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更新日:2016年6月14日

札幌市衛生研究所-調査研究(1992)

札幌市におけるShigella sonneiによる集団赤痢の発生について(PDF:121KB)

1991年12月、市内厚別区の私立幼稚園(園児210名、職員13名)の園児を中心に集団赤痢が発生した。保健所から検便の受診者482名、延べ970検体の検査依頼があり、うち10検体からShigella Sonnei1相が検出された。本事例による真性患者は15名であった。(59-61ページ)

札幌市における健康人からの病原大腸菌の検出について(PDF:223KB)

健康人613名を対象に病原大腸菌の保菌状況を調査した結果、直接分離培養では24名(検出率3.9%)から病原大腸菌を検出した。230名に対してEC培地による増菌培養も併用したところ、検出率は15.2%と4倍になった。分離した52株中1株がLTを産生した。(62-64ページ)

札幌市における液卵の細菌汚染状況および非加熱菓子中の添加サルモネラの増殖態度について(PDF:266KB)

鶏卵によるサルモネラ食中毒を予防するために、札幌市における流通末端の液卵及び卵製品等の細菌検査を行った。その結果、液卵はその種類、製造及び保存方法の違いにより細菌汚染の程度が異なり、液卵8検体からサルモネラを検出(検出率7.3%)した。さらに液卵におけるコアグラ-ゼ7型の黄色ブドウ球菌検出率が6.4%と高く、液卵加工品とブドウ球菌食中毒の関連性が示唆された。
次に液卵の汚染とサルモネラ食中毒発生との関連を把握する目的で、原材料の汚染が特に製品に反映されやすい非加熱菓子(ティラミス)を調整し、各温度におけるサルモネラ添加実験を行った。その結果、20℃以上の温度では増殖速度が早くなり、このことから液卵中のサルモネラ汚染菌量が多ければ短時間で食中毒発症菌量に達することが明らかとなった。(65-70ページ)

1991~1992年の札幌市におけるインフルエンザの流行について(PDF:99KB)

札幌市における今季のインフルエンザの流行は昨年同様例年より遅く、1991年2月に入ってからであった。Aソ連型ウイルスが流行の主流となり、短期間に終焉した。3月に入りA香港型が少ないながら分離された。この傾向は全国的に同様で流行規模は比較的小さかった。(71-73ページ)

札幌市内で発生した急性胃腸炎患者から検出された小球形ウイルス(SRSV)について(PDF:475KB)

1989年10月から1992年1月の間に札幌市内で発生した3例の非細菌性の急性胃腸炎についてウイルス学的検索を試みた。3事例とも喫食調査の結果カキは含まれておらず、また、感染経路を明らかにすることができなかった。患者糞便を用いた電顕観察によりA事例では9名中3名、B事例では7名中3名、C事例では3名中2名からSRSVを検出した。患者ペア血清の得られたA,B事例では検出したSRSVに対する有意な抗体の上昇が確認された。(74-78ページ)73KB)

ウイルソン病マス・スクリーニングの基礎的検討(PDF:230KB)

ウイルソン病を早期に発見するためのスクリーニング法として濾紙血液中のセルロプラスチン(CP)を高感度に測定するELISA法を開発した。本法は低濃度域まで再現性良く測定できた。出生後からのCPの経時的変化を調べたところ、新生児期から経時的に増大し、生後6ヶ月頃で一定となった。
ウイルソン病の患者15例のセルロプラスチン値は11例が2mg/dl以下、2例が3~5mg/dl、2例が10~15例mg/dlであり、成人期の正常値と比較していずれも低値であった。
新生児4~7日におけるCPの分布は8,351例で13.5±3.8mg/dl、患者15例では3.1±4.4mg/dlであり、カットオフ値を5.0mg/mlとすると、患者80%以上は低値となり、また偽陽性率も0.35%と低値で、新生児期のスクリーニングが可能であると思われた。(79-85ページ)

有機酸代謝異常症のハイリスク・スクリーニング結果(2)(PDF:274KB)

我々は臨床的に有機酸代謝異常症が疑われたハイリスク児を対象に2カラムキャピラリーガスクロマトグラフィ(GC)を用いて尿中有機酸代謝物を測定するスクリーニングシステムを導入し、パイロットスタディを行ってきた。最近1年間、61例に対するスクリーニングにより、高乳酸血症2例及びメチルマロン酸血症1例が新たに発見され、有機酸代謝異常症の発生頻度の高さが改めて認識された。このうち、メチルマロン酸血症については臨床デ-タからは有機酸代謝異常症を強く疑うことは困難であり、積極的なスクリーニングによってはじめて検出が可能であった。しかしながら最終的にこれら患児はいずれも救命できず、本スクリーニングにより、患児の早期発見・早期診断は可能なものの、現時点では治療面において問題が残されている。(86-92ページ)

PCR法によるミトコンドリアDNA点異変の検出-乾燥濾紙血液および尿沈査を用いるMELAS/MERRFのハイリスク・スクリーニング(PDF:253KB)

乾燥濾紙血液(濾紙血)および尿沈渣を試料としてミトコンドリア脳筋症;MELAS(Mitochondrial Myopathy、Encephalopathy、Lactic Acidosis and Stroke-like-Episodes)およびMERRF(Myoclomus Epilepsy and Ragged-Red Fibers)におけるミトコンドリアDNA(mtDNA)の点変異をPCR(Polymerase Chain Reaction)-制限酵素処理により検出する方法を検討した。DNAの抽出は濾紙血は有機溶媒による血色素固定-ボイル処理で十分であったが、尿沈渣はプテイナーゼK処理/フェノール抽出を必要とした。MELAS患者3例およびMERRF患者1例の変異mtDNAは濾紙血(63-83%)および尿沈渣(82-94%)といずれの試料においても検出可能であった。(93-96ページ)

妊婦前期一過性高FT4血症とパセドウ病の検査値の比較(PDF:140KB)

妊婦甲状腺機能スクリーニングにおいて検出される妊婦前期一過性高FT4血症(Gestational Transient Hyperthyroxinemia、以下GTHと略)とパセドウ病の鑑別のため、FT4、TSH、hCG、TBGの妊婦週数別の比較を行い、指標としての有用性について検討した。
両疾患群ではFT4値は3.0ng/dl以上と以上高値、TSHは0.1μU/ml以下に抑制されている。しかし、hCGはGTH群で高値を示し、TGBはパセドウ病で低値傾向を示した。さらに抗甲状腺抗体の陽性率はパセドウ病で高く、抗体価も高い傾向にあった。以上によりGTHとパセドウ病の鑑別にはFT4とTSHに加え、hCG、TBG、抗甲状腺抗体を測定することが有用であると考えられる。(97-101ページ)

自動VMA/HVA分析計(HLC-726VMA)による尿中VMA,HVA測定の基礎的検討について(PDF:120KB)

神経芽細胞腫スクリ-ニング用に開発されたVMA、HVAの全自動分析計(HLC-726VMA、以下HLC)を用い、尿ろ紙中のVMA、HVAを測定し、現行のHPLC法と比較した結果、HLCはろ紙尿溶出液をセットするだけでVMA,HVA定量とともに、クレアチ二ンも同様に測定でき、さらに結果の判定まで約15分であったことから、本症スクリーニングの測定システムとして極めて有用であることが確認された。(102-105ページ)

札幌市における神経芽細胞種スクリーニング結果(1991年度)(PDF:105KB)

札幌市における神経芽細胞腫スクリーニングにおいて、1991年度から、生後6ヶ月児とともに1歳2ヶ月を対象にした再スクリーニングを試行的に開始した。生後6ヶ月のスクリーニングではあらたに6例の患児を発見したが、1歳2ヶ月児10,848人のスクリーニングでは患児の発見はなかった。(106-108ページ)

新生児期IgEとアレルギ―発症との関連(PDF:197KB)

小児のアレルギー発症を新生児の血清Total IgE(IgE)をもとに予知、予防することを目的として昨年度から検討を進めている。すでに基礎的検討として化学発光免疫測定法による高感度の乾燥濾紙血液中IgE測定法を確立していることは当誌前号にて報告した。今回531例の新生児について新生児期IgE測定及びアレルギー家族歴、そのうち189例については生後1ヶ月でのIgEの調査結果を得た。また生後6カ月に達した時点でアレルギー発症についてアンケートによる追跡調査を行い、217例から回答が得られた。これらの結果、アレルギー発症群では新生児期及び生後1カ月IgEが対象群に比して高値であり、アレルギー家族歴とも有意な関係が認められた。(109-114ページ)

2-ヒドロキシベンズアルデヒドアジンを用いたヒドロキシルアミン、ヒドラジンの検出法について(PDF:143KB)

地下水中からヒドロキシルアミン、ヒドラジンを検出することを最終目的にその分析方法の検討を試みた。アミン類の試料からの抽出は固相のセップパックC18とアクセルプラスCMを用いた。蛍光誘導体化試薬としての2-ヒドロキシベンズアルデヒドアジンは2-ヒドロキシベンズアルデヒドと硫酸ヒドラジンから合成した。アミン類単独及び混合液のSynergistic effectの定量は2-ヒドロキシベンズアルデヒドヒドラジンを用い、示差動力学的方法により定量することができた。
アミン類混合液の5回の平均偏差(%)は約±1.5%の精度であった。(115-119ページ)

HPLCを用いた清涼飲料中のサッカリン、ソルビン酸、安息香酸、パラオキシ安息香酸エステル類の同時定量について(PDF:157KB)

輸入清涼飲料の中には国内では使用が禁止されているソルビン酸の使用例が報告されており、同一の前処理で同時に多項目の食品添加物を定量できる分析法が望まれる。
サッカリン、ソルビン酸、安息香酸、パラオキシ安息香酸エステル類の同時定量はHPLCによって可能であるが、グラジェント法やイオンペア法が使われている。より簡便な条件(ODS系カラム、均一な移動相、イオン抑制法、一波長UV検出器、分析時間が30分以内)の分析法を検討した結果、カラムにTSK-gel ODS-80TM、移動相にMeCN-THF:i-BuOH:水:リン酸(27:13:2:58:0.02)を用いると同時に定量が可能となることが判った。各添加物とも濃度1ug/gは十分に検出でき、添加回収率も90.6%~102%と良好であった。(120-123ペ-ジ)

輸入食品中の放射能検査結果について(平成元年度~平成3年度)(PDF:99KB)

札幌市では平成元年8月から輸入食品中の放射能検査を開始しており、平成3年度までに218検体の検査を行った。全検体の内、スパゲッティ、ハ-ブ茶等21検体から放射性セシウム(137Cs+134Cs)が検出された。しかし、厚生省の定めた暫定限度(137Csと134Csの合計値が370Bq/Kg)を超えたものはなかった。(124-126ペ-ジ)

樹木浄化能力調査(PDF:184KB)

札幌市の街路樹として植栽されている主要な樹木について葉中の無機水溶性のS分濃度を中心に蒸散速度、光合成速度等を測定し、樹種別の大気浄化能力の優劣を調査した。
その結果、イタヤカエデ、プラタナス、ナナカマド、シラカバ、ライラックが大気浄化能力の大きい樹種と推定された。(127-131ペ-ジ)

循環水路による河川水浄化実験(第3報)(PDF:190KB)

生物膜を付着させた循環水路を使用して、生物膜による水質の浄化実験を行い、一部はすでに報告したが、今回さらに人工河川水を用いて生物膜と除去効果の関係について定量的な分析を行った結果、前回同様すぐれた浄化効果が得られた。そこで生物膜及び気象条件と各水質成分の除去率との関係を明らかにするために重回帰分析をを試みたところNO3-N+NO2-Nに関して有意な回帰式が得られ、特にクロロフィルa量及び従属栄養細菌数との間の相関が比較的高い結果であった。(132-136ペ-ジ)

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札幌市保健福祉局衛生研究所保健科学課

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