第3章 行財政運営の取組 1 行政運営の取組 154ページ 2 財政運営の取組 173ページ 1 行政運営の取組 第1章7(P.24)で示した行政運営の取組の基本方針である「市民サービスの高度化に向け不断の市役所改革に取り組む行政運営」の推進に当たっては、次に掲げる方針に基づき取り組みます。 ? 行政運営の方針 財源や人材が限られる中で、より質の高いサービスを将来世代にわたり提供していくため、次のアからウの3つを今後4年間の行政運営の方針とします。  ア 市民とともに歩む、市民に寄り添った行政運営   1 「市民が主役のまちづくり」を推進するため、また、様々な地域課題に適切に対応していくため、企業、NPOなどを含めた市民とのつながりを深めながら、各主体が対等の立場で連携し、共通の目的達成に向け活動を進めます。   2 「行政の仕事は常に市民のためにある」という認識のもと、最適なサービスを届けていくため、常に「市民感覚」を持ち、AIなど最新のICTの活用も視野に入れながら、市民サービスの高度化を進めます。  イ 不断の市役所改革に取り組む行政運営   1 令和元年を「行革元年」と位置付け、行政コストの最適化を進めるとともに、職員が真に注力すべき業務に集中できる環境を創出するため、客観的なデータに基づく業務フローの再構築や、省力化、自動化などの取組を進めます。   2 職員一人ひとりの資質・能力の更なる向上を図るとともに、その能力が最大限に発揮される環境の整備や組織風土の醸成を進めます。 ウ 他自治体との連携を深める行政運営   1 「北海道の発展なくして、札幌の発展はない」との考え方のもと、道内地域の活性化や、広域的な視点に立った効率的かつ効果的な行政運営の実現に向け、さっぽろ連携中枢都市圏をはじめとした他自治体との連携を深めます。 これらアからウの方針を踏まえ、次の5つの「行政運営の取組」を着実に進めていきます。 行政運営の取組1 市民・企業などとの協働 行政運営の取組2 市民サービス高度化 行政運営の取組3 業務の効率化・生産性の向上 行政運営の取組4 組織力・職員力の向上 行政運営の取組5 自治体連携 ? 行政運営の取組体系と主な取組 1 市民サービスの高度化  ア 窓口における利便性の向上  イ 行政手続きのオンライン化の推進  ウ 基幹型地域包括支援センター設置事業  エ 就業サポートセンター等設置事業  オ 子どもアシストセンター ライン 相談事業  カ EBPMの基礎となるデータ利活用の推進  キ より効果的な情報提供に向けた検討 2 市民・企業などとの協働、自治体連携  ア 市民、企業、NPOなどとの協働の推進  イ 市政情報のオープンデータ化の推進  ウ 道内地域活性化連携推進事業  エ さっぽろ連携中枢都市圏推進事業  オ 北海道新幹線推進事業  カ 水道事業における近隣市町村との連携  キ より効率的かつ効果的な行政運営に向けた自治体連携の強化検討 3 業務の効率化・生産性の向上  ア 業務の見える化の実施  イ 内部管理業務の簡素化などによる業務の効率化  ウ ICTの効果的な活用に関する検討  エ 行政事務センター及び総務事務センターの導入に向けた検討  オ ハイブリッドクラウド基盤構築事業 4 組織力・職員力の向上  ア 市政アドバイザー制度の導入  イ 内部統制制度の導入  ウ 不祥事防止の取組  エ 職員力向上に向けた取組の推進(能力開発やキャリア形成支援、女性活躍推進など)  オ 多様で柔軟な働きかたの推進(テレワークの推進、フレックス制度の導入検討など)  カ より効果的な知識共有手法の検討  キ 職員の意識変革及び組織風土改革の推進(職員提案制度の活性化など) ? 具体的な取組 1 市民・企業などとの協働 現状と課題 様々な地域課題に適切に対応しながら、「札幌市まちづくり戦略ビジョン」に定めた「市民が主役のまちづくり」を推進していくためには、市民、企業、NPO、行政などの多様な主体が、互いの自主性を尊重しながら対等の立場で連携し、共通の目的達成に向けて活動していくことが欠かせません。 札幌市では、これまでも、市政情報の積極的な発信や、市民団体によるまちづくり活動の支援、地域ネットワークの構築、企業の地域まちづくり活動への参加促進などに取り組んできました。 今後は、人口構造の変化などにより地域課題がますます多様化していくことが想定され、個別の行動主体だけで解決を図ることが困難な状況が見込まれます。そこで、前述の各主体が情報や目的を共有し、互いの意見を尊重しながら今まで以上の連携のもとで、まちづくりを進めていくことが必要です。 取組の方向性 「市民が主役のまちづくり」をより一層推進するため、各主体が連携し継続的に活動できる仕組みづくりや、地域活動の活性化に向けた支援などに引き続き取り組みます。また、企業などと連携したスポーツ振興や地域の見守り体制の強化に取り組みます。 多様な主体との連携、協働の促進に向け、行政情報をより分かりやすく、活用しやすい形で市民へ届けるため、多様な広報媒体を活用し、より効果的な情報発信に努めます。また、地域課題解決に向けたオープンデータ活用の可能性について検討します。 取組1 市民、企業、NPOなどとの協働の推進 多様な主体の連携・協働を支援するための取組を行います。 @ 市民まちづくり活動促進事業 所管 地域振興部 より手軽な寄附・まちづくり情報取得の環境づくりを進め、寄附文化の醸成を図るとともに、市民活動団体への助成を継続することで、市民の自主的なまちづくり活動の参加促進を図ります。 指標 さぽーとほっと基金への年間寄附件数 2018年 387件 〜 2022年 500件 A 地域課題解決のためのネットワーク構築事業 所管 地域振興部 まちづくりや地域課題の解決のノウハウを有するNPOと、町内会などが協働して実施する事業に対して財政的支援を行います。また、NPOを町内会などへ派遣し、地域の理解を高め、連携を促します。 指標 NPOと町内会などとの協働・連携事業数 2018年 91件 〜 2022年 136件 B 企業による市民活動促進事業 所管 地域振興部  中小企業を含めた幅広い企業がCSRに取り組みやすい環境を整備するとともに、取組を行っている企業に対する認定制度の創設や効果的な情報発信の実施により、企業によるまちづくり活動の活性化を図ります。 指標 企業によるまちづくり活動回数(累計) 2018年 13969回 〜 2022年19100回 取組2 避難所開設・運営能力向上事業 所管 危機管理対策部  避難所の迅速な開設及び円滑な運営に必要となる能力の更なる向上を図るため、セミナーや運営訓練を体系的に実施します 指標 避難場所運営研修への地域住民の参加人数 2018年 366名 〜 2022年 900名 取組3 地域スポーツコミッション事業 所管 招致推進部  スポーツイベントの誘致等を戦略的に行うため、スポーツコミッションの運営費を補助し、国際競技大会や合宿の誘致、関係団体や道内自治体と連携したスポーツツーリズムを推進します。 指標 年間外国人宿泊者数 2018年 272万人 〜 2022年 350万人 取組4 事業者による見守り体制の充実 所管 総務部  孤立死を防止するため、地域の見守りに関する民間事業者との協定を締結し、万一の場合の通報体制の充実を図ります。 指標 見守り協定を締結する事業者数 2018年 12社 〜 2022年 20社 取組5 より効果的な情報提供に向けた取組  市政情報をできるだけ早く、わかりやすく、活用しやすい形で提供・発信するための取組を行います。 @ 市政情報提供システムの運用 所管 広報部 地上デジタルテレビのデータ放送やスマートフォンアプリを活用し、市のイベントなどに関する情報を、誰もがいつでも手軽に入手できるようにします。 指標 地デジ・アプリの両方、もしくはどちらか一方を知っている人の割合 2018年 38.9% 〜 2022年 59.2% A 公式ホームページ、SNSを活用した情報発信の強化 所管 広報部  市民が必要な市政情報をより手軽に素早く得られるよう、公式ホームページの見直しを図るとともに、SNSを活用した新たな情報発信について検討を進めます。 指標 SNSを活用した新たな情報発信の検討 2018年 − 〜 2022年 検討 B 災害情報伝達手段の多様化事業 所管 危機管理対策部  市民などへ迅速かつ確実に災害情報を伝達する手段を整備するため、情報伝達手段の多様化に向けて、様々な手段を調査・検討します。 指標 新たな伝達手段の確定 2018年 − 〜 2022年 確定 取組6 市政情報のオープンデータ化の推進 所管 ICT戦略推進担当部  市政情報のオープンデータ化を進めることはもとより、民間企業などが保有する公共性の高いデータのオープン化を促進し、官民が協調してデータの利活用の活性化に取り組みます。 指標 札幌市ICT活用プラットフォームで公開されているデータセット数 2018年 175セット 2022年 350セット 2 市民サービスの高度化  現状と課題 これまでも、市民サービスの最前線である区役所において、繁忙期における土日開庁や待ち時間短縮に向けた取組などを実施してきましたが、来庁される市民の負担軽減に向け、より分かりやすい案内や申請手続の簡素化などに取り組むことが必要です。 また、高齢化の進展に伴い、介護や福祉に関する支援ニーズや、高齢者の就業ニーズは今後ますます増えていくことが予想され、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けた対応が求められています。 さらには、市民ニーズが多様化する中、市政情報をより効果的に提供、発信していくことも欠かせません。  取組の方向性 「待たせない」、「書かせない」をキーワードに、待ち時間の短縮や届出書類の簡素化、関連する手続の一括対応など、市民サービスの最前線である区役所窓口の更なる利便性向上に取り組みます。また、申請や届出の利便性向上に向け、行政手続のオンライン化を進めます。 市民や観光客などが、必要な市政情報を必要な時に入手できるよう、AI86などの最新技術の活用も視野に入れながら、より効果的な情報提供手段の在り方について検討を行います。 取組1 窓口における利便性の向上 所管 地域振興部、区役所 待ち時間の短縮や届出書類の簡素化、関連する手続の一括対応など、市民サービスの最前線である区役所窓口の更なる利便性向上に取り組みます @ 総合的な窓口利便性向上策の実施 所管 市)地域振興部、区役所  市民の視点に立ち、区役所窓口における市民ニーズを分析した上で、窓口の利便性向上策の検討を行い、実施可能なものから順に取り組みます。 指標 区役所の届出や申請などの手続について、わかりやすいと思う市民の割合 2018年 − 〜 2022年 75% A 窓口混雑緩和の取組の実施 所管 市)地域振興部、区役所  春の引越シーズンの混雑が著しい区役所の戸籍住民課窓口における待ち時間を短縮するため、混雑緩和に向けた取組を行います。 指標 区役所の戸籍住民課窓口における繁忙期の待ち時間短縮 2018年 − 〜 2022年 2018年時点から2割短縮 B 建替えを契機としたサービスの向上 所管 中央区市民部  令和2年度に移転・運用開始する中央区役所仮庁舎において、庁舎案内を行うコンシェルジュを通年配置することなどにより、新庁舎移転も見据え、より分かりやすいサービスの提供に取り組みます。 指標 戸籍住民課窓口における繁忙期の待ち時間短縮 2018年 41分 〜 2022年 2割短縮 取組2 行政手続きのオンライン化の推進 所管 ICT戦略推進担当部 各種申請や届出の利便性向上に向け、粗大ごみ収集の申込みをはじめ「地方公共団体におけるオンライン利用促進指針」に定められた手続などについて、行政手続のオンライン化を進めます。 指標 「地方公共団体におけるオンライン利用促進指針」で定める手続のオンライン利用率 2018年 55% 〜 2022年 70% 取組3 基幹型地域包括支援センター設置事業 所管 高齢保健福祉部 区レベルでの地域ケア会議の開催や、地域包括支援センターを始めとする支援機関への後方支援を行い、地域住民の潜在的支援ニーズを把握し必要な支援につなぐ基幹型地域包括支援センターを設置します。 指標 基幹型地域包括支援センターが行った地域ケア会議において、対応方針が決まった事案の件数 2018年 − 〜 2022年 120件 取組4 就業サポートセンター等事業 所管 雇用推進部  就業サポートセンターを中核に据えた就労支援施設を全区に展開し、職業紹介やセミナー、資格取得講座、職場体験などの各種サービスを提供することにより、市民の多様な就業ニーズに応えます。 指標 就業サポートセンター及びあいワークを利用して就職した人数(累計) 2018年 5996人 〜 2022年 24000人 取組5 子どもアシストセンターLINE相談事業 所管 子どもの権利救済事務局  より多くの子どもの声を汲み取ることができるように、子どもアシストセンターの新たな相談方法として無料通信アプリ「LINE」を導入します。 指標 LINEでの年間相談成立件数 2018年 38件 〜 2022年 1000件 取組6 EBPMの基礎となるデータ利活用の推進 所管 ICT戦略推進担当部 政策立案・決定にあたりデータを有効活用するため、職員の能力向上に取り組むとともに、オープンデータに適切なデータ形式の整備を推進します。 指標 札幌市ICT活用プラットフォームで公開されているデータセット数 2018年 175セット 〜 2022年 350セット 取組7 より効果的な情報提供に向けた検討 所管 改革推進室 市民や観光客が、必要な市政情報を必要な時に入手できるよう、AI技術の活用も視野に入れながら、より多様な情報提供手段の在り方について検討します。 指標 より多様な情報提供手段の検討 2018年 − 〜 2022年 検討 3 業務の効率化・生産性の向上 現状と課題 財源や人材などの経営資源の確保が難しくなる中で、より質の高いサービスを提供していくためには、日常業務に潜む「ムリ・ムダ・ムラ」を徹底的に排除することで業務を効率化し、限られた経営資源を今まで以上に有効活用していくことが必要です。 これまでも、事務の実施手順の見直しや内部管理業務の集約化などに取り組んできましたが、今後は、市役所内のあらゆる仕組みや制度、既存の業務フローなどについて不断の見直しを行う組織マネジメントへの取組や、行政コストを最適化し、職員が真に注力すべき業務(市民との対話の充実や創造性の高い業務など)に集中できる環境を創出していくことが求められています。  取組の方向性 既存の業務フローや実施手法などを客観的に調査・分析し、通常では気づきにくい課題や問題点を可視化する「業務の見える化」を進めるとともに、不断の見直しを行う組織マネジメントへの取組を進めます。 「業務の見える化」の結果や最新のICTなども活用しながら、業務フローの再構築や省力化、また、必ずしも職員が行う必要がない業務の自動化、委託化など、業務の効率化に関する多角的な検討を進めます。また、業務システムの導入や更新に当たっては、効率的なシステムの構築と併せて、従来の紙資料の電子化や事務手順の見直しなどを行うことで、より効果的な業務改善を進めます。 より適正で効率的、効果的な業務執行に向け、入札・契約制度の改善や、出資団体の自立性を高めるための取組などを進めます。 取組1 「業務の見える化」の実施 所管 改革推進室  業務の効率化・生産性向上と、市民サービスの充実を図るため、「業務の見える化」により既存業務の課題を抽出し、課題の解決策を検討・試行検証した上で、効果が認められる解決策を順次実施していきます。 指標 業務の見える化によって抽出された課題の解決に向けて、試行検証に着手した業務の数 2018年 − 〜 2022年 8業務 取組2 内部管理業務の簡素化などによる業務の効率化  内部管理業務の簡素化や集約などによる業務の効率化に取り組みます。 @ 会計業務の見直しと財務会計システムの再構築 所管 会計管理課  システムの老朽化に伴う財務会計システムの再構築に合わせ、ICTの積極的な活用などにより、業務の正確性を確保しつつ、業務の見直しや区会計業務の本庁集約による効率化を進めます。 指標 システムの再構築、業務の見直し、区役所の会計業務の本庁集約 2018年 − 〜 2019年以降順次実施 A 文書管理システムの更新及び電子決裁の推進 所管 行政部  文書管理システムを再構築し、文書の取扱いに係る事務の効率化と文書保存の適正化を図るとともに、電子決裁の推進による業務の効率化に取り組みます。 指標 電子決裁率(電子決裁件数÷システム登録起案数) 2018年 10% 〜 2022年 60% B 市税収納管理業務及び郵送証明業務の集約 所管 税政部  市内5か所の市税事務所に分散している収納管理業務及び郵送証明業務をそれぞれ1か所に集約することで、業務の効率化を図ります。 指標 市税収納管理業務及び郵送証明業務の集約 2018年 ― 〜 2022年 集約 C 幼児教育・保育無償化に係る業務などの委託化 所管 子育て支援部  幼児教育・保育無償化に伴う新たな業務等の一部を民間事業者へ委託することにより、市民サービスの確実な提供と効率的な業務執行を図ります。 指標 各月の利用料償還払い実施率  2018年 − 〜 2022年 100% D より効果的な庁内会議運営に向けた検討 所管 改革推進室  計画策定などの意思決定にかかる時間とコストの縮減を図るため、市役所内で開催される会議の運営方法や調整方法の効率化に向けた検討を行います。 指標 「(仮称)会議運営ガイドライン」の策定 2018年 − 〜 2020年 検討 E 物品調達の効率化に向けた検討 所管 改革推進室  仕様書の作成、入札、支払など、物品調達にかかる一連の事務作業の効率化を図るため、パソコンなど、市役所内で利用する共通物品の集中調達化について検討を行います。 指標 新たな共通物品の集中調達化の検討 2018年 − 〜 2020年 検討 F ICTの効果的な活用に関する検討 所管 改革推進室 市民サービスの高度化や業務の効率化を推進するため、AIやRPAをはじめとした ICTの効果的な活用に関する調査、検討を順次進めます。 指標 ICTの活用に関する検討 2018年 − 〜 2022年 検討 G 行政事務センター及び総務事務センターの導入に向けた検討 所管 改革推進室  各種申請の処理や電話問合せ対応などを一括して集中的に処理する「行政事務センター」や、給与・旅費・福利厚生などの庶務的な業務を集約した「総務事務センター」の導入に向けた検討を行います。 指標 行政事務センター及び総務事務センターの導入に向けた検討 2018年 − 〜 2022年 検討 取組3 ハイブリッドクラウド基盤構築事業 所管 情報システム部 ICTコストの削減・抑制と高度な行政サービス維持を両立するため、札幌市の情報システムに対して、民間のクラウドサービスと札幌市データセンターを組み合わせた、効率的かつ安全に利用可能な基盤を構築します。 指標 新たな基盤に移行したシステム数(累計) 2018年 − 〜 2022年 10件 取組4 適正で効率的・効果的な業務執行の推進 各事務について見直しを行い、より適正で効率的・効果的な業務執行を推進します。 @ 入札・契約制度の改善 所管 管財部 地元企業の受注機会の拡大、公共工事などの品質確保や、過度な低価格受注の防止などを目指して、総合評価方式の更なる拡大や最低制限価格の設定の見直しなど、入札・契約制度の改善を進めていきます。また、工事や委託業務に従事する労働者が、適正な労働環境の下で働くことのできる取り組みについて検討します。 指標 工事の競争入札に占める総合評価方式の割合 2018年 15% 〜 2022年 20% A 出資団体に関する取組 所管 改革推進室 平成27年度に策定した「札幌市出資団体の在り方に関する基本方針」に基づき、公共性・公益性を有する出資団体の特性を踏まえ、各団体の自立性を高める取組を定めた行動計画を改定します。 指標 各出資団体の行動計画の改定 2018年 − 〜 2020年 改定 4 組織力・職員力の向上  現状と課題 市民サービスの高度化や業務の効率化を着実に実行していくためには、行政活動の原動力である職員の資質・能力を向上させることが必要不可欠であり、これまでも、職員のキャリア形成支援や管理職のマネジメント能力の強化、人事評価制度の改善などに取り組んできました。 近年、市役所職員採用試験の受験者数は年々低下しており、生産年齢人口の減少と相まって、職員の確保は今後ますます難しくなっていくことが見込まれます。このような中で質の高い市民サービスを提供していくためには、先述した職員の能力向上に向けた取組に加え、その能力が最大限に発揮される環境の整備が求められています。  取組の方向性 「3 業務の効率化・生産性の向上」に示したように、「業務の見える化」や「内部管理業務の簡素化」などに取り組むことで、職員が真に注力すべき業務に集中できる環境をつくります。 より効果的な政策立案や行政改革などを行うため、外部有識者などの専門的知見を積極的に取り入れます。また、内部統制制度の導入や不祥事防止対策の徹底など、内部の規律確保に関する取組を通じて、公務員としての資質を磨き、市民に信頼される市役所づくりを進めます。 職員のキャリア形成支援や人事評価制度の適正かつ効果的な運用などの継続により、引き続き職員の能力向上に取り組みます。また、様々な背景を持つ全ての職員がその能力を最大限に発揮できる環境を整えるため、テレワーク制度やフレックス制度の導入など、より多様で柔軟な働き方の実現に向けた取組を行い、市民サービスの高度化の基礎を固めます。 市民サービスの高度化や業務の効率化に向け、職員一人ひとりが当事者意識を持って改善の必要性を認識し主体的に考え行動できるよう、職員意識の変革や組織風土改革などに取り組みます。 取組1 市政アドバイザー制度の導入 所管 改革推進室  多角的な視点に基づく政策立案や行政改革などを進めるため、外部有識者などの専門的知見や、民間の経営感覚を効果的に取り入れるための制度を導入します。 指標 市政アドバイザー制度の導入 2018年 − 〜 2019年 導入 取組2 内部統制制度の導入 所管 行政部 事務を進める上での様々なリスクを予防し、より適正な事務処理を確保していくための仕組みとして、市役所に内部統制制度を導入します。 指標 内部統制制度の導入 2018年 ― 〜 2020年 導入 取組3 不祥事防止の取組 所管 職員部 職員による不祥事を防止するため、厳格化した懲戒処分指針の職員への周知徹底を図り、市民に信頼される市役所を目指します。 指標 懲戒処分の指針のさらなる浸透に向けた、全局区における不祥事防止研修の実施率 2018年 100% 〜 2022年 100% 取組4 職員力向上に向けた取組の推進  複雑多様化する行政課題に迅速かつ的確に対応するため、職員の人材育成や人事評価、有為な人材の確保などに係る取組を推進します。 @ 職員採用・人材育成に係る取組の推進 所管 職員部、自治研修センター 採用試験の受験者数確保に向けた取組を進めるとともに、「札幌市人材育成基本方針」に示した「目指す職員像」の実現に向け、職員の能力開発やキャリア形成149の支援、管理職の部下育成能力の向上などに取り組みます。 指標 職員採用・人材育成に係る取組の推進 2018年 実施 〜 2022年 実施 A公平・公正な人事評価の実施に向けた取組の推進 所管 職員部  適正な人事評価の実施と評価結果の更なる活用に向け、市役所内における人事評価制度の周知や、評価者研修の充実などに取り組みます。 指標 公平・公正な人事評価の実施に向けた取組の推進 2018年 実施 〜 2022年 実施 B 女性活躍推進に係る取組の実施 所管 職員部、人事委員会  より多様な意見や考えを行政運営に反映していくため、女性職員の活躍や昇任の後押しに係る取組(ロールモデルの紹介や昇任試験に係る環境の整備など)を引き続き行います。 指標 係長職候補者試験受験率(女性) 2018年 28.3% 〜 2022年 35% C 有為な人材の確保 所管 人事委員会 有為な人材の継続的確保に向け、職員採用におけるPR活動の強化や、ホームページやパンフレットを活用した、より効果的な情報発信に取り組みます。 指標 有為な人材の確保に向けた取組の推進 2018年 実施 〜 2022年 実施 取組5 多様で柔軟な働き方の推進 市民サービスの高度化及び市役所内の生産性向上に向け、より柔軟で働きやすい環境の整備に取り組みます。 @ モバイルワーク及び在宅ワークの実現に向けた検討 所管 改革推進室  働き方の多様性を確保するため、外勤先でも自分の席にいるのと同じように仕事ができるモバイルワーク環境を整備します。また、在宅ワークの実施に向けた検討を行います。 指標 モバイルワークにより業務が効率化された部署の数 2018年 ― 〜 2020年 7部署 A 多様で柔軟な働き方に向けた検討 所管 改革推進室 市役所内の生産性を高め、より良い市民サービスを実現するため、場所や紙にしばられない、より柔軟で働きやすい環境の整備に向けた検討を行います。 指標 多様で柔軟な働き方に向けた検討 2018年 ― 〜 2022年 検討 B 柔軟な勤務体制に向けた検討 所管 職員部  より適切で、より働きやすい環境の実現に向け、新たな勤怠管理方法の導入や、時差出勤制度・フレックス制度の導入などについて検討を行います。 指標 時差出勤制度、フレックスタイム制度及び新たな出退勤管理方法の導入  2018年 − 〜 2020年以降 順次導入 取組6 より効果的な知識共有手法の検討 所管 改革推進室  市役所内の多岐にわたる制度や業務に関する情報を、経験や知識に頼らずとも効率的かつ効果的に共有できる手法、仕組みなどについて検討を行います。 指標 市役所内の情報を効果的に共有できる手法などの検討  2018年 − 〜 2022年 検討 取組7 コミュニケーション能力向上研修の充実 所管 職員部  市民のニーズを的確に捉え、相手の立場に立って分かりやすく説明する能力を磨くため、職員のコミュニケーション能力向上研修の充実に取り組みます。 指標 コミュニケーション能力向上研修の充実  2018年 実施 〜 2020年 充実 取組8 職員の意識変革及び組織風土改革の推進  職員一人ひとりが、当事者意識を持って本市を取り巻く現状と業務改善の必要性を認識し、積極的に改善提案及び実践ができることと、それを支える組織風土づくりに取り組みます。 @ 庁内プロモーションの推進 所管 改革推進室  業務上の問題点や改善すべき点に気づき、これらの解決・改善に向けて自発的に行動できる職員を増やしていくため、職員を対象としたより効果的な意識啓発に取り組みます。 指標 庁内プロモーションの実施 2018年 ― 〜 2019年以降 順次実施 A 職員提案制度の活性化 所管 改革推進室  職員が、既存の業務プロセスなどの改善提案を行うことができる「職員提案制度」を活性化させることで、業務の改善を推進するとともに、職員の改善意識の向上を図ります。 指標 職員提案件数  2018年 9件 〜 2022年 20件 5 自治体連携  現状と課題 札幌の魅力は、豊かな自然や食などの北海道の魅力に支えられており、札幌の発展は北海道と共にあります。 こうした中、札幌市では、北海道や道内市町村との関係を強化し、経済や観光などの分野における連携を進めてきました。 今後は、道内外の自治体との連携を更に深めながら、市町村間での役割分担の在り方や民間活力の活用なども視野に、広域的な視点で地域の活性化や行政課題の解決に取り組んで行くことが必要です。  取組の方向性 「北海道の発展なくして、札幌の発展はない」との認識のもと、道内178市町村と相互に補完し合う関係を築くとともに、北海道との連携を深めながら、北海道全体の活性化などに取り組みます。 札幌市を含む12市町村からなる「さっぽろ連携中枢都市圏」において、各市町村が持つ強みを活かし、市民サービスの向上や圏域全体の経済成長など、魅力あるまちづくりを進めます。 地方自治体を取り巻く課題をより効果的・効率的に解決していくため、事務の標準化や共通化なども見据えながら、他自治体との情報共有や意見交換を進めます。 取組1 北海道・札幌市行政懇談会の開催 所管 政策企画部 北海道知事と札幌市長が双方に関係する懸案事項などについて意見交換を行う「北海道・札幌市行政懇談会」などの取組を引き続き推進します。 指標 北海道・札幌市行政懇談会などの開催  2018年 開催 〜 2022年 開催 取組2 道内地域活性化連携推進事業 所管 政策企画部  道内市町村を応援したい市民などに「ふるさと応援隊〜みつける、第二の故郷178〜」になってもらい魅力発信や地域の課題解決などを行うとともに、小学生を対象としたオンリーワン企業の見学バスツアーや、民間企業と連携した事業の実施などにより、道内連携に対する機運醸成を図ります。 指標 ふるさと応援隊に登録している市民の数  2018年 ― 〜 2022年 250人 取組3 さっぽろ連携中枢都市圏推進事業 所管 政策企画部  「さっぽろ連携中枢都市圏ビジョン」を実効性のあるものとし、より効果的に取組を進めていくため、関係首長会議や連携中枢都市圏ビジョン懇談会を開催するほか、人材流入や地元定着の促進に関する取組などを行います。 指標 さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンに掲げる各連携事業の評価指標の達成割合 2018年 ― 〜 2022年 100% 取組4 北海道新幹線推進事業 所管 総合交通計画部  北海道新幹線の札幌開業の早期実現と新函館北斗開業の効果拡大に向けて、円滑な事業施行に向けた協議・調整、国や鉄道・運輸機構などへの要望、市民などへの情報提供、啓発・PR活動を行います。 指標 新幹線建設、利用促進などに関する情報提供、啓発・PR活動の年間実施回数  2018年 23回 〜 2022年 30回 取組5 冬季オリンピック・パラリンピック招致事業 所管 招致推進部  2度目の冬季オリンピック、初の冬季パラリンピック招致を目指し、次世代に過度な負担を残すことのない、まちづくりと連動した大会の開催概要計画の策定を行うとともに、機運醸成の取組や招致活動を行います。 指標 立候補ファイル提出 2018年 ― 〜 2022年 提出 取組6 水道事業における近隣市町村との連携 所管 水道局総務部  道内の水道事業に関する課題を把握し、共に解決していくためのきっかけとなる会議や研修を実施するほか、道内水道事業体のニーズに応じ、技術の共有化や災害対応時の連携強化などに取り組みます。 指標 道内水道事業体が参加する研修会などの年間開催回数  2018年 8回 〜 2022年 9回 取組7 より効率的かつ効果的な行政運営に向けた自治体連携の強化検討 所管 改革推進室 より効率的かつ効果的な行政運営に向け、事務の標準化や共通化なども見据えつつ、他自治体との情報共有や意見交換を行うなど、連携強化について検討します。 指標 他自治体との連携強化に向けた検討  2018年 ― 〜 2022年 検討 2 財政運営の取組 第1章7(P.24)で示した、財政運営の取組の基本方針である「将来を見据えたバランス重視の財政運営」の推進に当たっては、次に掲げる方針に基づき取り組みます。 ? 財政運営の方針  メリハリの効いた財政運営 人口構造が大きく変化していくなかで、将来にわたって持続可能なまちづくりを進めていくためには、「選択と集中」をより一層明確化し、都市基盤の再整備や子ども・子育て支援など、まちと人の未来への投資に、積極的に資源を配分します。 持続可能な財政構造への転換 時代の転換点にあって、安定的に行政サービスを提供していくためには、財政基盤の強化はもとより、これまでの考え方や手法にとらわれることなく、行政が担うべき役割、サービスの水準、受益者負担の水準などについて、様々な視点で検証・評価し事業の再編・再構築につなげていく継続的な見直しのサイクルを構築し、持続可能な財政構造への転換を目指します。 将来世代に過度な負担を残さない健全な財政運営 長期的な財政の持続可能性を見据えたうえで、計画期間の収支を中期財政フレームとして示し進捗管理を行うとともに、市債や基金の適切な管理と、公共施設の整備・更新の管理を行い、将来世代に責任ある財政運営を堅持します。 上記方針を踏まえ、次の4つの「財政運営の取組」を着実に進めていきます。 <財政運営の取組> 財政運営の取組1 予算編成手法の改革 財政運営の取組2 歳入・歳出の改革 財政運営の取組3 財政基盤の強化 財政運営の取組4 財政規律の堅持 ? 具体的な取組 1 予算編成手法の改革 計画期間における事業費と財源の大枠を中期財政フレームで示し、都市基盤の再整備や子ども・子育て支援など、資源を重点的に配分した施策を確実に実施します。 また、時代や市民のニーズに応じて迅速かつ柔軟に各種施策を実施・見直しできるよう、予算編成における各局のマネジメント機能を強化するなど、予算編成手法の改革を行います。 現状と課題 長期的な財政の持続可能性を維持しつつ、年々増加する社会保障費や公共施設の更新需要を見据え、新たなまちづくりの取組を進めていくためには、計画期間中の収支を見通し、将来世代に過度な負担を残さない、持続可能な財政運営を行う必要があります。 取組の方向性 中期財政フレームを策定し、これに基づき単年度の予算編成を行うことで、財政規律を堅持しつつ施策を重点化していきます。 各局のマネジメント機能を強化し、各施策を迅速かつ柔軟に実施するとともに、事業の見直しが積極的に行われる仕組みの検討等を行います。 取組1 中期財政フレームの策定 本計画期間における計画事業費と財源を明示した中期財政フレームを策定し、これに基づき予算編成を行います。 中期財政フレーム2019(一般会計) 歳入 区分 一般財源(臨時財政対策債を含む) 令和元年度 5,535億円 令和2年度 5,562億円 令和3年度 5,574億円 令和4年度 5,585億円 参考 令和5年度 5,597億円 令和元年度から令和4年度までの合計 2兆2,256億円 令和元年度から令和5年度までの合計 2兆7,853億円 区分 国・道支出金 令和元年度 2,911億円 令和2年度 2,969億円 令和3年度 3,034億円 令和4年度 3,103億円 参考 令和5年度 3,184億円 令和元年度から令和4年度までの合計 22,256億円 令和元年度から令和5年度までの合計 27,853億円 区分 市債 令和元年度 552億円(臨時財政対策債を含めた場合1,032億円) 令和2年度 674億円(臨時財政対策債を含めた場合1,154億円) 令和3年度 621億円(臨時財政対策債を含めた場合1,101億円) 令和4年度 661億円(臨時財政対策債を含めた場合1,141億円) 参考 令和5年度 827億円(臨時財政対策債を含めた場合1,307億円) 令和元年度から令和4年度までの合計 22,256億円(臨時財政対策債を含めた場合4,427億円) 令和元年度から令和5年度までの合計 27,853億円(臨時財政対策債を含めた場合5,734億円) 区分 その他 令和元年度 1,211億円 令和2年度 1,224億円 令和3年度 1,196億円 令和4年度 1,183億円 参考 令和5年度 1,154億円 令和元年度から令和4年度までの合計 4,814億円 令和元年度から令和5年度までの合計 5,968億円 区分 基金活用額 令和元年度 18億円 令和2年度 45億円 令和3年度 156億円 令和4年度 101億円 参考 令和5年度 168億円 令和元年度から令和4年度までの合計 320億円 令和元年度から令和5年度までの合計 488億円 歳入合計 令和元年度 10,227億円 令和2年度 10,474億円 令和3年度 10,580億円 令和4年度 10,634億円 参考 令和5年度 10,930億円 令和元年度から令和4年度までの合計 41,914億円 令和元年度から令和5年度までの合計 52,844億円 歳出 区分 義務的経費 令和元年度 5,643億円 うち職員費1,566億円 公債費869億円 扶助費3,207億円 令和2年度 5,773億円 うち職員費1,580億円 公債費897億円 扶助費3,296億円 令和3年度 5,840億円 うち職員費1,560億円 公債費910億円 扶助費3,370億円 令和4年度 5,912億円 うち職員費1,561億円 公債費917億円 扶助費3,434億円 参考 令和5年度 5,982億円 うち職員費1,545億円 公債費939億円 扶助費3,498億円 令和元年度から令和4年度までの合計 23,168億円 うち職員費6,267億円 公債費3,593億円 扶助費13,307億円 令和元年度から令和5年度までの合計 29,150億円 うち職員費7,813億円 公債費4,533億円 扶助費16,805億円 区分 他会計繰出金 令和元年度 1,062億円 令和2年度 1,073億円 令和3年度 1,085億円 令和4年度 1,104億円 参考 令和5年度 1,117億円 令和元年度から令和4年度までの合計 4,323億円 令和元年度から令和5年度までの合計 5,440億円 区分 建設事業費 令和元年度 1,034億円 令和2年度 1,149億円 令和3年度 1,114億円 令和4年度 1,195億円 参考 令和5年度 1,445億円 令和元年度から令和4年度までの合計 4,493億円 令和元年度から令和5年度までの合計 5,983億円 区分 その他事業費 令和元年度 2,489億円 令和2年度 2,478億円 令和3年度 2,540億円 令和4年度 2,423億円 参考 令和5年度 2,385億円 令和元年度から令和4年度までの合計 9,930億円 令和元年度から令和5年度までの合計 12,316億円 歳出合計 令和元年度 10,227億円 うち政策経費(計画事業費)2,132億円 令和2年度 10,474億円 うち政策経費(計画事業費)2,249億円 令和3年度 10,580億円 うち政策経費(計画事業費)2,290億円 令和4年度 10,634億円 うち政策経費(計画事業費)2,258億円 参考 令和5年度 10,930億円 うち政策経費(計画事業費)2,472億円 令和元年度から令和4年度までの合計 41,914億円 うち政策経費(計画事業費)8,928億円 令和元年度から令和5年度までの合計 52,844億円 うち政策経費(計画事業費)11,400億円 参考 活用基金(現金)残高の見込み 令和元年度 657億円 令和2年度 659億円 令和3年度 635億円 令和4年度 584億円 参考 令和5年度 466億円 参考 一般会計市債残高の見込み 令和元年度 11,103億円 令和2年度 11,397億円 令和3年度 11,631億円 令和4年度 11,895億円 参考 令和5年度 12,288億円 中期財政フレーム2019の設定条件  中期財政フレームの各年度の金額は、令和元年度(2019年度)は、2定補正(肉付補正)までの予算額、令和2年度(2020年度)以降は、次の条件により試算しました。 歳入 一般財源(臨時財政対策債を含む) 令和元年度予算に、幼児教育保育無償化等の増要素及び近年の一般財源の伸びを見込み試算。臨時財政対策債は、一般財源として令和元年度予算額により試算。 国・道支出金及び市債、その他 令和元年度予算に、歳出の各事業費の増減を反映 歳出 職員費 現行の職員定数や給与体系をベースに新規採用、定年退職予定数等を踏まえて試算 公債費 歳入の市債発行額を基に、予算執行段階での発行減を見込み試算 扶助費 令和元年度予算に、過去実績の平均伸び率等に基づく増減見込みを反映 他会計繰出金 特別会計繰出金(国保・後期高齢・介護保険)は、過去実績の平均伸び率等に基づき試算 建設事業費 本計画掲載事業等の各年度の見込額を計上 その他事業費 本計画掲載事業の各年度の見込額を計上し、その他については令和元年度予算に、大きな変動の見込まれる事業の増減見込額を反映して試算 活用可能基金(現金)残高の見込み 平成30年度末残高に、中期財政フレームにおける基金活用額と、予算執行段階の節減による取崩し額の減等を反映して試算 一般会計市債残高の見込み 平成30年度末残高に、中期財政フレームにおける市債発行額、予算執行段階での発行減を加味した償還額等を反映して試算 取組2 局マネジメント機能の強化と予算編成手法の改革 時代や市民のニーズに即応した事業の構築・見直しを積極的に実施できるよう、事業の所管局による予算編成上の権限を拡大するとともに、各局が事業の構築や見直しに積極的に取り組む仕組みを構築します。これらの取組を実施することで、計画事業の実施や、その後の社会情勢の変化に応じた事業構築や見直しに、各局の主体的な判断で取り組みます。 具体的な取組 ・社会情勢の変化に即応し、各局が柔軟に対応できる局マネジメントの仕組みを拡充します。 ・各局において、事業費や人件費を含めた見直しが積極的に行われる仕組みを検討します。 ・計画期間中の柔軟な財源配分を可能とする仕組みを継続します。 ・政策判断を要する事業の協議などに十分な期間を確保するため、予算編成スケジュールを見直します。 2 歳入・歳出の改革 本計画に位置付けられた事業に資源を配分するとともに、将来にわたって持続可能なまちづくりを進めていくため、歳入・歳出の全般にわたる見直しを進めます。また、事業の検証・評価と再編・再構築を進める「リビルド・サイクル」の確立に取り組みます。 現状と課題 社会保障費や公共施設の更新需要が増加する一方で、それに見合う税収等の一般財源の伸びが見込まれないなど、限られた財源の中で今後の行政需要に対応するためには、事業の「選択と集中」と、前例にとらわれることなく、不断の見直しを実施していくことが必要不可欠です。 取組の方向性 「選択と集中」をより一層明確化し、時代が必要とする施策に資源を配分していくため、これまでの行財政改革の取組やアクションプラン2015による見直しに加え、次の観点から改めて事業の在り方を検討し、更なる見直しを推し進めます。 ・必要性:時代の変化などに伴い、必要性や効果が薄れていないか ・担い手:民間事業者や地域団体、NPOなどに事業の全部または一部を委ねること が適当ではないか ・事業水準:時代の変化の中でサービス水準・事業規模・受益者負担を再検討する必要はないか ・効率性:実施手法としてより効率的に行うことができないか 歳入・歳出の改革に当たっては、まず、市役所内部におけるコスト縮減努力を優先的に進めていきますが、取組項目の中には、市民の皆さんに御協力をいただき、市民サービスの水準や受益者となる方の負担を見直すものも含まれています。また、本プランに未掲載の事柄も含め、必要に応じて、市民の皆さんと議論しながら不断の見直しを継続していきます。 計画期間にとどまらず、長期的にも持続可能な財政構造への転換を進めていくため、継続的に事業の成果や手法を客観的に検証・評価し、その結果を踏まえた事業の再編・再構築を予算編成に反映していくための仕組み「リビルド・サイクル」の確立に取り組みます。 具体的な取組には、一定の仮定条件の下で算定した効果額を表示していますが、現段階において効果額の算定を行うための仮定条件の設定が困難な項目については、効果額に算入していない場合があります。 取組1行政サービスの効率化の推進 効果額 約46億円 市役所内部の努力により、効率的かつ効果的な運営に努め、コスト縮減を図るほか、業務分析を通じて市が直接担うべき分野と民間の活力や専門性の導入を進めるべき分野を見極め、効率的な職員配置を行うことなどにより、サービスアップや人手不足に対応するとともに、人件費の抑制も進めていきます。 具体的な取組 PPP/PFIの導入促進          会計業務の効率化 福祉関連業務の集約・委託化       業務システムの集約・効率化 効率的な事務執行による行政コストの縮減 以降効果額未計上 ICT技術の活用による運搬排雪の効率化 図書館の運営手法の検討   民間活力を活用した区役所窓口業務等の効率化・集約化の検討     など 取組2 サービス水準の在り方の検討 効果額 約1億円 将来にわたって持続可能な行政サービスを維持するため、少子高齢化・人手不足など札幌市を取り巻く社会経済情勢の変化に伴い、行政が担うべきサービス水準の在り方について見直しを進めます。 具体的な取組 パートナーシップ排雪 以降効果額未計上 敬老優待乗車証 取組3 公共施設マネジメントの推進 将来の人口減少を見据え、持続可能な公共施設マネジメントを進めるため、「札幌市市有建築物及びインフラ施設等の管理に関する基本的な方針」に基づき、計画的保全と長寿命化による更新需要の平準化、利便性の高い地域交流拠点や小学校等への集約連携型の施設配置により、更新費用の縮減に努めます。 具体的な取組 学校、市営住宅、スポーツ施設、児童会館、まちづくりセンターなど 取組4 受益者負担の適正化 効果額 約5億円 サービスを受ける市民と受けない市民の間の公平性、社会経済情勢の変化や施策推進の観点などから、現在のサービス提供のためのコスト(人件費や物件費など)と料金(受益者負担)のバランスを検証するとともに、国や他都市、類似施設と比較するなど、より適切な受益者負担とすることを目指します。 具体的な取組 使用料(市営住宅、動物園入園料など) 手数料(くみ取り、汚泥処分など) 以降効果額未計上 火葬場使用料の見直し検討 取組5 企業会計繰出金の見直し 効果額 約65億円 一般会計から企業会計への繰出金は、基準内繰出を基本としつつも、一般会計の財政状況や各企業の経営状況を勘案しながら不断に検証を行っていきます。  具体的な取組 一般会計の財政状況や各企業の経営状況を勘案した繰出内容の検討等 取組6 事業効果に着目した評価サイクルの構築  限られた財源の中で時代や市民のニーズに応える施策を迅速に展開していくには、事業の必要性を検証したうえで、事業の再編・再構築につなげていくことが重要です。これらを推進するため、事業の手法や効果を適切に把握したうえで、その効果を検証・評価する仕組みと、その結果を毎年度の予算編成に反映する仕組みを検討します。  具体的な取組 各局で事業目標の達成状況等に基づき事業効果の検証・評価を行い、その結果を次年度の予算要求・予算査定に反映する事業評価サイクルを導入します。 想定した効果が見込まれない事業については、計画期間中であっても、事業手法の抜本的見直しを含めた事業の再構築を検討します。 取組7 地方公会計の財政運営等への活用 統一的な基準による財務書類 等から得られる財政指標や行政コストの情報について、経年や他都市との比較・分析を行い、財政運営等に活用する仕組みを検討します。 具体的な取組 事業や分野などの単位で、人件費や減価償却費などを含む行政コストを算出し、経年比較などを通じて行政コストの検証を行います。 市民に身近な事業や分野のセグメント情報 の公開を拡充し、財政情報公開の充実に努めます。 3 財政基盤の強化 持続可能な財政構造への転換を進めていくため、市税等の自主財源を中心とした財政基盤の強化を図るとともに、財産の戦略的な活用を進めます。 現状と課題 札幌市の平成30年度決算における自主財源の比率は46.3%となっており、歳入の5割以上を国庫支出金や地方交付税などのいわゆる依存財源や資産の活用による収入が占めています。 将来にわたり安定的な行政サービスを提供していくためには、市税収入をはじめとする自主財源比率を高め、自立的な行財政運営を実現することが必要不可欠です。 取組の方向性 国と地方の役割分担に応じた適切な「税の配分」などを国に求めるとともに、札幌市固有の財源である市税については、産業育成や企業誘致などの税源涵養の取組により維持拡大を図ることはもとより、確実な賦課・徴収など自主財源比率の積極的な向上を図ります。 また、社会情勢の変化に即した負担の在り方の検討や、公有財産の活用などの取組も併せて行い、財政基盤の強化を図ります。 取組1 地方税財源の拡充 増大する財政需要に対応し、自主的かつ安定的な財政運営を行うために、地方税財源の拡充を国に提案・要望し、大都市の実態に即応した税財政制度の確立を目指していきます。 具体的には、国と地方の役割分担に応じた「税の配分」になるよう国から地方への税源移譲や、事務配分の特例に応じた大都市特例税制の創設など、地方税中心の歳入構造の確立を求めていきます。 また、財源保障機能と税源偏在の調整機能をもつ地方交付税については、地方の財政需要と地方税等の収入を的確に見込むことで必要額を確保するように求めていきます。 具体的な取組 指定都市市長会・議長会による要請活動の実施 取組2 税源涵養の推進 市民税や固定資産税などの市税収入の維持・拡大を図るためにも、札幌の強みを活かした産業の育成、積極的な企業誘致などの産業振興、国内外の観光客誘致の強化による経済活性化を図るとともに、魅力と活力あふれる都心や拠点などのまちづくりを市民・企業・行政が一体となって推進します。 また、ふるさと納税の仕組みを活用した財源確保の手法を検討します。 具体的な取組 産業・観光振興や企業誘致などの積極的な推進 市民の新たな就労による個人市民税や、企業立地による法人市民税、事業所税の増収 再開発への支援や、土地利用制限の緩和などによる民間投資の促進 経済の活性化や固定資産税の増収 札幌市が保有する普通財産のうち、今後利用が見込めない土地の民間売却 固定資産税の増収 ふるさと納税の仕組みを活用した財源確保手法の検討 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)、クラウドファンディング等 取組3 収納率の向上、債権管理 効果額 約16億円 歳入の確保、負担の公平性の観点から、市税及び国民健康保険料について、収納率の目標数値を設定して、収納対策などの強化に取り組みます。 また、その他の歳入について、債権管理業務における効果的な徴収体制の構築など、より一層の効率的かつ適切な債権管理を実施します。 具体的な取組 市税(収納率: H30年度98.5%→R4年度目標99.0%) 個人市民税の特別徴収一斉指定、滞納整理の促進など 以降効果額未計上 国民健康保険料(収納率:H30年度 92.0%→R4年度目標95.5%) 初期催告の徹底、口座振替の加入促進、滞納繰越分の滞納整理の徹底など その他の歳入 使用料、負担金及び諸収入等の効果的な徴収体制の構築、適正な債権管理事務の遂行など 取組4 社会情勢の変化に即した負担の在り方の検討 外国人観光客の急増など、社会情勢の変化に応じた行政需要に的確に対応していくため、目的に即した新たな負担の在り方について検討を進めます。 具体的な取組 法定外目的税の導入 関係機関等との調整や課税方法の検討など 取組5 公有財産159の戦略的な活用 効果額 約200億円 札幌市において現状で今後の行政目的での利用が見込めない土地は、民間によるまちづくりに資する活用の可能性も考慮しながら、売却を推進します。 具体的な取組 札幌市が活用するもの、事実上売却が困難なものなどを除き、未利用の土地については、まちづくりへの活用の観点から、民間への売却・貸付を推進 4 財政規律の堅持 将来世代に過度な負担を残さないよう、市債管理の考え方や、将来の財政需要に対応する基金活用の方向性を定め、財政規律を堅持します。 現状と課題 老朽化する公共施設等の更新や、都市基盤の再整備などを進めていくにあたっては、世代間の負担の公平性という観点から、市債を活用していくことが不可欠です。本市においては、今後本格化する公共施設等の更新需要などを見据えると、当面建設事業に係る市債の発行額は増えていく見通しです。 さらに、地方交付税の振り替わりである臨時財政対策債は、国や地方の財政状況を考慮すると、今後も一定程度発行が見込まれることから、市債全体の残高は増加していくことが見込まれます。 また、この計画期間中の事業の財源として、財政調整基金や土地開発基金などの基金を取り崩すことを想定していますが、今後、人口減少が見込まれる中、人口構造の変化に伴い社会の担い手が減少し、社会保障などの行政需要の増加が見込まれることを踏まえると、安定した行政サービスを継続していくためには、将来世代が負う市債残高の適切な管理や、将来世代に引き継ぐ基金の残高を、適切な水準に管理していく必要があります。 取組1 市債の適切な管理 市債残高が増加していく中にあっても、将来の人口減少を見据え、負担の先送りをしないために、プラン最終年度となる令和4年度(2022年度)末の市民一人あたり市債残高が、平成26年度(2014年度)末(前プラン策定時)の水準を下回るようベンチマークを設定し、適切な市債残高の管理を行っていきます。 なお、市民一人あたりの市債残高は、臨時財政対策債を除く、全会計の市債残高。臨時財政対策債は税収の状況や国の政策によって大きく変動し、札幌市独自にコントロールすることが困難であるため、ベンチマークの対象から除いている。 (ベンチマーク) 平成26年度末 市民一人あたり市債残高 大なり 令和4年度末 市民一人あたり市債残高 市民ひとりあたりの市債残高の推移 ひとりあたりのピークは平成12年度で、1,168,236円 前プラン策定時の平成26年度は、679,013円 今回プラン最終年度の令和4年度は、597,549億円として、ベンチマークを設定。 取組2 将来の財政需要を見据えた基金の戦略的活用 財政調整基金 プラン最終年度である令和4年度(2022年度)末の残高について、少なくとも100億円以上の水準を維持します。 オリンピック・パラリンピック基金 冬季オリンピック・パラリンピックに係る施設整備等のため、財政状況を勘案しながら100億円程度を積立てます。併せて、市民及び企業からの寄附金の受入れを進めます。 土地開発基金 計画期間の財源として活用を予定していますが、毎年度の予算編成や予算執行の過程において、事業費の精査や節減、歳入の確保を図りながら、可能な限り活用額の抑制を図り、貴重な財源として将来に引き継ぎます。 まちづくり推進基金 今後の都市基盤の整備など、将来のまちづくりを見据えた取組などへ活用を検討します。 【参考】各企業会計における経営基盤の強化に向けた取組 財政運営の取組では、主に、一般会計・特別会計の取組について紹介していますが、各企業会計においても、経営基盤の強化に向けた取組を行っていきます。 病院事業会計 「市立札幌病院中期経営計画」の着実な実施 ・ 救急患者の受入拡大の継続と、救急を含めたベッドコントロールの強化による患者の柔軟な受け入れ ・ 入院から手術、退院の一連の流れを円滑にし、患者へ分かりやすく説明できる仕組み(仮称:患者サポートセンター)の構築 中央卸売市場事業会計 市場事業会計の健全化と市場の活性化を目的とし、中長期的な財政計画(経営戦略)を内包した「経営展望」の策定(令和2年度(2020年度)に公表予定) ・ 市場の流通機能の強化、施設整備について市場内事業者とともに検討 軌道・高速電車事業会計(路面電車、地下鉄) 「札幌市交通事業経営計画」の着実な実施 ・ 施設や設備の老朽化対策、案内表示の多言語化など訪日外国人旅行客への対応、路面電車の低床車両導入の継続など、さらなる安全性強化やサービスアップの実施 ・ 北海道新幹線の札幌駅延伸などを見据え、乗り換え接続や混雑対策といった駅施設の機能拡充に向けた検討 ・ 路面電車事業の上下分離導入による効率的な事業運営の実施 水道事業会計 「札幌水道ビジョン2015〜2024」の着実な実施 ・ 水道施設の更新や災害対策の実施と企業債の適切な管理を含むビジョン後半期における財政収支見通しの策定 ・ 施設規模の見直しや延命化などによる経費節減 下水道事業会計 下水道を「次世代へつなぐ」ため、計画的・安定的な下水道事業の実施を目的として、令和2年度(2020年度)を目途とする「札幌市下水道事業中期経営プラン2020」を実行 また、新たに令和7年度(2025年度)を目途とする「(仮称)札幌市下水道事業中期経営プラン2025」を策定(令和2年度に公表予定) ・ 施設の延命化に向けた予防保全的調査・修繕の実施によるトータルコストの縮減 ・ 維持管理方法の効率化や新しい技術の積極的な導入による経費の縮減 ・ 交付金制度や下水道資産の活用、適切な受益者負担の具体的な検討による財源の確保