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更新日:2016年6月3日

札幌市衛生研究所-調査研究(2000)

札幌市における新しい神経芽細胞腫スクリーニングデータ処理システムと1999年度スクリーニング結果(PDF:225KB)

近年、神経芽細胞腫スクリーニングでは、検査精度の面から尿中VMA、HVAと同時にクレアチニン(CRE)をHPLCで測定するシステムの有用性が確認されている。今年度、このシステムの導入にあたり、測定項目の濃度からCRE補正値を計算し、結果の判定、検査台帳等のデータ管理および内部精度管理を行う、新しいデータ処理システムを開発した。このシステムの導入により、1検体の測定ごとの判定がパソコン画面上で可能になり、また、種々の内部精度管理パラメータの表示により、より精度の高い検査が可能となった。
また、1999年度には、生後6か月スクリーニングで新たに6例、14か月スクリーニングで1例の患児を発見し、患児の合計はそれぞれ、61例、16例となった。(27-31ページ

札幌市における先天性代謝異常症ハイリスク・スクリーニング結果(1996~1999年度)(PDF:82KB)

札幌市では、痙攣や意識障害などの臨床症状により先天性代謝異常症が疑われた児を対象としたハイリスク・スクリーニング検査を実施している。1996年4月から2000年3月までの4年間の受検者数は、スクリーニング開始から6年間の受検者数の約2.8倍にあたる1040人で、15名に何らかの代謝異常症を示す診断結果が得られた。本スクリーニングは、診断が困難な患児の早期発見、早期治療にむすびつけるための検査として、その必要性は非常に高い。(32-37ページ

簡易遺伝子解析法を用いた21-水酸化酵素欠損症の遺伝子診断
~タイとペルーの患者におけるCYP21B遺伝子の解析~(PDF:409KB)

21-水酸化酵素欠損症と診断されたタイ人患者27家系とペルー人患者30家系について、PCR法をベースとした簡易遺伝子解析法による遺伝子診断を行った。その結果、タイの21家系(77.8%)、ペルーの21家系(70%)で病因alleleが同定された。それぞれ19家系(70.4%)と15家系(50%)で遺伝子型が確定し、ほとんどの例で遺伝子型と病型はよく一致していた。変異の特徴として、タイは同定された40allele中でnt656G変異が24(60%)、ペルーでは36allele中でdeletionまたはconversionが17(47.2%)と高頻度を示した。両国の患者の変異パターンは異なり、報告されている他の人種とも異なることから、CYP21B遺伝子の起源と進化過程は人種間で大きく異なることが確認された。(38-45ページ

ウィルソン病患者における責任遺伝子ATP7Bの解析(PDF:123KB)

全国各地でウィルソン病のマススクリーニングがパイロットスタディとして実施されているが、発見例は臨床症状に乏しく病型診断が難しい。このことから、私たちは同病マススクリーニング発見例の確定診断法として、責任遺伝子ATP7Bを直接塩基配列解析する方法を検討してきた。これまでウィルソン病患者58家系を解析した結果、50家系において確定診断がなされ、本法の有用性が確認された。(46-51ページ

結核菌の制限酵素多型分類:第一報;方法の検討(PDF:103KB)

私たちは、結核菌のRFLP(Restriction fragment length polymorphism;制限酵素断片長多型)分析法の改良を試みた。
PCRによるプローブについては245bp増幅産物をアガロースゲルから切り出してジゴキシゲニン標識した後、検出反応を行ったところ発色強度及び感度とも良好であった。RFLPについてはDNAを制限酵素消化後にフェノールを用いて制限酵素を完全に失活することにより蛍光シグナルが増強した。また、酵素標識したDNA断片の検出に、アルカリホスファターゼ活性検出用蛍光基質3-Hydroxy-N-2'-biphenyl-2-naphthalenecarboxamide phosphate ester(HNPP)を用いることにより、良好な蛍光発色が得られ、簡便にDNA断片を検出することができた。
札幌市内の医療機関2施設より提供された結核患者からの分離菌株について、この方法でRFLP分析したところ、数本のバンドを有する多型性が認められ、蛍光基質HNPPの有用性が確認された。(52-56ページ

イチゴにおけるキャプタン、エンドスルファンプロチオホス及びクレソキシムメチルの消長について(PDF:87KB)

キャプタン、エンドスルファン、プロチホス、及びクレソキシムメチルを検出したイチゴを用いて、水洗い、食塩水洗い、加熱による消長を検討した。また同時に、測定方法、定量方法が結果の平均値とばらつきの大きさに与える影響を検討した。使用したイチゴは同一ロットのもの2箱(以下箱A、Bとする)であったが、キャプタンとクレソキシムメチル濃度が高いイチゴが入った箱と、エンドスルファンとプロチオホス濃度が高いイチゴの入った箱がある事が判明した。各処理による濃度変化は、エンドスルファンについては少なかったが、プロチオホスでは約3割、キャプタンでは約8割の減少が見られた。クレソキシムメチルは、水洗い、食塩水洗いでは約半分に減少したが、加熱により約 8割増加した。(57-64ページ

新築住宅における室内空気中のアルデヒド類・ケトン類の濃度変化について(PDF:300KB)

室内空気中のホルムアルデヒドの試料採取は2,4-DNPH捕集管を用いて行うが、この方法では他の低級アルデヒド類・ケトン類も同時に捕集される。今回、新築戸建建住宅におけるホルムアルデヒドの入居直前及び入居後10日目の濃度調査を行う機会が得られたので、この調査と併せて米国の Enviromental Protection Agency : Compendiumof Methods for the Determination of Toxic Organic Compounds in Ambient Air TO-5/TO-11に示されているアルデヒド類・ケトン類濃度についても調査を行った。この結果、ホルムアルデヒドはすべての調査試料から検出された。ジュウタンを敷いたフローリング床の居間では入居直前と入居後10日目に大きな較差が認められなかったのに対し、ジュウタンを敷かない洋間では入居後10日目には入居直前の約60%に減少していた。一方、入居直前、入居後10日目とも採取時間帯による較差は認められなかった。また、大気試料と異なり、家屋内ではその他のアルデヒド類・ケトン類として、プロピオアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、バレルアルデヒド、ヘキサアルデヒド等が検出された。その総量は居間、洋間とも入居後10日目には入居直前の約50%に減少していた。(65-70ページ

札幌市における大気曝露金属板等の腐食量について(PDF:87KB)

著者らは1997年6月から、環境庁地球環境計画の一環である「酸性雨による材料への影響を尺度とした環境影響評価手法の開発に関する研究」のフィールド曝露試験に参加している。今回は特に札幌で実施した曝露試験データを基に、主に屋内外における設置条件の違いによる銅の腐食増量率と腐食減量率の季節変化や銅と炭素鋼の屋内外における経年変化、年間の侵食度について検討した。
その結果、屋内外で銅の腐食増量率と腐食減量率に季節変化がみられ、特に、腐食減量率が大きかった季節は6月から8月の夏季で0.31%であり、12月から2月の冬季が最も少なく0.12%程度であった。また、屋内の腐食減量率は屋外の40%前後であった。銅、炭素鋼の屋外2年曝露での腐食減量率は、銅は0.71%、炭素鋼で4.1%程度に達した。屋内では、銅が0.31%、炭素鋼が2.1%程度であり、銅、炭素鋼とも長期間曝露では直線的に腐食減量率が増加する傾向がみられた。屋外の銅は1年を境にして減量速度が変化したが、曝露当初は保護膜となる腐食生成物が十分生成保持されないため、急速に腐食が進み、腐食減量率が年間にして0.6%程度に達したものと考えられる。年間の侵食度は1年を超える曝露期間では、銅が屋内外で0.2μm前後、炭素鋼が屋外で15μm、屋内で10μm程度に相当する腐食が生じたと思われる。(71-75ページ

札幌市内河川中の内分泌撹乱化学物質調査(PDF:599KB)

札幌市内の主要河川の水質・底質における内分泌撹乱化学物質の調査を実施し、各物質について分析方法を検討した。調査した13物質のうち水質から6物質、底質から9物質が検出されたが、検出レベルは、各物質とも環境庁全国調査と同じ傾向を示した。フタル酸エステル類などブランク値が高い物質について、分析操作、器具洗浄方法を検討し低減化を図ったが、一部ブランク値が高く定量下限値を下げられなかった物質があった。(76-85ページ

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札幌市保健福祉局衛生研究所保健科学課

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