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更新日:2016年6月14日

札幌市衛生研究所-調査研究(1991)

食品、調理従事者等からの病原大腸菌の検索(PDF:207KB)

病原大腸菌の汚染実態を把握するために食品、調理従事者、施設環境等を対象に、直接分離培養に加えてEC培地による44.5℃、24時間の増菌培養を行い菌検索を試みた。その結果、食品原材料190検体中8検体、調理従事者30検体中6検体から病原大腸菌を検出し、本菌食中毒の予防には食品原材料及び調理後の食品の衛生的取扱いに引きつづき細心の注意が必要であるということが確認された。(41-45ページ)

ヒト及び河川からのウエルシュ菌の検出と分離菌のエンテロトキシン産生性(PDF:123KB)

札幌市におけるウエルシュ菌の分布を知るため、ヒトふん便及び河川水中のウエルシュ菌を調査した。その結果、ヒトふん便検体からの検出率は50.3%(398検体中200検体)、河川水ではほとんどの検体から検出され(検出率98.1%)、その最確数は7.3~14,000以上/100mlであった、分離した菌株のエンテロトキシン産生率は3.0%であったが、河川水由来株ではその率は高く、7.5%であった。また、ヒトふん便及び河川水から分離したエンテロトキシン産生菌株20株中12株はHobbs型別不能であり、型別された菌株の血清型は4型と5型に偏った。(46-48ページ)

1990-1991年の札幌市におけるインフルエンザの流行について(PDF:107KB)

札幌市における今季のインフルエンザの流行は例年になく遅く、1990年にはインフルエンザウイルスは分離されず、1991年2月になってA香港型ウイルスが分離された。インフルエンザ調査内科定点からはA香港型に混じって、少ないながらB型、Aソ連型も分離されたが、感染症サーベーランス小児科定点からはB型、Aソ連型は分離されなかった。全国的にも1990年にはA香港型が少数分離されたのみで、1991年になってA香港型を主流にB型、Aソ連型も分離されたが、流行規模は比較的に小さく、全国の調査対象施設における総患者数は昨年の107万人に対して53万人とほぼ半数であった。(49-51ページ)

パーソナルコンピューターによる新生児クレチン症、先天性副腎過形成症及び妊婦甲状腺機能異常症マススクリーニングのためのデータ処理システム(PDF:292KB)

札幌市のマススクリーニングは新生児クレチン症、新生児先天性副腎過形成症、妊婦甲状腺機能異常症と発展を続け、業務量が著しく増大してきた。その結果、マススクリーニングを円滑に実施するためには濃度計算、精度管理等のデ-タ処理を正確且つ迅速に行うことが要求され,コンピューターによるシステム化が必須となった。そこで我々は業務を調査、分析し、パーソナルコンピューターによってデータ処理を管理する新しいシステムを構築した。本システムは検査担当者の操作によって、検量線による濃度計算、精度管理図の監視による分析系の安定性と再現性の評価、データの蓄積、統計処理等を行うことができる。この結果、データ処理業務を円滑に運用することが可能となった。本システムにより、現在、我々は年間約20,000人の新生児と約5,000人の妊婦にについて検査を行い、患者の早期発見に努めている。以上のことから、本システムは新生児クレチン症、先天性副腎過形成症及び妊婦甲状腺機能異常症マススクリーニングのデータ処理に有用であると考える。(52-59ページ)

時間分解蛍光測定法による濾紙血液FT4測定の検討(PDF:137KB)

先天性甲状腺機能低下症マススクリーニングにおける遊離型甲状腺ホルモン(FT4)の測定を時間分解蛍光測定法により可能かどうか検討を行った。本法はラジオアイソトープを用いず、迅速に再現性よく測定でき、従来のRIAともよい相関を示した。また、各種疾患におけるFT4値は良好な測定値となったが、RIA、ELISAなどの他の測定系と同様にTBG欠損症において低値を示した。(60-63ページ)

羊水のステロイド分析による21-水酸化酵素欠損症の同胞例の出生前診断(PDF:101KB)

21-水酸化酵素欠損症の同胞例の出生前診断を目的として、妊娠16~20週の羊水上清を用いて、4例のHPLCによるステロイドホルモンの一斉分析を行った。4例のうち1例は16週の羊水で17-OHP 4.0ng/ml、Δ4-AD2.2ng/ml、21-DOF3.6ng/mlといずれも高値で、出生後の所見から単純性男性化型21-水酸化酵素欠損症と診断された。残りの3例は羊水ステロイドホルモンレベルは正常であり、出生時にも異常が認められなかった。羊水を用いるHPLCによるステロイドホルモンの分析は21-水酸化酵素欠損症の出生前診断に有用であった。(64-66ページ)

生後14か月の幼児を対象にした神経芽細胞種のパイロットスクリーニング(PDF:131KB)

1991年4月から、生後14ヵ月(1歳2ヵ月)の幼児を対象にした神経芽細胞腫のパイロットスクリーニングを開始した。生後14ヵ月児の尿中VMA、HVAのクレアチ二ン補正値は6ヵ月児に比べ低値を示し、このため、14カ月児のスクリーニングのカットオフ値はVMA 12ug/mg cre、HVA 26ug/mg creに設定した。1991年8月までに4,058人の検査を行い、2例が医療機関での精密検査となったが異常は認められなかった。(67-70ページ)

神経芽細胞種スクリーニングに及ぼす食事の影響について(第1報)-くだもの摂取調査と尿中HVA、5-HIAA値について(PDF:411KB)

スクリーニングで偽陽性となった検体について、その尿中HVA、5-HIAA値と食事調査の結果からバナナ、リンゴ、柑橘類等のくだものの摂取による尿中HVA値の上昇が強く示唆され、スクリーニングの判定において、食事、特にくだものの影響を考慮する必要があり、再採尿の取扱い時に注意すべきである。(71-74ページ))

有機酸代謝異常症のハイリスクスクリーニング結果(1)(PDF:231KB)

医療機関にて筋緊張低下、ケイレン、嘔吐などの臨床症状から有機酸代謝異常症が疑われたハイリスク児53例につき、2カラムキャピラリーガスクロマトグラフィーによる尿中有機酸代謝物測定によるスクリーニングを行った。その結果、先天性高乳酸血症2例、グルタル酸尿症2例目(同胞例)フルクトースジフォスファターゼ欠損症1例および非ケトーシス型ジカルボン酸尿症1例の合計6例の患児が発見された。(75-80ページ)

尿中オロット酸のマイクロアッセイ:オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症アロプリノール負荷試験への応用(PDF:526KB)

オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症の診断上重要な尿中オロット酸について、臭素化後、p-ジメチルアミノベンズアルデヒド(DABA)による発色を測定する試験官レベルの原法を改良し、マイクロプレートリーダーを用いる、簡便かつ多数検体処理が可能なマイクロアッセイを開発した。また、実際に4例のOTC欠損症患児へのアロプリノール負荷試験への応用を行った結果、新生児期より治療管理されていた1例を除き、著名なオロット酸の排泄増加が認められ、有用な診断法であることが確認された。(81-85ページ)(PDF:524Kバイト)

Immunonephelometry及びImmunoturbidimetryよる乾燥濾紙血液のApolipoprotein-Al及びApolipoprotein-B測定方法の検討(PDF:269KB)

家族性高コレステロール血症(以下FHと略)スクリーニングへ応用するため、Immunonephelometrv(以下N法と略)及びImmunoturbidimetry(以下T法と略)により乾燥濾紙血液(以下DBSと略)中のApoliopoprotein(以下Apoと略)-AI、Apo-Bを測定する方法を検討した。のいずれも相関係数が0.87-0.96と良好であった。N法・T法の両法とも測定時間が短く、再現性に優れ、血清測定法との相関もApo-AIとApo-Bのいずれも相関係数が0.87-0.96と良好であった。25℃で1週間保存した場合の安定性はApo-AIは両法とも10%以内の減少であったが、Apo-BはN法で10%の増加、T法で40%減少した。37℃ではさらにこの傾向が著しかった。従って検体の取扱いには十分注意を要する。測定感度は両法ともApo-AI・Apo-Bは15mg/dlまでの測定が可能であり、新生児検体でも十分測定でき、高値検体も希釈による測定が可能であった。また、生後5-7日の新生児の平均値±S.DはN法のApo-AIで85.6±22.1mg/dl、Apo-Bで52.5±19.2mg/dl、T法のApo-AIで96.7±19.6mg/dl、Apo-Bで44.8±8.2mg/dlとこれまでの報告とよく一致した。以上の点からN法はFHスクリーニングとして有用といえる。T法についてはN法以上に検体の運搬・保管の際の温度について留意することによりスクリーニングに使用できる。(86-93ページ)

化学発光免疫測定法による新生児乾燥濾紙血液中のTotal IgEの測定-その基礎的検討と応用(PDF:205KB)

小児アレルギー疾患(アトピー疾患)を発症前に予防することを目的とし、その基礎的検討として乾燥濾紙血液中のTotal IgE(IgE)の測定を化学発光免疫法により検討し、新生児期のIgE測定に有用な方法を確立した。
健常児の100例のIgEは新生児期0.35IU/mlから生後1ヵ月で0.95IU/mlと有意に上昇し、r=0.5745の相関を示した。現在までのフィールドテストの結果で新生児期IgE値と両親のアレルギー歴との間の有意な関係は認められていない。(94-99ページ)

地下水中のリン系農薬の分析-その1 アセフェートの分析-(PDF:106KB)

水に対する溶解度が非常に高く、溶媒抽出が困難な地下水中のアセフェートについて分析法の検討を行った。試料にジクロロメタンを加えて振とう後水層が消失するま無水硫酸ナトリウムを加えて完全に脱水を行い、ジクロロメタン層にアセフェートを移行させた。ついでジクロロメタン層を分散し、濃縮乾固後、アセトンに溶解して試験溶液とし、ガスクロマトグラフを用いて定量を行った。その結果、検量線の直線性、再現性、添加回収率とも良好であったことから、地下水中のアセフェートの定量に十分適用できた。(100-103ページ)
 

地下水中のリン系農薬の分析-その2 アセフェートを含む多成分同時分析-(PDF:171KB)

地下水中のりん系農薬13種類をキャピラリーGCを用いて同時分析する方法を検討した。無水硫酸ナトリウムで脱水しながら農薬を水槽から溶媒層に移行させる抽出法を用いることにより、通常の溶媒抽出でほとんど回収されないアセフェートはほぼ100%回収された。他の12種の農薬についても良好な回収率が得られた。また、中極性のキャピラリーカラムを用いることにより、13種の農薬の分離が良好であり、簡便に多成分同時分析ができた。(104-108ページ)

市販ミニカ-トリッジを用いた農薬分析の前処理について(第2報)-色素の多い試料のクリーンナップについて-(PDF:165KB)

前報において「セップパックカートリッジカラムを用いた農薬分析の前処理について」を報告したが、色素の多い試料についてはクリーンアップが不十分になるという問題点が残った。
今回、この点の解決のため、セップパックプラスフロリジルを2個直列に連結したカラムで色素除去のための前処理を行い、さらに活性炭カラム、セップパックフロリジルにより、クリーンナップを行う方法を検討した。実試料としてほうれんそう、カボチャ、メロン、トマトを使い、添加回収試験を行ったところ、68.0%~105.3%の回収率となり、クロマトグラム上も特に妨害物質の影響は見られなかった。
今回の検討により色素の多い試料についてもクリ-ンナップが出来ることとなった。(109-114ページ)

穀類及び果実中のピペロニルブトキシドの分析について(PDF:334KB)

ODSカラムと蛍光検出器を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるピペロニルブトキシド(PB)の分析法を検討した。80%エタノールを移動相として用いたとき、保持時間は95分で励起、蛍光の極大波長はそれぞれ290nm、325nmであった。
PBをn-ヘキサンで抽出し、n-ヘキサンを用いてSep-Pak Sillicaに負荷したあと、n-ヘキサンジエチルエーテル(7時03分)混液を用いて溶出した。この方法の回収率は62%-98%で、従来行われていたフロリジルカラムクロマトグラフィーとほぼ同様のクリ-ンナップ効果があった。(115-118ページ)

マリネリ容器に充填した試料の量と放射能値に関する考察-試料の高さに関して-(PDF:187KB)

マリネリ容器に充填した試料の高さと、測定される放射能値との関係について考察を行った。対象各種は137Cs、40Kの2核種、測定試料は4種類である。その結果、試料の高さはγ-線計数率とは正の相関を、放射能濃度とは負の相関を持っていた。また、試料の高さとピ-ク効率との関係においては放射能濃度の高い試料では種類によらずほぼ一致したパタ-ンを持っていることが分かった。(119-124ページ)

マリネリ容器表面の放射性核種の残留について(PDF:141KB)

食品中134Cs、137Csの放射能検査に用いるマリネリ容器は洗浄し、再び用いている。放射能濃度の高い試料ではマリネリ容器の洗浄後の放射性核種の残留が懸念される。そこで天然放射性核種の40Kを含む塩化カリウム水溶液(最高濃度20%、40Kの放射能濃度として3,000Bq/Kg)5検体、食品の各種試料9検体を用いて食品の性状や放射能濃度の違いによる残留性について検討を行った。
洗浄後のマリネリ容器の40Kのγ線の計数率(一秒間当りのカウント数cps)バックグラウンドの計数率とを比較した結果、マリネリ容器中の40Kの残留は認められなかった。セシウム元素はカリウム元素と同じアルカリ金属に属しているので134Cs、137Csについても同様の結果が期待できる。(125-128ページ)

GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)装置による食品中の残留農薬分析法について-有機塩素系農薬への応用-(PDF:267KB)

残留農薬分析の試料精製法として従来の吸着型クロマトグラフィー等とは原理の異なる分子サイズの差を利用したGPCによる精製法を有機塩素系農薬として検討した。
GPCにおける有機塩素系農薬と色素等定量妨害物質との分離の状況をUV検出器を用いて検討したところ、それぞれの溶出位置は異なり妨害物質は分離除去されることが確認された。さらに色素含量に多い野菜等を用いてGPC処理を行い、GC分析に供したところ、妨害なく測定が可能であり試料精製手段として十分実用可能であった。
GPCは再生操作なしで連続使用が可能であることから液体クロマトグラフィー装置、オートフラクションコレクター等を組み合わせる事により、操作が自動化され従来法に比べ分析時間が大幅に短縮された。さらにGPCは有機塩素系以外農薬にも応用が可能なことから多種類の農薬の試料精製を同時一斉に行うことが可能となり、残留農薬分析の大幅な省力化が期待できる。(129-135ページ)

札幌市における大気中の低沸点有機塩素化合物濃度について(PDF:593KB)

トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の低沸点有機塩素化合物について、札幌市内の事業所の敷地境界及び一般環境中の濃度を調査した。この結果、機械部品工場及び金属メッキ工場ではトリクロエチレン、ドライクリ-ニング工場ではテトラクロロエチレン、印刷工場の一部では1,1,1-トリクロロエタンが高い濃度を示すという特徴が認められたが、一般環境中の濃度はいずれも低い値を示した。また、それぞれの事業所の濃度の間には大きな較差が認められた。(136-140ページ)

札幌市おける酸性雨及び酸性雪調査(第3報)-市内地域別酸性雨調査について-(PDF:595KB)

酸性雨による環境破壊は地域的な観点からも重要な問題とされてきている。これまでの調査から札幌市内の降雨雪の化学的性状は地域差を示すことが判ってきた。このことから、市内の降雨のpH、イオン成分の地域分布を把握するため、11月の一降雨について市内43地点を対象に酸性雨調査を実施した。
その結果、全市的なpHは市街中心部を最高として北が高く南が低い傾向を示した。また、高い低PH雨水が数地点で局地的に出現した。そして、低PH雨水は非海塩由来のSO42-、高pH雨水は非海塩由来のCa2+がイオンバランス的に過多を示した。(141-160ページ)


 ゴルフ場における雪腐れ防除剤の挙動(PDF:138KB)

札幌市内のゴルフ場で雪腐れ防除剤として使用されている有機銅について排水・芝・土壌・池底質での挙動を調べた。激しい降雨による環境中への流出が確認された。(161-164ページ) 

流出モデルにおける降水による雪腐れ防除剤の挙動(PDF:150KB)

近年、ゴルフ場で使用されている農薬による環境汚染が問題になっている。本研究では雪腐れ防除剤(有機銅)について降雨による傾斜のついた芝地からの表面流出を調べるためモデル実験を行った。その結果、有機銅の流出は散布後降雨までの経過時間が長いほど少なく、芝地の傾斜角が大きいほど多かった。(165-168ページ)(PDF:150KB)

電子顕微鏡による札幌市小児下痢症の小型球形ウイルス等の検出と染色方法[全](PDF:1,766KB)

分割ダウンロード:[1](PDF:166KB)[2](PDF:902KB) [3](PDF:707KB)

札幌医科大学小児科が平成元年11月から2年11月までに市内の医療機関で下痢を主訴に受診した0歳から13歳までの小児から集められた糞便のうち、ロタウイルス陰性の308検体について電子顕微鏡により小型球ウイルスなどの形態学的同定検査を行った。
その結果、ウイルスの検出率は30.8%でその内訳はオトフケ様因子41.7%、カリシウイルス9.7%、アストロウイルス9.7%、エンテロ様ウイルス7.8%、アデノウイルス18.4%及びその他粒子12.6%であった。
小児下痢症患者の臨床症状として発熱、下痢、嘔吐の内ウイルス検出者とくにオトフケ様因子に嘔吐症状を呈するものが有意に多かった。ファ-ジの検出者にはウイルスの検出又は発熱症状を呈する率が有意に高かった。又、ウイルス検出方法につき、2~3の検討を加えた。(169-183ページ)

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札幌市保健福祉局衛生研究所保健科学課

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