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更新日:2016年6月3日

札幌市衛生研究所-学会発表(2006)

 タンデム質量分析計により診断されたグルタル酸尿症2型の1例

第33回日本マス・スクリーニング学会 2005年10月 久留米市
城和歌子*1,中本 哲*1,奥原宏治*1,高橋伸浩*1,外木秀文*1,古賀康嗣*1,阿部敦子,野町祥介,田上泰子,花井潤師,福士 勝,藤田晃三、窪田満*2

グルタル酸尿症2型は電子伝達フラビン蛋白(ETF)またはETF脱水素酵素の異常によって、ミトコンドリアの複数の水素酵素反応が障害される疾患である。私達は札幌市衛生研究所に新しく導入されたタンデム質量分析計によって迅速に診断し治療を開始できた症例を経験した。もし、本例が札幌市のタンデム質量分析計によるスクリーニングの試験研究開始後に出生していれば、症状出現前に治療開始できたと考える。


*1天使病院小児科,*2北海道大学病院小児科

 尿中ホモシステイン測定の意義

高Met血症・ホモシスチン尿症患児における血清レベルとの比較
第33回日本マス・スクリーニング学会 2005年10月 久留米市
山口昭弘*1,田上泰子,野町祥介,花井潤師,福士勝,藤田晃三,松浦伸夫*2,荒島真一郎*3


ホモシスチン尿症の新生児スクリーニングにおけるMet高値例の診断において、血清総ホモシステイン(Hcy)測定は重要である。さらに最近では動脈硬化の危険因子や葉酸・コバラミン欠乏の指標として血清総Hcyの上昇が注目されている。今回Met精査例について血中と尿中の総Hcyの比較を行なったところ、ベタイン投与時の減少がより尿を用いた測定において顕著であったことから、鑑別・治療の際のモニタリングにおいて有用な方法と考えられた。


*1財)日本食品分析センター *2聖徳大学 *3北海道ハイテクノロジー専門学校

 札幌市におけるタンデムマスによる新生児マス・スクリーニングのシステム構築

(1)環境整備
第33回 日本マス・スクリーニング学会 2005年10月 久留米市
野町祥介,阿部敦子,坂上絵理奈,花井潤師,本間かおり,田上泰子,太田紀之,福士 勝,藤田晃三,遠藤一行*1,窪田 満*2,長尾雅悦*3,舘 睦子*4


幌市では2005年4月から2年間の予定でタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングのパイロット・スタディを実施することになった。そこで、従来のマススクリーニングシステムに、本スタディを組み込むための環境整備を要綱・要領の改訂・制定により行なった。その結果、周知方法や申込方法が改変され、あわせて従来の申込み方法にかかわる問題点を解決した。現在まで大きな混乱もなく、高い実施率で本スタディは運用されている。


*1札幌市医師会産婦人科医会 *2北海道大学病院小児科 *3独立行政法人国立病院機構西札幌病院小児科 *4札幌市保健福祉局健康衛生部 第32回 日本マス・スクリーニング学会 2004年10月宮城県仙台市

 札幌市におけるタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニング経過報告

~開始9か月時点までの結果について~
厚生労働省科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業)「わが国の21世紀における新生児マススクリーニングのあり方に関する研究」 2006年02月 東京都
野町祥介,阿部敦子,坂上絵理奈,花井潤師,本間かおり,田上泰子,太田紀之,福士勝,藤田晃三,長尾雅悦*1,窪田満*2


札幌市では2005年4月から希望者を対象にタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニングのパイロットスタディを開始した。12月までに札幌市の先天性代謝異常症等検査を受けた11、380人のうち11、259人(98.9%)がタンデム検査を希望し、その結果、3名を精査としたが患者は発見されなかった。精査と再採血を合わせた初回陽性は44例(0.39%)であった。このうち陽性理由として最も多かったのがC10高値によるGA2.疑いで28例あった。また、開始9ヶ月分の消耗品費と試薬費から算出したランニングコストは1件あたり150円となった。丸一日以上検査が実施できない機器的トラブルは5回あり、そのうち最も原因の判明まで日時を要したものはキャピラリーの詰まりによるもので、再稼動まで1週間を要した。現在までプレスタディ期間を含めて20か月3万インジェクション以上測定に使用しているが、消耗品の交換等は必要になっていない。


*1国立病院機構西札幌病院小児科 *2北海道大学病院小児科

 MS/MS新生児スクリーニングの技術的側面

第30回 日本医用マススペクトル学会 2005年09月 大阪市
阿部敦子、福士勝、重松陽介*1
*1福井大学医学看護学部小児科

 行政などと連携したタンデムマススクリーニングの実施体制の検討

第48回日本先天代謝異常学会
2005年11月 熊本市
福士勝


札幌市では2005年4月から、タンデムマスによる新生児マス・スクリーニングのパイロットスタディを実施することになった。そこで、現在実施している新生児マス・スクリーニングシステムに、このパイロットスタディを組入れることに伴う問題点を解決するため、札幌市新生児・乳幼児マス・スクリーニング連絡協議会(構成メンバー:札幌市産婦人科医会、札幌市小児科医会、北海道大学及び札幌医科大学の産婦人科及び小児科、札幌市母子保健行政主管課及び衛生研究所)や厚生労働省研究班(山口班)の協力を得て、新しいスクリーニングシステムの確立を目指した.。

 新生児内分泌疾患のスクリーニング

-問題点とその考え方-

第33回日本マス・スクリーニング学会 2005年10月 久留米市
福士 勝,本間かおり,吉永美和,太田紀之,藤田晃三,藤枝憲二*1,田島敏広*2,母坪智行*3


クレチン症(CH)と先天性副腎過形成症(CAH)の新生児スクリーニングについて、札幌市のデータと全国の検査施設の状況から、低出生体重(LBW)児の取り扱い、中枢性CHスクリーニングの意義について報告した。


*1旭川医科大学小児科 *2北海道大学小児科 *3斗南病院小児科

 タンデムマスによる新生児スクリーニング検査施設基準の検討

平成17年度厚生労働科学研究「わが国の21世紀における新生児マススクリーニングのあり方に関する研究」
2006年2月 東京都
福士 勝, 山口清次*1


新生児スクリーニングにおいて新しい対象疾患の試験研究を実施し、そのルーチン検査化を進めるために、スクリーニング検査施設が検査を委託している自治体との連携を強化し、その検査に必要な検査施設の設備及び機器を整備し、検査担当者の教育訓練による新しい検査法への対応を可能とすることが必須である。


*1島根大学医学部小児科

 札幌市におけるタンデムマスによる新生児マス・スクリーニングのシステム構築

(2)事務処理プログラム
第33回 日本マス・スクリーニング学会
2005年10月 久留米市
本間かおり,花井潤師,野町祥介,阿部敦子,田上泰子,吉永美和,太田紀之,福士勝,藤田晃三


タンデムマスによる新生児マス・スクリーニングにおいて、検査の希望の有無や検査済み検体の二次利用の承諾など、これまでの新生児スクリーニングとは異なった受付処理に対応した事務処理プログラムを開発した。このプログラムにより、タンデム検査を含めた新生児スクリーニングの正確で効率的な運用が可能と考えられる。

 神経芽細胞腫スクリーニングの研究的実施の可能性に関するアンケート調査集計結果

第33回 日本マス・スクリーニング学会 2005年10月 久留米市
花井潤師,福士 勝,藤田晃三,檜山英三*1


平成15年度まで神経芽細胞腫スクリーニング(以下NBマス)を実施していた60自治体および57検査施設を対象に、NBマスの研究的実施の可能性についてアンケート調査を行った結果、限られた施設や自治体にあっては、条件が整えば、研究的な実施の可能性があることが確認された。

*1広島大学病院小児外科

 乳幼児の家庭でのタバコ暴露実態

尿中ニコチン代謝産物測定による検討
第64回 日本公衆衛生学会 2005年9月 札幌市
矢野公一*1,花井潤師,福士 勝,藤田晃三


札幌市の乳幼児健診受診を対象として母子の尿中コチニン測定、家族の喫煙状況のアンケートを実施した。喫煙27家族中6家族6人の乳幼児からコチニンが検出され、家庭でのタバコ暴露のジッタがニコチン代謝産物測定でも明らかとなった。また、検出された児は母乳栄養群であり、母乳を介したニコチンあるいはコチニンの移行が示唆された。また、濾紙に滴下して乾燥させた濾紙尿でもコチニンの測定が可能であった。


*1札幌市南保健センター(現:保健所)

 乳幼児の家庭でのタバコ暴露の実態;尿中ニコチン代謝物(コチニン)測定による検討

日本小児科学会北海道地方会第264回例会
2005年11月 札幌市
矢野公一*1,2,毛利優子*1,菅原有希*1,花井潤師,福士 勝,藤田晃三


乳幼児健診児を対象に、母児の尿中コチニン(ニコチン代謝産物)を測定した成績を発表した。喫煙する27家族中6家族の児がコチニン陽性で、乳幼児の受動喫煙が明らかであった。


*1札幌市南保健センター *2札幌市保健所

 麻疹撲滅に向けての実践的研究-札幌から麻疹ゼロへ-第5報

第31回札幌市医師会医学会
2006年2月 札幌市
富樫武弘*1,舘 睦子*2,高瀬愛子*3,藤田晃三


海道における麻疹流行阻止に向けて、麻疹予防接種率の向上を目指した取り組みとその成果について発表した。


*1市立札幌病院小児科 *2札幌市保健福祉局健康衛生部 *3札幌市保健所

 タンデムマス分析計による新生児マス・スクリーニングの効果;グルタル酸尿症2型の症例を経験して

第8回北海道出生前診断研究会
2005年11月 札幌市
城 和歌子*1,中本 哲*1,奥原宏治*1,高橋伸浩*1,外木秀文*1,古賀康嗣*1,阿部敦子,野町祥介,田上泰子,花井潤師,福士勝,藤田晃三,窪田 満*2


乳児期に発症する有機酸代謝異常の多くは臨床経過が多様で、診断にも難渋することが多い。この症例の様に最初からタンデムマス分析を行うことで、大方の鑑別診断の努力は不要となる。しかも、このような疾患の新生児期のマス・スクリーニングが札幌市では可能となった。本症例の新生児期に採取した濾紙血を用いてタンデムマス解析をした頃同様の結果が得られた。タンデムマスを新生児スクリーニングに用いることは、早期診断に基づく診療計画が立てられること、家族歴のある家系については発症前診断をかのうにするもので、遺伝医学的診療においても意義深いものがある。


*1天使病院小児科 *2北海道大学小児科―小川式パッシブサンプラーを用いて―

 市販乾麺における非意図的そばタンパク混入について(ELISAによる測定)

第42回全国衛生化学技術協議会年会
2005年11月 東京都
扇谷 陽子,坪井 弘,大川 一美、藤田 晃三


市販食品における食物アレルゲン物質の非意図的混入の把握を目的として、アレルゲンとしてそば、食品として乾麺を選択し、そばタンパク質量の調査を実施した。その結果、そば製品と製造の施設・設備を共有することが表記された乾麺の27%から、通知で陽性の判断基準とされている10μg/g以上のそばタンパク質を検出した。

 クロルフルアズロン等7農薬の一斉分析法適用の検討

第42回全国衛生化学技術協議会年会
2005年11月 東京都
鈴木 恵子,坪井 弘,大川 一美,藤田 晃三

クロルフルアズロン等7農薬について、当所による系統別分析法の適用が可能であるか検討したところ、GPCを使用せずミニカラムのみで精製を行うことにより、短時間で分析可能であった。また、添加回収試験結果も良好であった。

札幌市における湿性沈着の動向―黄砂の影響について―

第31回全環研北海道・東北支部環境研研究連絡会議
2005年10月 札幌市
惠花孝昭,立野英嗣,五十嵐正次,井上邦雄, 藤田晃三


降水のpHは春先に上昇する傾向がみられ、nss-SO42-とNO3-の両沈着量から求めた計算H+沈着量と実測H+沈着量を用い、黄砂の塩基成分によって中和されたH+沈着量の減少率を検討した。地域由来塩基成分で補正したH+沈着量をもとに2002年3月で99%、4月で94%、2003年4月で79%、2004年3月で99%、4月で97%程度と推定された。

著書等

藤田晃三
解説;小児感染症に伴う発疹の特徴と鑑別
山口恵三編集:専門医を目指すケース・メソッド・アプローチ,12,感染症,第4版
(分担執筆)
日本医事新報社,東京 発刊2006年2月15日,p402-411

 

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