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更新日:2016年5月27日

札幌市衛生研究所-調査研究(2008)

タンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングの試験研究 2007年度(3年目)実施成績(PDF:117KB)

札幌市のタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングのパイロットスタディにおいて、2007年4月から2008年3月までの1年間で新生児代謝異常症等検査を受検した16,507件(前年度比387件増加)のうち16,303件(98.8%)がタンデム質量分析計による多項目検査を希望した。その結果、4例を精査とし、うち2例がプロピオン酸血症、1例がカルニチントランスポータ異常症であり、これらの患児を早期に見出すことができた。また、シトルリン高値により精査となった1例については、現在も精査医療機関においてフォローを行っている。(29-36ページ)

 タンデム質量分析計を用いたフローインジェクション法による尿中オロト酸定量法の開発(PDF:440KB)

オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症に代表される尿素サイクル異常症疾患群において、化学的補助診断の有用な指標である尿中オロト酸をタンデム質量分析計のフローインジェクション法により定量する方法を開発した。本法は簡便な前処理と、短時間の測定による定量性の高いもので、特に治療中のオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症患者をフォローする等の目的で、尿中の当該物質の低濃度域を、高い定量性で安定して測定することが必要な場合、その有用性は高いと考えられる。(37-42ページ)

 札幌市衛生研究所におけるヒトを対象とする医学研究を実施するための体制整備-倫理審査委員会の設置-(PDF:55KB)

札幌市衛生研究所ではヒトを対象とした医学研究を継続・実施して行くに当たり、その適正な環境を確保することを目的として、「臨床研究に関する倫理指針」(平成16年(2004年)度厚生労働省告示)、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成17年(2005年)度文部科学省・厚生労働省告示)、「疫学研究に関する倫理指針」(平成19年(2007年)度文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示)に準じて「札幌市衛生研究所におけるヒトを対象とする医学研究実施要綱」等を制定し、倫理審査委員会を設置した。これによって、2008年4月以降、札幌市衛生研究所において、ヒトを対象とした医学研究実施のため適正な環境が確保された。(43-49ページ) 

 札幌市における妊婦甲状腺機能スクリーニングについて(PDF:26KB)

札幌市で行っている妊婦甲状腺機能スクリーニングの過去8年間の検査結果についてまとめた。バセドウ病による甲状腺機能亢進症、橋本病による甲状腺機能低下症は高頻度に認められ、妊婦甲状腺機能スクリーニングは妊婦における甲状腺疾患の早期発見と早期治療に有用であった。(50-52ページ)

札幌市における1歳2か月児の神経芽細胞腫スクリーニング結果(PDF:45KB)

札幌市で行っている神経芽細胞腫スクリーニングは、平成16年4月から、生後1歳2か月児を対象にしたスクリーニング(以下14MS)に一本化されたが、平成20年3月末までに、新たに5例の患児を発見した。14MS発見例の合計は33例となり、発見頻度は5,269人に1例であった。発見患児5例はいずれも初回検査のVMA、HVA値がともにカットオフ値を超えていたが、ISNS病期分類は3期の1例を除き、いずれも1期の早期症例であった。また、予後因子の検索では、5例はいずれも嶋田分類ではFavorableと判定され、MYCN増幅は認められなかった。(53-56ページ)

札幌市における1歳6か月児の神経芽細胞腫スクリーニング結果(PDF:23KB)

2006年4月から予後良好と思われる腫瘍に対する過剰診断をなくすため、神経芽細胞腫スクリーニング検査の対象を1歳2か月児から1歳6か月児に変更し、2006年度に5人、2007年度に2人の患児を発見した。発見頻度は2,703人に1人であった。1歳6か月児スクリーニング検査(以下18MS)で発見された患児でも予後不良因子を有しない例もあり、18MSにおいても予後良好な神経芽細胞腫が存在することが示唆された。しかしながら、発見例7例のうち4例の原発腫瘍が生検や部分切除にとどまるなど病期の進行した症例が多く、また、INPC組織分類でUnfavorableグループに分類された腫瘍が4例あり、1歳2か月児スクリーニング検査(以下14MS)に比べ予後不良な腫瘍を示唆する症例が多い傾向が認められた。(57-59ページ)

北海道・東北・新潟県の地域におけるオゾンの特性について(PDF:67KB)

近年、話題になっている対流圏オゾン(O3)は、窒素酸化物等の光化学反応によって主に夏季に発生し、気象条件によっては対流圏に流下した成層圏O3も含め光化学オキシダント(Ox)と呼ばれている。対流圏O3は地域内外で排出された大気汚染物質から生成する場合や地域外で生成し移流する場合があり、その起源は複雑である。地域外から移流したO3によりバックグラウンド濃度が増える傾向にあるといわれ、森林減少や農作物の減収などの影響が懸念されている。これらのことを踏まえて、全国環境研協議会北海道・東北支部が2003年度から3年間小川式パッシブサンプラー法(O式法)によって、O3を含めたガス状酸性化成分等の濃度分布を把握するために実施した大気中の濃度調査のデータを用いて、O3の地域特性について検討を行ったので報告する。この結果として、O3濃度は標高に正の相関があり、標高0~1000mまでの比例関係が確認できた。また、一酸化窒素(NO)濃度とは負の相関を示し、地域のO3濃度はNO濃度に影響を受けていると考えられた。O3濃度のピーク月はNOの高濃度地点では低濃度地点に比較し遅れる傾向があり、冬季から春季にかけて発生する高濃度のNOがピーク月の遅れの一因と思われた。また、O3濃度のピーク月は高緯度ほど出現が早まる傾向がみうけられた。(60-65ページ)

LC/MSによるアセフェート、オメトエート、メタミドホス同時分析法(第3報)(PDF:33KB)

食品中のアセフェート、オメトエート及びメタミドホスの一斉試験法による同時分析を目的として、ODSミニカラム及び陽イオン交換ミニカラムを用いた精製条件を検討した。その結果、キャベツ、いちご、大豆による添加回収試験を行ったところ、回収率が67.4~88.3%であり、第一報と比較して大幅に向上したことから、検査の省力化に有用な同時分析法となりうることが示された。(66-70ページ)

市内河川における環境リスク評価のための基礎的検討(PDF:192KB)

過去の内分泌攪乱化学物質調査等で調査されていない化学物質を対象とし、札幌市内の河川における化学物質による環境リスクを把握するため、降雨直後の河川水試料をGC/MSデータベースNAGINATAや混合農薬標準品等を用いて測定する基礎的調査を実施した。その結果、アメトリン等の農薬、ベンゾチアゾール、有機リン酸トリエステル類が検出された。(71-74ページ)

過塩素酸イオンの分析について(PDF:45KB)

過塩素酸イオンについて、測定方法の検討を行なった。当所有のイオンクロマトグラフィ(検出器:電気伝導度計)では感度が低かったため、試料の加熱濃縮と機器のサンプリングループの容量増を検討した。その結果、試料の検出下限値0.5μg/L、定量下限値2μg/Lが得られた。この方法を用いて環境水の実態調査を行なった。その結果、河川水では全16検体のうち1検体が、定量下限値以上であった。湖水では全4検体のうち定量下限値以上は無かった。その他の試料についても全体的に過塩素酸イオン濃度は低かった。(75-80ページ)

 

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