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更新日:2016年6月14日

札幌市衛生研究所-調査研究(1999)

札幌市における神経芽細胞腫スクリーニング結果(1998年度(PDF:177KB)

札幌市で行っている生後6か月児を対象にした神経芽細胞腫スクリーニングにより、1998年度には新たに5人の患児を発見した。また、生後1歳2か月児を対象にしたスクリーニングでは新たに1人の患児を発見した。発見例のうち3例の尿中VMA、HVA値は極めて高値を示したため、再検査を経ずに精密検査となった。今年度の発見例6例のうち1例において、染色体異常、Trk-A遺伝子低発現が認められたが他の例の予後因子は予後良好を示唆するものであった。発見例は合計で生後6か月スクリーニングが55例、1歳2か月スクリーニングで15例となった。(31-34ページ)

乾燥濾紙血液による妊婦抗HIV抗体スクリーニングの検討(PDF:89KB)

妊婦を対象とした乾燥濾紙血液による抗HIV抗体マス・スクリーニングの有用性を検討した。乾燥濾紙血液による検査は血清による検査とよい相関を示し、再現性・保存安定性とも良好であった。2年半にわたるのべ31,257人のスクリーニングの結果、疑陽性が2例あったが確認検査では陰性であった。このような陽性率の低い状況では、妊婦全員を対象にするよりも検査が必要と思われる妊婦のみを対象とした検査が有用と考えられた。(35-38ページ)

札幌市内の妊婦の年代別シラカバ、ハウスダスト特異的IgE抗体の保有率について(PDF:63KB)

札幌市内の産科婦人科医療機関で妊婦甲状腺機能検査を希望した妊娠前期の16歳から45歳の妊婦を対象に、シラカバ、ハウスダスト特異的IgE抗体濃度と総IgE抗体濃度を測定し、年代別の統計調査を行った。その結果、ハウスダスト特異的IgE抗体陽性率は20歳代前半まで30%前後の高値であったのに対し、26歳以上の年代は比較的低い10%前後の陽性率を示した。一方、シラカバ特異的IgE抗体の陽性率は6.7-11.7%と各年代層にほぼ一定した割合で認められた。また、ハウスダスト特異的IgE抗体陽性例の総IgE抗体濃度は高値を示すものが多いのに対し、シラカバ特異的IgE抗体が陽性を示した人の総IgE抗体濃度は低値から高値にまで幅広い値を示した。(39-42ページ)

ネフェロメトリーによるウィルソン病マス・スクリーニング(PDF:68KB)

札幌市では新生児乾燥濾紙血液からセルロプラスミンを溶出し酵素免疫法を用いて測定することにより、ウィルソン病のマス・スクリーニングを行ってきた。今回、ネフェロメトリー法による測定を検討した結果、精度、迅速性に優れており、本法により1999年の7月から9月の間に市内で出生した新生児2,746人のスクリーニングを実施した。この間、ウィルソン病患者は発見できなかったが、本法は低濃度のセルロプラスミンの測定に有効であり、マス・スクリーニングに十分応用できるものと考えられた。(43-46ページ)

札幌市で分離されたアデノウイルス19および37型の制限酵素切断によるゲノムタイプの解析(PDF:346KB)

1992年1月から1999年3月までに札幌市における感染症発生動向調査眼科5定点からの検体から分離されたアデノウイルス19型(以下Ad-19と略す)および37型について、DNAを抽出して7種類の制限酵素切断パターンによるゲノムタイプの解析を行った。供試したAd-19分離株は3種類のゲノムタイプに分類された。1994年までの分離株は過去に報告されているAd-19aと同じゲノムタイプ、1996年以降に分離された株はAd-19aと比較してEcoR IおよびSma Iの切断パターンが異なるタイプ、1997年に分離された1株はさらにXho Iの切断パターンが異なるタイプであった。Ad-37分離株についても3種類のゲノムタイプに細分された。1993年の2株はAd-37プロトタイプと同じゲノムタイプ、1993年以降に分離された株については、Ad-37プロトタイプとEcoR Iの切断パターンが異なるタイプとEcoR IおよびXho Iの切断パターンが異なるタイプに分類された。(47-53ページ)

室内空気中のアルデヒド類・ケトン類濃度(第1報)(PDF:218KB)

札幌市では平成10年度から市内の一般住宅における室内空気中に含まれる各種化学物質の調査を行っている。このうち、ホルムアルデヒドの試料採取は2,4-DNPH捕集管を用いて行うが、この際他のアルデヒド類・ケトン類も同時に捕集される。そこで、ホルムアルデヒドの濃度調査と併せて、 EPA (Enviromental Protection Agency: アメリカ合衆国環境保護庁 Compendiumof Methods for the Determination of Toxic Organic Compounds in Ambient Air)TO-11及IP-6に示されているアルデヒド類・ケトン類濃度についても調査を行った。この結果、ホルムアルデヒドはすべての調査対象施設から検出され、その濃度は32.0~230μg/m3の範囲であった。また、その濃度は中古住宅より新築住宅の方が高い濃度を示す傾向が見られた。室内空気中のホルムアルデヒドは、建築時に用いられた建築材、内装材あるいは接着剤、塗料などから発生するものが大部分を占めていることが示唆された。また、室内空気は大気と異なり、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、イソバレルアルデヒドなどが検出され、その総量は57.8~581.8μg/m3の範囲であった。(54-58ページ)

札幌市における融雪期の水素イオンと他のイオンの挙動について(PDF:194KB)

積雪中には、水素イオン(H+)をはじめとする各種イオンが蓄積されている。融雪期になるとH+などのイオン類は流出し、特に、H+によって土壌、湖沼などのpHが一時的に低下するアシッドショック現象が生じることがあると言われている。
すでに、札幌の融雪時における積雪中のH+の挙動について検討を加えるため、1997年、1998年の2月中旬から3月末まで芸術の森公園で調査を行い、H+の流出量は3月中旬の第5週目以降の2週間で、湿性降下物の週平均H+沈着量の約4倍から5倍の流出量があることを報告している。
今回は、1999年のデータも含めた3年間のデータを基にH+の他、硫酸イオンなどの陰イオン類とカルシウムイオンなどの陽イオン類について1週間の流出量、H+と各イオンの流出パターンの比較、1999年におけるのH+と素湿性降下物の週平均H+沈着量の比較を行った。
その結果、水素イオンと幾つかのイオンは流出量に相関があったが、硫酸イオンと硝酸イオンの流出量ほど強い相関ではなかった。また、カルシウムイオンとアンモニウムイオンの流出量とは相関がみられなかった。1999年の調査期間における水素イオンの流出は、前年度と前々年度に比べ2月に暖かい日が多かったので、2月最初の調査の週から認められた。週平均H+沈着量も3月の中旬以降で最大2.3倍程度と低めであった。(59-63ページ)

飲用に使用する給湯水水質について(PDF:174KB)

ビル等で飲用に使用されている給湯水のトリハロメタン、金属類について実態調査を実施した。給湯水THMは、給湯温度が高いほど高濃度であり、貯湯槽から湯を循環させ使用する中央式給湯水は、家庭用の瞬間式給湯水に比べTHM濃度が増加した。また、給湯配管や貯湯槽材料に由来する亜鉛、銅が検出され、配管内での滞留のため開栓直後の湯では高濃度に検出された。(64-69ページ)

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札幌市保健福祉局衛生研究所保健科学課

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