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更新日:2011年2月21日

札幌の花・木・鳥

札幌市文化資料室

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歴史通信「札幌の花・木・鳥」

 ここ文化資料室の前庭では、現在、アスターという花を育てています。
 移転前の札幌市資料館では、サクラやライラック、アジサイなど四季折々に花が咲き、「カッコウの森」と名付けられた裏庭は、カッコウは見られず、ハトやカラスでにぎわっていました。ここ文化資料室も資料館に負けないような庭にしていきたいものです。

 さて、「札幌市の花・木・鳥」が選ばれたのは昭和35年のこと。この年、人口が50万人を超えたことを記念するとともに、前年11月に、「バラの街」として知られる米国・ポートランド市と姉妹都市提携したことをきっかけに、国際観光都市としての象徴となり、緑の街・詩の都札幌にふさわしい花・木・鳥を選ぼうと、市が呼びかけ、それぞれ10~11の候補の中からの人気投票が実施されました。 

 投票結果は、広報「さっぽろ」昭和35年12月号によると右表のとおりで、候補に入っているのが不思議な感じがするものもありますが、当時も違和感を感じた方がいたようです。

「札幌市の花・木・鳥」得票順位(6位以下省略 総得票数 120,917票)

1 スズラン
2 チューリップ
3 バラ
4 ダリア
5 カーネーション

17,685
6,136
5,906
5,425
2,529

1 ライラック
2 アカシア
3 ポプラ
4 シラカバ
5 ニレ

16,821
14,163
4,326
3,113
2,085

1 カッコウ
2 カナリヤ
3 ウグイス
4 コマドリ
5 ヒバリ

14,179
13,954
2,631
2,475
1,441

 後に札幌オリンピックのポスターを制作するなど北海道デザイン界の大御所であった栗谷川健一氏は市長との対談で、「カナリヤなんかが選ばれはしないかとハラハラしていました」「スズラン、ライラック、カッコウがもしも落選したら…新聞に落選候補の弁…でも書こうと思っていました(笑)」とまで述べて、これらのシンボルを活かした今後のまちづくりについて、夢を語っていらっしゃいます。
 とはいえ、候補に選ばれた理由が全くないわけでもないようです。
 チューリップは、水田の裏作としての高い収益性が見込まれ、昭和23年頃から道内での生産が広がり、札幌でも31年には球根1万球が出荷されたといいます。36年には全道規模の組合が設立されるとともに、北大などの協力の下、川下で約4千球の試験栽培が行われるなど順調に事業が展開され、最盛期には全道で100万球を超える生産量がありました。しかし、41年、チューリップ大国オランダのダンピングにより壊滅的打撃を被り、ユリなどに転換せざるを得ない状況となってしまいました。
 同じく意外なダリアは、観賞用として明治から昭和初期にかけて大変人気があり、札幌にも「吉田ダリア園」(大正11頃)、「沼田ダリア園」(大正14頃)が開業されるなど、「ダリアブーム」と言える時代もあったということですから、4位に入っていても不思議ではないということですね。

 カッコウと接戦の末、鳥の2位となったカナリヤは、飼い鳥としての人気に加え、こちらも「輸出の花形」として外貨獲得に役立っていたという事情もあったようです。北海道新聞の記事によると、道内では昭和24年頃から飼育数が増えだし、26年の時点では2万羽が飼われていたそうですが、品質に劣り輸出実績が伸びなかったため、愛好者や業者などにより「道輸出ローラー・カナリヤ・クラブ」が結成され、品評会や飼育者育成、共同出荷が行われたそうです。北海道からの30年の輸出実績は、1羽4ドル10セントで850羽。翌年には1万羽の注文があったといいますが、文化資料室所蔵資料には35年(3,686羽2,074千円)、36年(2,866羽1,814千円)の2年分が統計に見られるだけでした。

 はからずも花や鳥の人気にも盛衰があることがわかり、またカッコウの鳴き声も札幌市内で耳にする機会は激減している状況ですが、いつまでもこれらのシンボルが似合う緑豊かな札幌であり続けてほしいものです。
 なお、人気投票は懸賞付きで、それぞれ3位までの投票者の中から各1名に金・銀・銅賞が与えられ、市長賞(金賞に1万円、以下3千円、千円)、副賞にトランジスターラジオまたは電気掃除機に苗木、球根、鳥(かご付き)が贈られたということです。

参考文献:昭和35年度「広報さっぽろ」、第40回日本花き生産者大会記念誌「北海道の花」、「北海道経済統計」(北海道拓殖銀行調査部)

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