペンについて同時分析が可能である。


札幌市における亜硝酸ガスの挙動

第54回大気環境学会年会

2013年9月 新潟市

惠花孝昭、野口 泉*1、武口 裕、宮本啓二、宮田 淳

乾性沈着を評価する際、亜硝酸ガス(HONO)は無視できない成分といわれており、フィルターパック(FP)法を用いて札幌市内における HONO濃度の調査を行った。季節変動、ガス状硝酸(HNO3)等の濃度組成比、NO由来の酸化態窒素(NOy)の沈着速度(Vd)の比較から沈着量への影響を検討した。HONOは夏季(7~8月)濃度が8.6~24nmol/m3、冬季(12~2月)が26~47nmol/m3の範囲にあり、冬季にピークがみられた。また、5年間の平均濃度組成比は、HONOが44%、HNO3が15%、NO3-が41%であった。NOyの濃度組成比は、NOxが約95%、「NOx以外」が約5%であった。一方、「NOx以外」のVdはNOxより1桁以上大きな値となっており、NOyの沈着量としては、「NOx以外」の割合が大きくなると考えられる。また、HONOは、NO3- と同程度の濃度であったが、VdがNO3-より1桁大きく、沈着量に大きな影響を与えることが分かった。

*1北海道立総合研究機構 環境科学研究センター


環境水中のジクロロアニリン等について

第39回 全国環境研究協議会北海道・東北支部研究連絡会議

2013年8月 札幌市

阿部敦子

ジクロロアニリン等は農薬、染料、医薬品等さまざまな製品の原料である。今回、クロロアニリン(CA)、ジクロロアニリン(DCA)の合計9異性体とトリクロロアニリン(TCA)の4異性体(2,3,4-TCA、2,4,5-TCA、2,4,6-TCA、2,3,4-TCA)について、環境水から抽出して同時定量する試験法を開発し、河川水を用いて保存試験を行った。冷暗所での保存試験で濃度低下を示す残存率は、最も著しいもので翌日に8割、1週間後には2割程度であった。試料をあらかじめ滅菌しておくと、13異性体中4異性体(3-CA、4-CA、3,5-DCA、3,4,5-TCA)などでは濃度低下を防ぐことができた。また、室温・明所での保存試験では1日目から濃度低下が見られ、極性の高いものの方が濃度の低下が著しい傾向であった。


ジクロロアニリン類の分析法について

平成25年度化学物質環境実態調査環境科学セミナー

2014年1月 東京都

阿部敦子

ジクロロアニリン類は農薬、染料の合成原料として用いられ、平成21年の化審法政令改正に伴い新たに第一種指定化学物質に指定された。環境省はその環境残留状況を確認するため、化学物質環境実態調査の一環として水質の調査を行うこととし、ジクロロアニリンの6異性体を同時に測定できる分析法を開発した。水質試料を逆相カートリッジ(PS-2)で固相抽出し、0.1mol/L水酸化ナトリウム:メタノール=1:1で洗浄した後アセトンで溶出し、溶出液に0.1mol/L水酸化ナトリウム-10%塩化ナトリウム水溶液を加えた後、内標準(アセナフテン-d10)ヘキサン溶液を加え抽出し、GC/MSで分析を行った。なお、抽出効率の悪い異性体の回収率低下を補正するため、標準液も同じ条件で抽出し検量線を作成した。本分析法の検出下限(MDL)及び定量下限(MQL)はそれぞれ0.50~3.1ng/L、1.3~7.9ng/Lであった。本分析法を用いて札幌市内の新川、豊平川下流、茨戸川の河川水を調査したところ、3か所とも6異性体いずれもが検出下限以下であった。また、本分析法ではクロロアニリンの3異性体、トリクロロアニリン(TCA)の4異性体(2,3,4-TCA、2,4,5-TCA、2,4,6-TCA、2,3,4-TCA)についても同時分析を可能とした。なお、本分析方法は環境省の「化学物質と環境 平成24年度 化学物質分析法開発調査報告書」に掲載している。

 


 

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