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更新日:2016年6月3日

札幌市衛生研究所-調査研究(2003)

 札幌市における神経芽細胞腫スクリーニング結果(2002年度)(PDF:45KB)

札幌市で実施している神経芽細胞腫スクリーニングにおいて、2002年度には、生後6か月を対象にしたスクリーニングで5人(総発見例数71例)、生後1歳2か月児のスクリーニングで4人(総発見例数26例)の神経芽細胞腫患児を発見した。発見頻度は、それぞれ、4,528人に1人と5,382人に1人になった。(31-34ページ)


 新生児マス・スクリーニングで疑われ乳児早期に遺伝子診断されたシトリン欠損症の1例(PDF:67KB)

シトリン欠損症は新生児マス・スクリーニング検査においてガラクトース、メチオニン、フェニルアラニンなどの高値を契機に見出しうる遺伝性疾患の一つである。患児は、新生児マス・スクリーニング初回検査でフェニルアラニン高値を示し、同じ検体を用いた21種のアミノ酸分析でシトルリン高値を示したことから本疾患が強く疑われた。その後綿密に経過観察が行われ、低蛋白血症や凝固因子低下を認めたものの適切に治療された。患児は生後54日目の遺伝子検査によりシトリン欠損症と確定診断された。本症例において、新生時期から生後1歳3カ月まで、血中アミノ酸値とガラクトース値の変動を観察できた。(35-40ページ)


 ろ紙血によるシトリン欠損症遺伝子診断(PDF:100KB)

成人発症2型シトルリン血症(シトリン欠損症)は、新生児マス・スクリーニング検査でガラクトース血症、血中メチオニン、フェニルアラニンなどの高値を契機に発見されることが多いが、スクリーニングで異常が判明した時点で他の疾患と区別することは困難である。本症例の中には乳幼児期から肝不全を来たす例があり、シトリン欠損症を念頭に置いたろ紙血によるスクリーニングは重要性を増すものと考えられる。今回、ろ紙血検体を用いて同病責任遺伝子SLC25A13の主要な病因変異を検索する方法について検討した。主にPCR-restriction fragment-length polymorphism法を用い、本症の90%以上を占める7変異遺伝子を簡便に検出する方法を開発した。(41-46ページ)


 結核菌の制限酵素多型分類:第三報;3年半の分析結果(PDF:71KB)

平成11年3月~平成14年12月までに市内の医療機関2施設において結核患者から分離された結核菌株272株についてRestriction fragment length polymorphism、制限酵素断片長多型解析を行った。
クラスター分析の結果、類似度90%以上のクラスター数は47種類、146株(53.7%)であり、そのうち類似度100%のクラスター数は29種類、73株(26.8%)であった。
類似度90%以上の146株について保健所の疫学調査結果とすり合わせ検討したところ集団感染が疑われた事例及び家族内感染例では6事例13株が類似度100%であり、それぞれ同じ型の結核菌による感染であることが確認された。
本解析においては、患者の同意を得て検体の提供を受けているが、同意が得られた割合は52.6%と低いことから、感染源を特定するために十分な調査を行うことは難しかった。しかし、本解析の目的は結核の蔓延防止であり、培養陽性者の全菌株を検査することに意義があると考えられる。そのため、現在行っている患者の同意を得ることの必要性について整理する必要があると考えられた。また、早期に十分な疫学情報を得るとともに、RFLP検査を迅速に実施できるように検討することが必要と考えられた。(47-52ページ)


 2002年12月~2003年6月の札幌市におけるノロウイルス遺伝子のプライマー別検出成績 (PDF:76KB)

2002年12月から2003年6月までに札幌市で発生した食中毒等の事例において採取された糞便材料102検体および嘔吐物4検体について、Open reading frame (ORF)1とORF2のジャンクション領域に設定されたプライマー(COG1R/FおよびCOG2R/F)を含めて4種類のプライマーを用いてノロウイルスの検査を行い、各プライマーの検出率を比較検討した。ウイルス遺伝子が検出されたのは58検体で、G1が2検体、G2が54検体、G1とG2が同時に検出されたものが2検体であった。多数を占めたG2についてみると、従来より使用されているNV81月82日・SM82およびP1/P3プライマーの検出率はそれぞれ31.5%および55.6%であったのに対し、G2に特異的な新しいプライマー(COG2R/F)はすべての陽性検体を検出することができ、非常に有用なプライマーと考えられる。(53-59ページ)


 1990~2002年度の札幌市におけるアデノウイルス分離状況と血清型(PDF:106KB)

札幌市において1990年4月から2002年3月までに感染症発生動向調査事業で小児科及び眼科定点から搬送された8,410検体から分離されたアデノウイルスの検出状況について解析した。分離されたアデノウイルスは1,770株で、小児科定点からが619株(35.0%)、眼科定点からが1,151株(65.0%)であった。
血清型別では3型、4型、37型、19型、8型の順に多く、小児科定点からは3型が、眼科定点からは4、8、19、37型が多く分離された。本市における血清型別の分離状況は、眼科検体が分離されたアデノウイルスの6割以上を占めていることを反映して、全国の状況と異なった傾向を示した。
また、疾患別ではC群の1、2、5、6型は気道疾患、B群の11、34型及びD群の8、19、37型は眼疾患から分離された。B群の3、7型、E群の4型はいずれの疾患からも分離されたが、3型は気道疾患、4型は眼疾患から多く分離され、疾患と亜群及び血清型との間には明瞭な関連性が認められた。(60-69ページ)


 エトキシキン検査法の簡略化(PDF:27KB)

エトキシキンは、りんご、なしの焼け病防止剤として使用される農薬である。当所では、おもに農薬の系統分析法を用いた収去検査を行っているが、エトキシキンは系統分析法では分析できない。また、公定法では、回収率がかなり低い。
そこで、最新農薬の残留分析法を参考に回収率が72.2~90.7%と良好な簡略法を開発した。(70-72ページ)


 札幌市における湿性沈着量の動向について(PDF:153KB)

札幌市では降水中のpH、電気伝導率、SO42-等の陰イオン、Ca2+等の陽イオンの各種イオン濃度を把握するため、平成元年度から3地点で酸性雨モニタリングを実施して多くのデータを得ている。今回、平成14年度までの年度別、季節別データをもとにH+沈着量、推定H+沈着量、NO3-/非海塩由来(nss)-SO42-とNH4+/nss-Ca2+の当量濃度比等を用いて、湿性沈着の動向を検討したので報告する。
年間のH+沈着量は芸術の森(南区)では14~43mmol/m2、衛生研究所(白石区)では8.6~19mmol/m2、中央(中央区)では2.8~15mmol/m2の範囲にあった。NO3-とnss-SO42-から計算した推定H+沈着量は芸術の森では41~81mmol/m2、衛研では41~68mmol/m2、中央では63~115mmol/m2の範囲にあり、中央が芸術の森より上回っているが、実測のH+沈着量は中央が下回っており、この結果から市内でも地域によりH+の中和に要する塩基成分量が異なっていることが示唆された。
NO3-/nss-SO42-当量濃度比は増加傾向にあり、燃料の硫黄含有率の低減化や自動車排ガスの増加により、降水中の酸性化成分としての窒素酸化物の寄与が大きくなったと考えられる。また、主な塩基成分にはCaCO3とNH3があり、NH4+/nss-Ca2+の当量濃度比も増加傾向にあった。モニタリング当初は車粉から起因したと思われるCa2+の寄与が大きく、次第に自動車排ガス由来と思われるNH3の寄与が大きくなったと考えられ、今後も車粉の減少や自動車排ガスの増加により、NH3の寄与がさらに大きくなると予想される。(73-78ページ)


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