札幌市衛生研究所-調査研究(2009)

Perkin Elmer社製非誘導体化キットNeoBaseRの新生児マススクリーニングへの応用に関する検討（PDF：775KB）

タンデム質量分析計のアミノ酸及びアシルカルニチン類同時測定による新生児スクリーニングについては、すでにその有用性が示されつつあるが、PerkinElmer社製のキットNeoBase^Rでは、従来のマーカーに加えて、チロシン血症1型のマーカーであるサクシニルアセトン、プロリン血症のマーカーであるプロリンを同時に測定することが可能である。そこで札幌市衛生研究所のシステムで当該キットを応用することにより、これらの新たな指標物質が十分な感度で測定可能か、また従来のマーカーについては、当所が現在測定している誘導体化法との間に十分な相関があるかどうかを検討したところ、いずれも良好な成績が得られた。(31-41ページ)

タンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングの試験研究2008年度（4年目）実施成績（PDF：98KB）

札幌市のタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングのパイロットスタディにおいて、2008年4月から2009年3月までの1年間で新生児代謝異常症等検査を受検した16,831件（前年度比324件増加）のうち、保護者からタンデム質量分析計による多項目検査の希望を取得できた16,615件(98.7%)を対象に検査を実施した。その結果、2例を精査とし、うち1例が中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症と診断された。また、メチルマロン酸血症及びプロピオン酸血症を疑った1例については、精査の結果正常であった。(42-48ページ)

妊婦の禁煙・乳幼児の受動喫煙防止に向けた啓発用DVDの製作　札幌市母子保健たばこ対策プロジェクト（PDF：518KB）

妊婦の能動喫煙と受動喫煙及び乳幼児の受動喫煙の効果的な防止対策として、受動喫煙・喫煙防止啓発用DVD「パパ、ママ、タバコやめて！-小さな命のために-」を製作した。視聴する対象は妊婦及び赤ちゃんの周りで喫煙する母親、父親などで、利用する場面は、保健センターで実施している妊婦の母親教室、両親教室、乳幼児健診などを想定した。DVDでは、妊婦（母親）役と父親役は実写とし、赤ちゃん及び医師はコンピュータ・グラフィクスアニメーションを使って進行し、集中して見ることができる視聴時間の中に、当所がこれまで行ってきた受動喫煙の影響に関する科学的データなども適宜盛り込んだ。啓発用DVDは、市内各区保健センターに配布し、母親教室、両親教室、乳幼児健診などで利用することとしたが、特に母親教室や両親教室では、教室のプログラムの中に、啓発用DVDの視聴を組み込んでいる区もあり、妊娠中の喫煙・受動喫煙の防止対策としての活用効果が期待される。(49-56ページ)

札幌市における神経芽細胞腫スクリーニング結果（2008年度）（PDF：254KB）

札幌市で実施している1歳6か月児を対象とした神経芽細胞腫スクリーニング（以下18MS）において、2008年度に新たに4人の患児を発見した。2006年度から開始された18MSにおいて発見された患児の総数は11例となった。18MSでの患者の発見頻度は2,670人に一人となり、現時点では、1歳2か月児を対象にしたスクリーニングよりも高いものとなっている。(57-58ページ)

2007～2008年度の札幌市における残留農薬の検出状況について（PDF：48KB）

2006年5月、ポジティブリスト制が施行され、これに伴い当研究所でのGC/MS一斉分析法を検討した。2006年度に報告したGC/MS農薬の一斉分析法を用いて、2007～2008年度に収去検査の検体として持ち込まれた農産物について残留農薬検査を行ったところ、国内品187検体中52検体から29種、輸入品87検体中16検体から21種の農薬が検出された。このうち玄米1検体から食品衛生法の基準値を超えるプロシミドンが検出された。(59-66ページ)

札幌市内河川水及び下水放流中の医薬品等調査結果について（PDF：115KB）

近年、環境水中での医薬品の検出例が報告されているが、札幌市内の河川、下水放流水を対象に試料を固相抽出し、GC/MS及びLC/MS/MSでの測定条件を検討した。精製水での添加回収率が70～120%の範囲であり、定量下限等その他の測定条件が評価に値すると判断された医薬品類33種について調査した結果、主に下水処理場放流水と下水放流口下流河川水から24種の医薬品が5ng/L～1.7μg/Lレベルで検出された。(67-74ページ)