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更新日:2019年10月25日

令和元年度第11回定例市長記者会見記録

日時

2019年10月21日(月曜日)14時00分~15時18分

場所 記者会見室
記者数

24人

市長から下記の話題について発表しました。

配布資料

引き続き、次の話題について質疑が行われました。

動画(内容は下記「発表内容」「質疑応答」で、文字掲載しています。)

発表内容

令和元年台風第19号による被災地への支援について 

 発表項目に入ります前に、このたびの台風19号によりまして、お亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。

 札幌市では、この災害を受け、直ちに消防局航空隊を派遣いたしまして、被災地での救助活動を行ったほか、現在、先遣隊による情報収集や保健師などによる被災者の健康管理支援を行っております。あさって(10月23日)からは、り災証明の調査のために、新たに職員を派遣するところであります。

 また、被災者支援として、厚別区の市営住宅の提供を決定いたしましたほか、令和元年台風第19号災害義援金につきまして、市役所本庁舎や各区役所などにおいて、来年(2020年)3月31日まで受け付けを行っております。報道機関の皆さまには、周知方、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

 札幌市では、9月から、順次、「洪水ハザードマップ」の全戸配布を行っております。いつ発生するか分からない自然災害に備えるため、お住まいの地域の浸水想定や避難場所を確認されるなど、市民の皆さまには、いま一度、ご家族や地域の方々とともに、日ごろの備えについて話し合っていただきたいと考えております。

「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」案の策定について 

 それでは、本日(10月21日)は、札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019の計画案を取りまとめましたので、その概要をご説明させていただきます。

 お手元にお配りしております概要版に沿って説明をさせていただきます。

 まず、1ページをご覧ください。

 ここでは、今回の計画の概要や主なポイントなどをまとめております。

 まず、計画期間でありますが、2019年度から2022年度までの4年間としております。現計画の「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015」は、2015年度から2019年度までの5年間でございました。今回の計画は、この上位計画であります「札幌まちづくり戦略ビジョン」が2022年度までとなっておりますので、その終期に合わせまして、2022年度までの4年間といたしました。

 なお、2023年度は札幌市長選挙のある年でございます。この年は骨格予算の編成となりますけれども、その参考とするために、2023年度の事業費を参考掲載しているところであります。

 計画の主なポイントをご説明する前に、2ページの中ほどにございます4番目の「札幌市を取り巻く状況」をご覧ください。

 資料左側のグラフにありますとおり、札幌市の人口は間もなく減少に転じて、すでに減少傾向にある生産年齢人口はさらに減る見込みであり、その後、高齢化率は4割を超える見通しであります。また、資料右側のグラフにありますとおり、札幌市の公共施設は、政令指定都市に移行した1970年代に集中的に整備されており、全体の6割以上を占める築30年以上の施設の更新時期が今後一斉に到来することになっております。

 今回の計画は、このような厳しい時代を迎えても、私たちの街・札幌が持続可能な形で発展を続けていけるよう、中長期の将来を見据えて策定したところであります。

 1ページ目にお戻りいただきまして、主なポイントをご説明させていただきます。

 ポイントの1点目は、超高齢社会・人口減少を踏まえた市民の多様な暮らしを支える取り組みに力点を置いたところであります。

 2点目として、街の魅力と活力をさらに高めるため、都市のリニューアルを引き続き推進していきます。

 3点目といたしましては、持続可能な開発目標であるSDGsの視点を初めて取り入れまして、これを踏まえた計画作りをしたところであります。

 4点目は、街の強靭(きょうじん)化や魅力の向上に必要となる建設事業費について、これは前プランに引き続き、毎年度1000億円の規模を確保したところであります。

 さらに、5点目として、市民サービスの高度化に向けた不断の市役所改革に取り組む行政運営の推進、そして、6点目として、長期的な視点に立ったバランス重視の財政運営として、計画期間の4年間にとどまらず、今後15年間を見据えた財政見通しの下に計画を策定いたしました。

 この結果、3の計画事業費にありますように、計画事業費は1兆254億円となりまして、現計画から約23%の減ということになりますが、これは、5年と4年という(計画期間の)違いがございます。参考掲載をしております2023年度分を含めますと、5年間の事業費は1兆3125億円となりまして、現計画の1兆3257億円と同規模と考えております。

 再び、2ページをご覧いただきたいと思います。

 このページに記載しております1から5までの項目と、次の3ページの6の項目までは、これまでご説明した内容やアクションプラン2015の評価などを詳しく説明しておりますので、後ほどご覧いただきたいと思います。

 次に、3ページの7の項目であります「基本方針と重点プロジェクト」についてでありますが、これは、私が6月に表明いたしました施政方針に掲げる2つの「未来のさっぽろ」の実現に向けて、図中の①から⑥で示した施政方針に掲げる6つのまちづくりを踏まえて、今後、特に力を入れて取り組む事柄を5つの重点プロジェクトとして位置付けしたところであります。また、これらの重点プロジェクトを持続可能な形で進めていけるよう、行財政運営の取り組みを進めてまいります。

 4ページの上段にございます計画事業費の表をご覧いただきたいと思います。

 今回の計画事業総数は613事業、総事業費は1兆254億円となりました。また、資料の中ほどに記載しておりますように、今回は、既存の「未来へつなぐ笑顔のまちづくり推進事業」とは別に、各区の地域性や特色を生かした区事業を個別に計画化しているところであります。

 6ページをご覧いただきたいと思います。

 このページ以降では、まちづくりの取り組みにおける主な事業を戦略ビジョンに掲げる創造戦略であります「暮らし・コミュニティ」「産業・活力」「低炭素社会・エネルギー転換」「戦略を支える都市空間」の4分野ごとに取り上げております。

 まず、暮らし・コミュニティでありますけれども、住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりを目指して、いわゆる「老老介護」や「8050問題」といった福祉に関する複合的な課題に対応するために、基幹型地域包括支援センターを全区役所に整備することで、地域包括ケア体制を拡充してまいります。

 また、重度障がいにより長時間の介護を要する方に対するヘルパーの介護時間を拡大いたします。

 このほか、健康寿命延伸の取り組みを全区で展開するとともに、いわゆる住宅の貸し渋りの解消に向けた住宅確保支援も実施してまいります。

 次に、6ページの中段やや下をご覧いただきたいと思います。

 子どもが健やかに育つ環境づくりを目指して、医療的なケアを要するお子さんの支援体制を整備するために、公立保育所や小・中学校、児童クラブに看護師を配置いたします。

 また、児童虐待への迅速かつ適切な対応に向けて、第二児童相談所整備に着手するほか、各区保健センターに母子保健相談員を配置するなど、相談支援体制を強化してまいります。

 このほか、子ども医療費助成の対象を小学6年生まで拡大するほか、奨学金の支給決定者数の年間200名増を実施いたします。

 また、次の7ページに記載のとおり、私立保育所等の整備による保育定員の拡大や、保育人材の確保に引き続き取り組んでまいります。

 7ページの中段をご覧ください。

 産業・活力の分野ですが、現下の課題であります若者の道外への転出超過などに対応していくために、新社会人の経済的な負担となっている奨学金の返還を支援することにより、若者が地元に就職し、定着できる取り組みを推進します。

 また、介護や障がい、保育や建設、IT産業など人手不足が顕著となっている分野の人材確保・育成対策を進めてまいります。

 このほか、若者の雇用創出、地元定着を目指したスタートアップ創出支援や企業誘致等に関する補助を拡充し、オフィスビル建設に対する補助を創設いたします。

 8ページをご覧ください。

 札幌の基幹産業である観光業をさらに伸ばしていくため、スノーリゾートシティとしてのブランド化に取り組むとともに、新たなMICE施設の整備を進めてまいります。

 また、都市のリニューアルや交通網の整備に向け、北海道新幹線の札幌開業に伴う札幌駅周辺の再開発支援や、都心アクセス道路の早期整備を推進していくとともに、地下鉄南北線さっぽろ駅のホームを増設し、駅の混雑解消を図ってまいります。

 このほか、2度目の冬季オリンピック、初めてとなります冬季パラリンピックの招致に引き続き取り組んでまいります。

 次に、ページ中段に記載しております低炭素社会・エネルギー転換についてでありますが、民間事業者を活用した学校などの市有施設への太陽光発電設備の導入や、札幌版ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)のモデルを構築してまいります。

 戦略を支える都市空間については、札幌ドームの活用促進として、アマチュアスポーツ利用の推進や、多様な規模のコンサートなどを開催できるような機能拡充などに取り組んでまいります。

 また、硬式野球場の不足に対応するため、硬式野球場を整備するとともに、冬季オリパラ招致に関連して、月寒体育館や美香保体育館などの更新といったスポーツ施設の再配置・再整備を推進してまいります。

 この他の事業につきましては、後ほどご覧いただければと思います。

 恐縮ですが、再び4ページのほうにお戻りいただきまして、中段であります。

 次は、3-①「行政運営の取組」についてであります。資料右下にあります図と合わせてご覧ください。

 財源や人材が限られる中で、より質の高いサービスを将来世代にわたり提供していくために、「市民とともに歩む、市民に寄り添った行政運営」「不断の市役所改革に取り組む行政運営」および「他自治体との連携を深める行政運営」の3点を方針に掲げて行政運営を行ってまいります。

 これらの方針を実現していくために、地域課題解決ネットワークの充実など「市民・企業などとの協働」や、総合的な窓口利便性向上などの「市民サービスの高度化」、さらには、業務の見える化に基づく既存事業の見直しなどの「業務の効率化・生産性の向上」などに取り組んでまいります。

 5ページをご覧ください。

 ここでは、財政運営の取り組みについて記載しております。

 財政運営については、「メリハリの効いた財政運営」「持続可能な財政構造への転換」「将来世代に過度な負担を残さない健全な財政運営」の3つの方針を基に、具体的な取り組みを行ってまいります。

 取り組みの1つ目の「予算編成手法の改革」として、計画期間の事業費と財源を示した「中期財政フレーム」の策定と、局マネジメント機能の強化など、予算編成手法の改革を進めます。

 次に、2つ目でありますが、「歳入・歳出の改革」といたしまして、限られた財源の中で、本計画に位置付けられた事業に資源を配分するとともに、必要な行政サービスを持続的に提供していくため、歳入・歳出の全般にわたる見直しを進めてまいります。

 3つ目の「財政基盤の強化」といたしまして、自立的な行財政運営を実現するため、地方税財源の拡充や税源涵養(かんよう)の推進のほか、公有財産の戦略的な活用を進めてまいります。

 これらの財政効果といたしましては、333億円の効果額を見込んでおります。

 最後に、4つ目の「財政規律の堅持」でありますが、今後の社会経済情勢の変化等に備えて、可能な限り、市債の発行額の抑制等に努めて、将来に過度な負担を残さないよう、財政規律を堅持してまいります。

 また、基金につきましては、まちづくりの取り組みを進めるために活用していきますが、可能な限り活用額の抑制を図って、将来に引き継いでまいります。

 次に、ページの中段に中期財政フレームを掲載しております。今回の中期財政フレームは、今後15年程度の長期的な財政見通しの試算を行い、それも踏まえて策定しているところであります。長期の推計という性質上、精度の高い推計を行うということは困難でありますので、一定の仮定の下に試算したものであります。

 公共施設の更新期を迎えて、建設事業費やそれに伴う公債費の増により、一定の基金活用が必要となりますが、表の右下にお示ししておりますように、15年後の2033年度におきましても300億円程度の基金残高を維持できる見込みであります。

 必要な財政需要に対応しつつ、市債や基金の残高は適正な水準を保つことができる見通しでありまして、財政の健全性は維持できるものと認識しております。

 次に、長期の財政見通しの前提となっております今後50年間の建設事業費と建設債残高の見通しを説明するに当たりまして、こちらにフリップを用意してございますので、ご覧いただきたいと思います。

説明用フリップボード「公共施設の築年別整備状況」(JPG:201KB)

 まず、(公共施設の築年別整備状況のフリップを指して)公共施設の築年別の整備状況であります。これは、先ほどのお手元の資料のほうにもございますけれども、札幌市の公共施設は、1970年代から急激に整備を進めてまいりましたので、築30年以上を経過する施設が全体の6割を超えておりまして、今後一斉に更新期を迎えることになります。

 一方で、人口の減少局面ということを踏まえますと、今ある施設を同じ規模で更新をしていくということは不可能でありまして、集約化・複合化などによって、その人口規模に合わせた適正な規模にしていく必要がございます。そういう意味では、必要な機能は維持しつつも、人口規模に応じた総量抑制を図っていく公共施設マネジメントに取り組んでいかなければいけません。

説明用フリップボード「建設事業費の見通し」(JPG:213KB)

 (建設事業費の見通しのフリップを指して)こちらのフリップでありますが、これは建設事業費の見通しでございます。

 棒グラフが、5年ごとの建設事業費を示しております。例えば、コンクリートのものですと約50年で更新をするといいますか、耐用年数が決まっております。これに合わせて単純にその施設を建て替えるという場合には、グラフの点線でお示しをしていますけれども、いわゆる自然体といいますか、単純に積み上げた試算ということで、この(グラフの)上の部分になります。

 そして、先ほどの公共施設マネジメントの取り組みを例えば平準化していく、複合化をしていくことで総量を抑制していくということで、圧縮をすることで、今後50年間の建設事業費の平均は、単純積み上げの1400億円から、現状とほぼ同水準の1000億円ほどまで抑制できるということになります。

説明用フリップボード「建設債残高の見通し」(JPG:190KB)

 こういった建設事業の抑制を図って、(建設債残高の見通しのフリップを指して)次のフリップは、建設債残高の見通しであります。

 これは、単純積み上げでありますと、2037年度に過去のピークの約9200億円を大きく超えまして、約1兆3000億円に達する見込みになります。この一番上のピークであります。これを長期的な視点で、先ほどの公共施設マネジメントを行うことによって、そこから約5000億円下回る8200億円程度に抑制できる見通しでありまして、長期的な視点での街の持続性や将来世代の負担にもしっかりと配慮していこうというものであります。

 なお、お手元の参考資料のほうに、長期の財政見通し、あるいは、財政効果額を算定する過程で想定した個別の見直し項目などについて、一定の条件、仮定の下にはなりますが、それで積算をした一覧表を添付してございますので、公約に関連する主な事業一覧と併せましてご覧いただきたいと思います。

 最後になりますが、札幌は、2022年に市制施行100周年という節目を迎えます。この間、札幌は、1972年の冬季オリンピック札幌大会の開催を経て飛躍をし、今や197万人を擁する大都市に発展してまいりました。

 冒頭に申し上げたように、人口構造の変化やそれに伴う財政負担の増など、これからは厳しい時代を迎えてまいります。こういった将来を見据えながら、持続可能な札幌の将来を形づくっていく、そのためのこの計画案というのは、次の100年に向けての出発点となる重要なステップを踏み出すものと考えております。市民の皆さんと議論し、一緒によりよい計画としていきたいと思っております。

 10月末から約1カ月間、パブリックコメントをさせていただきますので、報道機関の皆さま方には、その周知方等、よろしくご協力をお願い申し上げたいと思います。

質疑応答

「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」案の策定について(1) 

読売新聞

 今回のアクションプラン、計画案についてなのですけれども、前回、アクションプラン2015では、女性と子どもと経済という3本柱を掲げていましたけれども、そういった意味で、今回の特徴というのはどういったところが挙げられますでしょうか。

市長

 そうですね、今回の特色としては、まずはやはり、超高齢社会を迎えるということになります。人口減少も踏まえて、持続可能なまちづくりを目指していくということでありますので、これは、女性や子どもだけではなくて、市民の多様な暮らしを支える取り組みということにまず力点を置きました。

 前プランの4年間では、女性の活躍を応援する、あるいは、子育てに力を入れ、これはもう引き続き継続してまいりますけれども、前プランでは取り組めていなかった超高齢社会への取り組み、特に、地域包括ケア体制の拡充でありますとか、健康寿命延伸の取り組み、それから、医療的ケアを必要とする子どもへの支援、こういったものも挙げたところであります。

 そういう意味では、市民の多様な暮らしを支えるということで、幅広く生活を支える取り組みに力点を置いたというのがまず1点であります。

 それから、もう一つは、前プランでも掲げておりますが、都市のリニューアルということでありまして、札幌駅の交流拠点整備などの都心部の再開発を進めていくとともに、冬季オリンピック・パラリンピックの招致の推進など、今の札幌、これからの札幌・北海道の魅力を高めていく、活力を続けていく、そういう取り組みというものを盛り込みました。

 それから、こういった取り組みの実効性を担保するために、中期の財政フレームを設定してございます。これも前プランでも設定してございましたけれども、特に、今回は、先ほどお話し申し上げましたように、これから、例えば、オリンピック・パラリンピックに向けての施設整備でありますとか、清掃工場の改築などを迎えてまいります。そういう意味での大規模事業というのが2030年ぐらいに向けて進んでいきますので、こういった大規模事業の財政への影響というものがどうか、将来負担にならないのかということを確認するために、15年間の中長期的な財政見通し、これは大まかな検証を行ったところであります。

 それから、2030年の国連の開発目標でありますSDGsの視点を取り入れて、SDGsから見た取り組みの整理、これらをこの計画の中でしたということであります。

読売新聞

 市長選の公約、あと、施政方針のところで、「女性がさらに輝き活躍する街」というものを取り上げていましたけれども、今回の計画では女性という言葉が失われていて、若干、そこでメッセージ性が弱くなってしまうのではないかということも考えられるのですけれども、その点について改めて伺わせてください。

市長

 先ほども申しましたように、女性がさらに輝く街ということは、これは施政方針の中でもうたっております。計画の整理として、これは女性・子どもということだけではなくて、全ての市民の活躍を応援していきましょうということで取り組みまして、まちづくりということを設定したところであります。

 当然のことながら、ワーク・ライフ・バランスであるとか、女性の働きやすい環境づくり、これは引き続き取り組んでいくつもりでおります。

読売新聞

 今回、中長期の財政の見通しをお示しいただきまして、先ほどフリップで建設債残高などについてご説明いたしました。

 一方で、その試算では、物価変動ですとか国の制度改正も経ていないという試算の下で行っているところですけれども、近年では、例えば、除雪予算が非常に、人件費の高騰で200億円を超えるなど、どんどん人件費が上がっています。

 また、今後、2030年の冬季オリパラが招致された場合、そこに向けて建設ラッシュが予想されて、人件費が高まるということ、これは東京五輪のほうでもあったと思うのですけれども、そういう物価変動によって、先ほど示された市の借金というものは膨れ上がっていくんではないかという懸念は市民が持つかもしれないのですけれども、その点について、市長のお考えと、どう対応されていくのか、現時点での見通しがあれば伺わせてください。

市長

 現状でも、人件費などはここ数年、上昇しておりますし、建設費も高騰しております。こういった現状で今把握しているものについては、試算の中でも一定程度見込んでおります。

 当然のことながら、今後、経済情勢がどういうふうに変わっていくのかというのは完全には見込み切れませんので、そういったようなものについて、この計画の中でも長期的な大きな流れの中でこのぐらいの枠組みにはまりますよということになっておりますので、極端にそれが上振れをするということにはなっていかないだろうと思います。

 ただ、やはり、毎年毎年の歳入に応じて事業を見込んでいかなければいけませんので、これは、4年間の計画、あるいは、15年の想定ということになりますけれども、当然のことながら、毎年毎年の予算編成の中で、その年に見込まれる歳入の状況、こういったものに合わせて、事業の見直しといいますか、組み立てをしていくということになります。今回の試算では、大枠の流れを、こういうトレンドになるというか、右肩上がりにどんどん増えていくのではなくて、先ほどのフリップにもありましたように、一時的にはちょっと増えますけれども、将来的には少し落ち着いてくるということで、ピーク時においても、これまでのピークである市債残高まではいかず、人口も減ってきますので、1人当たりの負担も過去の負担よりは下に収まるということをお示ししたということであります。

「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」案の策定について(2) 

北海道新聞

 今後15年間で公共施設の更新がピークを迎えるということなのですけれども、あらためて、市長の思いといいますか、どんな考えで臨まれる決意かというところをお願いします。

市長

 先ほど、フリップでもお話ししましたように、1970年以降、政令指定都市になったりということで、そのころ、非常に人口が急増しておりましたので、学校など公共施設が増えています。それを単純に建て替えることになると、またもう一つの山が来てしまいますので、それを平準化して1年当たりの負担を落としていく、そして、これから人口規模に合わせてそういうものを見直していかなければいけないということで、一つは、そういうことを市民の皆さんに知っていただくメッセージとして今回試算をしました。

 ちょうど、今、体育施設なども含めてでありますけども、それから、新幹線の札幌延伸ですとか、この4年間、完成というよりは、2030年ぐらいに向けて想定をされているものというのは、清掃工場の建て替えなどもそうですけれども、そういう大きな事業のものが幾つかございますので、市民の皆さんからすると、この4年はいいけれども、では、その後、どうなるのだろうねということがあろうかと思います。

 そういう意味では、長期的には、先ほど言ったように、全体をできるだけ抑えていく工夫をしつつ、この10年間、2030年という一つの節目をくぐった状態で15年ほどの推計をしたということです。

 ですから、ある意味では、この15年の間に一つのピークが来ますが、その後、落ちていくということが想定されます。いろいろなことが出てくるのだけれども、こういう状況にありますよということを。事業がきちっとできるのだろうかということについて、一定程度の確実性といいますか、財源を含めてできますよということで試算を入れさせてもらったということです。

北海道新聞

 2030年というのは、もちろん、冬季オリパラ招致と新幹線札幌延伸ということでよろしいですね。

市長

 はい。

「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」案の策定について(3) 

HBC

 2つ目の児童相談所についてなのですけれども、現時点でどの場所にですとか、あと、職員の方は専門的な相談というような内容があったのですけれども、具体的にどういうような人繰りを考えられていますかというのがまず一つと、あと、またちょっと話は変わってしまうんですが、円山動物園の値上げについてなのですが、この値上げの詳細な理由と、あと、値上げ時期というのはいつごろを見通されているかということをお伺いしたいです。

市長

 まず、1点目の第二児相の関係であります。児相の執務室が非常に狭隘(きょうあい)化をしているということ、それから、一時保護の子どもたちの居場所、こういったものも狭隘(きょうあい)化をしておりますので、そういうことも含めて、今、児童相談の体制の強化プラン(第3次札幌市児童相談体制強化プラン)を検討して、これを策定する予定であります。

 今年(2019年)6月にありました児童虐待により子どもが亡くなるという事案もございまして、第三者による検証もされております。最終的には、こういった議論なども踏まえて、児童相談体制の強化というものを、強化プランを作っていくことになっています。その中で、例えば、児相の場所ですとか、そういったものを併せて議論をしていきたいと思っております。

 現時点では、このアクションプランの中では、2022年までに工事着手をしたいということをお示ししておりまして、必要な人員体制、こういったものなどについても、今申し上げました強化プランの中で整理をしていきたいと思っております。

 そのほかに、今回の計画の中では、児相の建設だけではなくて、各区の保健センターの母子保健相談員の配置ですとか、児童家庭相談室の体制など、中長期的に考えていかなければいけない事柄については、このアクションプランの中にも盛り込んだところであります。

 繰り返しになりますが、場所などについては、先ほどの強化プランの中で議論をしていきたいと思っております。

 それから、見直し案件で、円山動物園の(入園)料金の話がございました。

 これは、今回の見直し項目として挙げたもの、これは決定ということではなくて、こういう事柄について今後検討していかなければいけないということをお示しした内容であります。

 これまでも、4年ごとに、市民負担の在り方、公共料金などについては見直しの議論を進めてきております。そういう意味で、今、サービスを受けている市民とそうでない市民の公平・不公平感の問題ですとか、適正なサービスと負担をいただく料金の関係は、定期的に見直しをしております。

 そういう意味では、円山動物園については、今の年間パスポートについても、かなり長期間に料金を据え置いてきたところがあります。

 今、ホッキョクグマ館でありますとか、新しいゾウ舎というようなことで、新たな魅力も展開して、それは数十億(円)の投資もしてございます。そういった形の中で、市民負担として適正な規模はどうかということを議論したいということであります。

 ですから、今、それを決定したわけではありませんので、いつからというような形はこれからの議論ということになります。

「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」案の策定について(4) 

北海道新聞

 児童虐待の部分で、2022年度に着工となっていまして、児童虐待の分野で、母子保健も含めて結構いろいろな事業が盛り込まれている、かつ、区の強化というのが印象的だなというふうに見たのですけれども、特に重点的に割いた事業があれば、もしくは、そこの背景にあるお考え、まずは第二児相をつくってもちろん全てが解決ではないと思うのですが、まずは、区の強化にやりたいという思いがあるのかなと思ったのですが、考えをお願いします。

市長

 虐待を防いでいく、あるいは、子どもの命を守っていくということからすると、やはり、幅広にいろいろな体制をつくっていかなければいけないと。

 児童相談所の強化はもちろんなのですけれども、児童相談所だけではなくて、例えば、今回の事案でも、保健センターでもっと早くアプローチができていれば、防げたかもしれないとか、そういうことがあります。困難な状況を抱えている親子・子どもに対して、いかに早くその状況をいろいろな支援につなげていくのかということから考えますと、児童相談所というのは、かなり切羽詰まった状態になってまいりますので、その前の段階を、虐待に陥るようなことにならないようなサポートをどうしていくのかということもかなり重要なことなのではないかと思っています。

 このことは、おそらく検証委員会(札幌市子ども・子育て会議児童福祉部会「検証ワーキンググループ」)の中でも議論されてくると思いますが、そういう意味で、現状の区の体制、保健センターの体制ですとか、家庭児童相談体制についてもしっかり取り組んでいこうということを、このアクションプランの中に入れました。

 当然のことながら、具体的な人員の拡大とか、これから人員の確保というようなこともしていかなければいけませんので、これは検証委員会での検証というようなことも具体的に入れていく必要があるかなと思います。

 児相だけを強化すれば済むというふうには思っていないということであります。

「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」案の策定について(5) 

北海道新聞

 ちょっと答えにくいかもしれないのですが、2022年度に第二児相着工とありまして、着工したけれども、開設しないというのは一般的にないかなと思うのですけれども、その設置時期、開設時期について、一般的に着工してから学校でも開設するまでに2、3年ぐらいかかると。なので、2020年度に仮に着工できたとすれば、2024年度もしくは2025年度の開設がめどとして考えられるのかなと思うのですけれども、なるべく早めになのか分かりませんが、そこら辺があれば。

市長

 まず、2022年にというよりは、どちらかというと、遅くとも2022年までには着工するということで、今回の計画期間の中で着工をしたいということの目標値であります。

「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」案の策定について(6) 

北海道建設新聞

 先ほども出ていた長期推計の話なのですけれども、かなり、建設費の上振れがあるということで、それが平準化されたということなのですが、今回、それによって財政をある程度健全化されたという15年の長期にわたってということだったのですけれども、市長が今捉えていらっしゃる財政の健全化という考え方は、どのあたりに指標を置かれているか、教えていただいてもよろしいですか。

市長

 これから人口が減少していきますので、1人当たりの負担ですとか、そういったものについては、少なくとも過去のピークであった時期を超えてはやれないと思っています。

 どこに水準を置くのが適当なのかっていうのはなかなか難しい問題でありますし、これから人口の規模ですとか構成も、やはり、将来推計は将来推計としながら、実際はどういうふうになっていくのかということになりますので、一定程度は、市の予算の編成というのは、一般の家庭でも同じですけれども、1年間にどのぐらいの収入があって、それが赤字にならないようにどうしていくのかというのは基本だと思います。

 そういう意味では、例えば一般家庭でも住宅ローンを使って家を建てたり取得をしますけれども、そういったときに、その返済分も含めて1年間の収入に赤字にならないようにどうするかということを基本的に考えますよね。それと同じように、やはり、市の財政状況も、その将来負担、公共インフラというのは、その年だけ使うものではありませんので、30年、40年使っていく、その時の毎年の市債というものを発行して返済していきますけれども、その返済額も含めて、1年間の収入の中にきっちり収めていくということを考えたときに、それが収まる範囲を一定程度想定していかざるを得ないということです。

 ですから、将来設計する時も、歳入部分を確実に見込むというのはなかなか難しいのですけれども、この歳入部分も、一定程度、現状の歳入がある程度横ばい、少し上振れ状態になるということを想定しています。

 極端な話、経済不況みたいなものが起きて、税収もがたっと落ちてくるような状況になると、この計画を計画どおりやるというのは難しいわけでありまして、4年ぐらいのスパンで、その間、その歳入と歳出のバランスをもう少し詳細に単年度、単年度では見ていきます。今回は初めて15年のスパン、大きな施設建設もありますので、そのぐらいも見込みましょうということでありますが、最終的には単年度、単年度の予算の中で、ここに出ている金額あるいは事業ももう少しブラッシュアップをして、毎年の予算編成の中で行っていくということになろうかと思うのです。

「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」案の策定について(7) 

NHK

 札幌ドームの関係なのですけれども、今回のアクションプランの中で、まず活用促進事業を織り込みました。2023年の日ハムの移転も入る中で、今、ここで活用促進事業を入れる市長の思い、そして、2023年以降、札幌ドームをどうしていきたいかというところを教えていただけますでしょうか。

市長

 現状では、ファイターズさんが2023年に新しい球場の完成を目指して進められております。そういう意味では、札幌ドームの活用、野球の試合で使われていたところをどういうふうに埋めていくのかという中で、今回は、例えば、少し小規模なコンサートなどでもできるような形で、アリーナ・イン・アリーナといいますか、ドームの中に少し小さめのステージといいますか、そういうものを造っていくというようなことが、2023年以降の札幌ドームの収支を改善していくという一つの項目、こういったものについて今回盛り込んだということであります。

 ですから、まずは、その前提として、2023年に新しい球場ができるという前提の中で、それ以降の札幌ドームの収支をきちっとしていく事柄をプランの中に一部入れました。

「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」案の策定について(8) 

読売新聞

 今回のアクションプランの本編のほうでは、事業内容に合わせて、各事業ごとの目標も設定をされています。非常に細かい点で恐縮なのですけれども、例えばなのですが、90ページにあるアイヌ文化振興事業ですとかアイヌ関係でリフレッシュ事業というところです。それぞれ3億7100万円、1億3600万円という事業費を計上している中で、実際の目標指標が(アイヌ文化)交流センターの来館者数を5万5083人から6万人という、プラス5,000人も満たないという少ない量であったりですとか、ほかのところにも、ところどころ、目標値の設定が低いのではないかなと思うところが複数あるのですけれども、ここの設定の考え方と、こういう低いものは、特にここの部分、数億円かけた事業についてこの5,000人しか増やさないということについて、どのようにお考えでしょうか。

市長

 この目標値の中にも、ものによっては、かなり現実的な数字を捉えたというのもあるのかもしれず、目標値として本当にどうなのかというようなご意見もあろうかと思います。

 今後の議論の中で、その費用対効果という形で、そういう目標値の設定などについても、もっと高くしてはどうかというご意見もあろうかと思います。これは、素案ということでございますので、場合によっては、目標値の設定、あるいは、事業の中身も(検討していく)。先ほど言いましたように、今のプランでの想定の中でありますけれども、もっとこういうものを足したほうがいいとか、これはやめたほうがいいとかというご意見もいろいろあろうかと思いますので。

 今回の素案の策定によっていただいた議論を踏まえて、目標値の数値などについても、そういうご意見を取り入れてですね、最終的な計画案の中に入れていくということになろうかと思います。

「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」案の策定について(9) 

北海道新聞

 今回のプランの中に敬老パスの見直しを検討するというのが入っておりました。

 過去に、高齢者らの反発も招いて、上限を見直したという経緯があろうかと思いますけれども、今回、これにどう臨むのかという市長の方針をお伺いしたいと思います。

市長

 これは、先ほど申しましたように、いろいろな新しい事業などを進めていくということと、それから、全ての事業について、時代に合わせて、持続可能な体制にしていかなければいけないということで、これから議論をしていくということになります。敬老パスについても、一度見直しをしてご負担をいただくことになりましたが、その後、また上限などを見直して、いったんは下がってきたのですが、当然、高齢者の数は増えてきておりますので、当初見直した金額を間もなく超えてくる状況があります。これは、高齢者人口はどんどん増えていきますので、今の制度のままでいくと、いずれ、当初見直した状況の数字をはるかに超えていってしまうことが見込まれますので、そういう状況で、持続可能な制度にしていくためにはどうしたらいいのか、いま一度、議論していく。

 これは、除雪のパートナーシップの問題も同じような形であります。そういう意味で、先ほど公共料金の見直しの話をさせていただきましたけれども、適正な負担、あるいは、そのサービスの水準がどうあるべきかということについては、常に議論をしていかなければいけないと思っております。

 そういう意味では、今回、また問題提起させていただいた上で、さまざまなご意見を伺っていきたいと、このように思っています。

北海道新聞

 先ほど、人口構造の変化とか財政負担の増加などで今後厳しい時代を迎えるというふうに市長はおっしゃいました。

 ただ一方で、現時点で、各種財政指標なんかで政令市平均を上回っているという状況にありますけれども、そういう中で、市民に市民負担を求めるだとか、あるいは、こういった建設事業費を抑えるだとか、学校だったら統廃合とかそういったこともどんどん進んでいくのかなと思いますが、そういう状況下で、どう市民にその理解を求めるかというそのお気持ちというか、どう臨まれるかということをお伺いします。

市長

 現状では、他都市に比べて札幌市の財政状況は危機的な状況にあるわけではありません。ただ、いわゆる自主的に確保できる歳入は非常に少なくて、国の地方交付税などに依存をしているという体質は変わってきていないわけであります。

 今後、国の財政状況も考えていくと、やはり、そういう厳しい状況というのを想定しておかなければいけないわけであります。

 公共施設も、先ほど言いましたように、更新をしていく。これは、ゼロにはできないわけでありまして、いろいろな工夫をしていきながら抑えていく。そのときに、適正なサービス水準を上げていくということと、住民負担をどうするかということを、常にやはり市民とキャッチボールをしながら議論していかなければいけないのだろうと思います。

 ですから、いいことばかり言ってばら色な将来ということがあればいいですけれども、必ずしもそうではない。かといって、悲観をする必要もないし、将来的に投資をしていかなければならない部分もあって、やはり、一般の家庭でもそうですけれども、外からお金を稼いでいく、収入を上げていく工夫もしていかなければいけない。一方で、コストや負担の見直しということもあるわけで、これらは、やはり、街の主体は市民だと思います。

 ですから、行政に任せておけば何とかしてくれるとか、行政が何とかすべきだというのではなくて、市民自ら(考えるため)、いろいろな問題提起もしていきたいと思っていますし、一方で、悲観的な将来を私どもは提案するわけにはいきませんので、一定程度の、今の札幌の魅力なり、活力を維持していくためには、どうあるべきかということを、今回もやはり、プラスとマイナスについて提案をさせていただいて、市民と意見を交わしていきたい、議論していきたい、このように思っています。

「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」案の策定について(10) 

北海道新聞

 公共施設マネジメントの部分なのですが、区民センターとか学校、児童会館の配置の複合化といいますと、ある種、集約されて、市民にとっては、そこにあって当然のものが遠くなったり、少なくなったりするということにつながるかと思うので、場合によっては反発が起きる可能性もあるかと思うのですけれども、どのように市民理解を得ていくというふうにお考えですか。

市長

 皆さんの中では、総論的には分かるけれども、個別の議論になると、人の所はいいけれども、うちはやめてくれとか、必ずそういうふうになります。

 当然のことながら、そこは丁寧に議論していかなければいけないわけで、公共施設というのは、利用者がゼロな所はありません。必ず使っている方がいらっしゃいます。ただ、その維持をするための将来の負担を皆さんが市民として受け入れるのか、そこは一定程度合理的なところで我慢といいますか、納得できるのか、そういうお話をしていかなければいけないと思っています。

 総論賛成、各論反対ということは常に出てくるというふうに思っておりますので、その意味では、簡単に結論を出さず、個別の地域事情にもよりますので、それは丁寧に議論していかなければいけない。一日二日で解決する話ではありませんので、今回、15年スパンのようなものをお出ししたのは、ややもすると、例えば、再開発事業や新幹線の開業など、大きな事業を言っている形で、一方で市民負担を求めるのかという議論は必ず出てくると思います。それは、個別の事業で見ていくのではなくて、まず、総論としてこういう状況にありますよね、大きな事業をやる、なしにかかわらず、今ある建物をそのまま、ここがあるのがいいのだというふうになれば、それはもう皆さんの懐の中に収まる範囲ではありませんよということはご理解いただかなければいけないので、そこから時間をかけて丁寧に説明をしていく、あるいは、議論していくというために、一定の時間が必要だろうと思っています。

 ですから、この4年間で全て解決をしていくという事柄ばかりではなくて、今回初めて将来推計を出させていただいたのは、少し先の議論を今からしておかなければいけない、そのことを市民の皆さんにもご理解をいただきたい。ご理解というのは、そういう状況になっているということですね。

 これから、例えば、保育料、子育て、保育園の整備や、子育てというようなことについては、ますますお金が必要なものになってきますし、高齢者の数も増えていきますので、医療や介護という社会保障に関わる費用というのは間違いなく増えていきます。こうした中で、そういったサービスというのは、一度始めると、なかなか減らすことができないわけでありますので、増えるものを想定しながら、抑えるものをどうしていくのかということを議論していかないと、お金がたくさんあれば問題ないわけですけれども、そうはならないということを市民の皆さんともやっぱり議論していかなければいけない。

 では、個別の案件については、ここに書かれたことを全て強硬的にやるのかということではなくて、先ほど来申し上げましたように、しっかりと議論をしていかなければいけないだろうと思っております。

「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」案の策定について(11) 

北海道新聞

 円山動物園の料金の値上げについてお聞きしたいのですけれども、先ほど、長い間据え置いてきましたというふうにおっしゃっていて、本当に20年以上据え置いているのですけれども、なぜこの時期だったのかということと、あと、どういったふうに市民に理解を求めていくかということをお聞きしたいです。

市長

 この時期というのは、一つは、原則として4年に一度、公共料金等を見直してきているということは申し上げました。そして、ここ数年、円山動物園については、ホッキョクグマ館ですとか、アジアゾーン・アフリカゾーンですとか、新たな施設更新ということで、数十億円の投資をしてきました。そういったことからしたときに、今のサービス水準と受益者として負担をいただく料金が見合っているのかということを議論をさせていただく時期なのではないかと思っているところであります。

北海道新聞

 動物園の料金を値上げするということになると、動物園の入園料を定めた条例とかを改めるということが必要になると思うのですけれども、何月ごろにというスケジューリングというのはありますか。

市長

 これは、やるというふうに前提を決めているわけではありませんので、今、こういったことについてのお話、今のように、適正な水準は何かということについて議論を始めて、それでは、仮にいいということになれば、いつからということになっていくと。手順をきちんと踏んでいかなければいけないと思います。

国際オリンピック委員会による東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるマラソン・競歩競技の会場変更計画発表について(1) 

STV

 東京五輪のマラソンと競歩、こちらを札幌で開催できるような検討を進めている件ですが、いろいろ計測員の方とかのお話を聞くと、やっぱり、札幌ドームが想定されているようですが、ちょっと出入り口が狭いと。あと、コースの高低差の問題があるという話がありますが、市として、本当にやりますよということが決まった場合、どのようにそのような課題を改善していきたいのかをお願いします。

市長

 まずは、本当に急に出てきた話です。そういう意味では、IOC(国際オリンピック委員会)、(東京オリンピック・パラリンピック競技大会)組織委員会、東京都も含めて、来年2020年の大会としてどうするのかということをまず決めていただかなければならないというふうに思います。報道等によりますと、10月30日からのIOC調整委員会の中でそのことが議論されるということであります。

 私ども札幌市としては、もともと、サッカーの会場となっておりまして、東京2020大会を担う一員でもあります。そういう意味では、決まったことについて、最大限、私どもとしても協力をしていきたいという気持ちでおります。

 具体的にはいろいろな課題もあろうかと思いますけれども、これらは、陸連(国際陸上競技連盟)といいますか、競技団体などとも話をして、では、それは、物理的に、高低差などをどうやって克服できるのか、できないのかとか、そういうお話になると思いますので、仮にマラソンの会場が移るということになれば、今の東京2020でマラソンなり競歩を検討されている部隊と私ども地元としてお話をしていくということになるというふうに思います。

 ですから、これは、国際陸連も絡んでくる話ですので、かなり専門的なところは札幌市だけで解決していける話ではないと思いますが、われわれとしては、現地としてどういうことができるのかというのは、その中身が決まって、その検討状況に合わせて最大限協力をしていきたい、このように思っています。

STV

 それに関連して、スケジュール的に厳しいのではないかという声もありました。特に、冬季間だと、コース設定の検証なりも、自転車でやるみたいですけれども、なかなかできないということで、スケジュール的に市長としてはどのように感じていますか。

市長

 スケジュールはもちろん大変厳しいと思います。これは、この1年を切った状態といいますか、300日を切った状態で出ていますので、実務としては大変だろうというふうに思います。そういったことも踏まえて、組織委員会なりIOCとの協議をしっかり進めていただきたいというふうに思っています。

国際オリンピック委員会による東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるマラソン・競歩競技の会場変更計画発表について(2) 

朝日新聞

 正式な要請がありましたら、基本的には、必ず受ける、つまり、断るということはあり得ないと考えてよろしいでしょうか。

市長

 先ほども申しましたように、まずは、組織委員会としての決定をしていただくということになって、私どもは協力自治体という形であります。ですから、できることについて最大限協力をいたします。

朝日新聞

 もう少し突っ込んでというか、今、やはり費用の問題がすでに東京都と組織委員会などの間で出てきているかと思うんですが、仮に費用なりも多少なりとも札幌市でということになったら、それは受けられないというようなこともあり得るのでしょうか。

市長

 基本的に、組織委員会、あるいは、東京都、それから地元の自治体、私どももサッカー等でこれまで協議をしてきた大原則がございます。それを、原則に基づいて行っていただくことだというふうに思っておりますが。

朝日新聞

 ちょっと気になるのがパラリンピックのほうなんですけれども、現在で市長に入っている情報で結構なのですが、パラリンピックも(会場変更)というようなお話は何か入っていますでしょうか。

市長

 少なくとも、今回のマラソンの会場変更で私どもに組織委員会、あるいはIOC、JOC(日本オリンピック委員会)から何か連絡があったということは一切ございません。そういう意味では、パラリンピック、IPC(国際パラリンピック委員会)のほうからも何も言われている状況ではありません。

 今回出ているのは、少なくとも、IOCがそういう検討をして、調整委員会で提案をするということは公表されているわけでありますが、私どもも組織委員会のほうに文書でこれはいつ決まるのかとか、正式決定なのかということについて問い合わせをしておりますけれども、現時点での回答は30日の調整委員会以降、決まる話ですということしか言われておりません。それは、オリンピックの関係でありまして、パラリンピックについては、何も、そういう情報は得ておりません。

朝日新聞

 30日の調整委員会は、市長あるいは市の担当者の方は・・・

市長

 現時点では要請は来ていないのかどうかは分かりません。ただ、30日に札幌市も会場の一つでもあるので、それに出席要請がされているのかどうかは分かりませんが、マラソンの関係では特にはないと思います。

朝日新聞

 この間(10月7日)、実務者レベルの会議(東京2020大会マラソン競技及び競歩競技の札幌開催に係る第1回実務者連絡会議)が開かれましたが、その後、30日に何か決まってからスタートでは遅いということで、もうすでにいろいろやっていらっしゃるのではないかと思うのですが、例えば、いろいろなシミュレーションをやっていらっしゃるとか、市のスポーツ局の段階での何か進んでいることがあったら教えてください。

市長

 たらればで物事を動かせないので、先日の実務者会議も情報共有をしっかりして、決定したときにはすぐ動ける状態、態勢をつくりましょうということを共有いたしました。そういう意味では、先ほど来、いろいろな課題がありますけれども、課題を一つ一つ潰せているとか、潰しているという状況にまではございません。まずは、方向性を早く出していただかないと、時間がないということだけは確かかなというふうに思います。

国際オリンピック委員会による東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるマラソン・競歩競技の会場変更計画発表について(3) 

共同通信

 先ほどの質問の中で、組織(委員会)にも文書でもお問い合わせしたということなんですけれども、それはいつの段階でしょうか。

市長

 10月18日付で北海道の環境生活部長と私どものスポーツ局長名で東京オリパラの組織委員会の事務総長宛てに照会を出しております。

共同通信

 もう一度、どういった問い合わせをして、組織からどういった回答を得たのかというのをお願いします。

市長

 確認事項として3つございます。

 トーマス・バッハ会長、森喜朗会長等の発言がございますが、組織委員会としてマラソンと競歩競技の会場を札幌に変更することを正式に決定したものかが1点目。

 2点目は、10月30日からの調整委員会で議論すると報道されておりますが、そこで決定されるのか、事前に私どもなどにお知らせがあるのかというのが2点目であります。

 3点目につきましては、すでに決定している事項などございましたら、正確な情報を提供していただきたいということで、3点。

 文書でご照会をさせていただいておりますが、これは正式に決定したものではないということのお返事をいただいているようであります。

共同通信

 回答の中で正式に決定したものではなく、30日以降の調整委員会でというようなお話だったのですか。

市長

 はい。

共同通信

 東京都の小池百合子知事が北方領土でいったような発言だったりですとか、東京開催という気持ちに変わりはないですとか、IOC組織の決め方に不快感を示していますが、今回、開催自治体を頭ごなしにしたような形とも受け取れますが、そのような決め方に対しての市長の見解と、小池知事をはじめ、東京都の反応に対してのお考えをお願いいたします。

市長

 この時期に来ての変更ということ自体が普通の状態ではないということだろうというふうに思います。ですから、これは、調整委員会などでどのような説明があるのかも分かりませんけれども、かなり特異な、特殊なケースであったというふうに思います。

 その上で、やはり、準備を進めてこられた東京都などの関係者のお立場からすると、あまりにも突然のことだろうということで、戸惑い、困惑をお持ちなのは当然のことなのではないかなというふうに思います。

 それは、私どもも、札幌という名前を挙げていただいたことについては非常に光栄だと思っておりますけれども、仮に、これを具体的に実現させるということになると、さまざまな課題がございます。

 時間的にはかなりタイトな状態でありますので、いち早く方向性を出していただいて、変更ということなのであれば、その体制をすぐ取っていかなければいけない状況になりますので、調整委員会の中で可能な限り方向性を出していただきたいという思いには変わりありません。

国際オリンピック委員会による東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるマラソン・競歩競技の会場変更計画発表について(4) 

朝日新聞

 仮に、30日以降の調整委員会で正式に札幌に決定しましたというふうに連絡を受けた場合、市長としては何から着手されるご予定でいらっしゃるか、今のところの見通しをお伺いできますか。

市長

 先ほど申しましたように、組織委員会として決定をして、それを今後どういうふうに進めていくのかということになります。そういう意味では、私どもは、一自治体として、東京2020の大会の成功を一緒にやっていこうということで、これまでも、サッカーの会場という立場ではありますけれども、やってきました。そういう意味では、何からどう手を付けてということなどについても、組織委員会のほうとよく協議をしていくことになるのだろうというふうに思いますし、時間がない中ですから、陸上連盟ですとか、競技団体との、コース選定などは陸連のほうの意向を確認しなければいけないだろうと思います。

 ですから、現時点でどこから動いていいのかということについては、まずは、早く方向性を出して、前に進む状況であれば、私どもも最大限協力をさせていただきたいと思っています。

朝日新聞

 今、札幌市の中で、2020年のオリンピック・パラリンピックの担当の方は、サッカーをご担当されている方しかいらっしゃらないと思うんですけれども、もしマラソンも札幌でとなったら、マラソンの担当部署も早急につくるということになるんでしょうか。

市長

 先ほど言いましたように、組織委員会の中でどういう形で進められるのか、札幌市として、いろいろな細かいことになると、当然、業務はゼロではないでしょうから、体制というものは考えなくてはいけないというふうに思います。

 現状では、どのぐらいの規模で札幌市として用意をしなくてはならないのかというのは、今、全く見込めませんので、これは、必要なことについては最大限やっていこうと思っています。

朝日新聞

 先ほど、18日にこちらから文書で問い合わせを出されて、組織委員会のほうから回答があったのはいつですか。

市長

 後ほどに。

国際オリンピック委員会による東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるマラソン・競歩競技の会場変更計画発表について(5) 

HBC

 まだ詳細が組織委員会のほうから下りてきていないということではあるんですが、新たに何かを建てなくてはならないとかというふうになった場合ですとか、今後、もし開催というふうになったときの費用負担が生じた場合について、どうお考えなのかなというところがまず一つと。あともう一つは、もし開催となったときに、新たな物が設置されたり、準備ができたりということがあるかもしれないというふうに考えているのですけれども、そういったときに現段階で想定されている冬季オリンピックの招致に向けた予算に何か変更が生じるようなことはあるのかというのを2つ目としてお伺いしたいです。

市長

 これだけ時期が迫っている状況ですから、何か新たな施設を造るとかということは対応が付かないというふうに思います。ですから、仮設でどういう形のものが必要なのか、例えば、(札幌)ドームに出入りするときにはどのようにしなくてはいけないのか、これは具体的なコースですとか、マラソン競技の必要な状況が見えてこないと、必要な設備について何とも申し上げられないというふうに思います。

 それは、例えば、どのように2020年の大会を成功させるのかという形の中で、会場の議論に結論が出れば、それに向けて、関係者が最大限やっていく必要があることだろうと思います。ですから、札幌市としてできることについては、先ほど来申し上げましたように、最大限の協力をしていきますと。ただ、今の状況では全く何も分かりませんので、どこまでをどうしてということ、あるいは、体制などについても今の時点では考えようがないということですから、早く決めていただかなければならないと思います。

 その意味で、2030年(冬季オリンピック・パラリンピック招致)に何か影響があるかということでありますけれども、これは、2030年の大会、冬の競技施設をどうするかという議論と今回のマラソンの会場としてどう使うかという議論というのは全く別な問題でありますので、現状、仮に2020年のマラソンの大会をやるということになっても、2030年への計画施設に変更があるとはちょっと考えられません。

HBC

 施設を建てるということ以外にも、スタッフさんだとかボランティアさんだとか、いろいろな選定というのが必要になってくると思うんですけれども、それも、今回、マラソンを開催するとなったときの仕組みというのを冬季オリンピックの招致に向けても流用していきたいというようなお考えとかは今ありますか。

市長

 レガシー(遺産)をどう残していくのかという意味では、施設だけではなくて、例えば、ボランティアのいろいろな仕組みというのは、2年前の冬季アジア大会(2017冬季アジア札幌大会)の開催の時、このレガシーを今回のラグビーワールドカップ2019TM日本大会にも使っていく、そして、当然来年の2020年の(オリンピック・パラリンピック)、現状ではサッカーでありますけれども。

市民ボランティアについては、いろいろな国際大会を開催していくためには、競技にかかわらず必要なものでありますので、その裾野を拡大していくというようなこと、あるいは、人数がたくさん必要だということであれば、周辺の自治体の皆さんにもお願いをしていくとか、そういうことは、2030年の大会、あるいは、その途中のいろいろな国際大会を開催していく上でもプラスになっていくことだろうと思います。

 そういう意味では、その時だけのためというのではなくて、次につながっていくようなことにできるだけしていければなと思います。

(以上)

 

 この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。(作成:札幌市広報課報道係)

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